thumbnail
クイズ!犬や人にはあるけれど猫にはない味覚ってどれ??

猫の味覚に関するクイズ


解説

味覚は嗅覚と同じように、食べ物を選択するときの感覚として、とても大切な役割をしています。

私たちは5つの基本味(塩味、酸味、甘味、うまみ、苦味)を混ぜたものを味として感じています。味は、舌に存在する“味蕾(みらい)”にある味細胞と呼ばれるところで認識されます。

さて、猫の味覚は少し特徴的であり、苦味を嫌い、さらに甘味を感じることはできません猫は甘味を感じるための味覚受容体という部分の遺伝子を持っていないことが分かっています。正確にはその遺伝子は発現しているが、一部に欠損があることでその遺伝子は機能的に働かない、となっています。1)同じような理由でネコ科動物であるチーターやトラも甘味を感じることはできません。

猫が甘いものに興味を示さないのはこういう理由があったんですね。割と何でも食べてくれるネコちゃんもいるでしょうが、一般的に猫は犬よりも食べ物を選り好みするイメージがありませんか?

じつは猫の食べ物や味の好みは、元々の生まれつきの体質ではなく、生後間もなく獲得する学習行動であることが分かっています。2)仔猫は生後6~8週頃までに母猫の摂食行動を真似し、味の好み、形や口当たりなどによって食べ物の嗜好性を発達させていきます。

この嗜好性は一度決まるとなかなか変更することが難しく、成猫になってから今までチャレンジしたことのない味や形状の食事を与えても食べないことも多いようです。これが猫は食べ物に対して選り好みをする、と言われる理由なのかもしれません。

また、面白いことに幼若期に色々な食事を与えられていた猫の場合、慣れ親しんだ食事よりも新しく与えられる食事を食べてみる傾向がある事が分かっています。2)

ネコちゃんが今後、今までとは違う食事を食べることになった場合にも新しい食事を食べてくれるように、なるべく仔猫のうちにドライフードや缶詰など、形状や味も様々なものを与えてあげておくと良いかもしれません。

好みの食事に偏りがあるネコちゃんでは、例えば年齢にあった食事や健診でフードの変更を提案された場合、あげてもすぐには食べないこともよくあります。そういう場合、「二皿給餌法」という方法があります。

これは今まで食べていたフードと同時に新しいフードを5粒ほど、毎食ごとに一緒にあげるようにする(混ぜずに別の食器であげるようにします)方法です。最初は食べなれたフードばっかり食べている子でも、2週間ほどすると少し興味を持って数粒口にするようになることがあります。そうなったらこれまでのフードを徐々に減らし、新しいフードを増やしていって最終的には新しいフードに切り替えるという方法です。

特に現在の健康状態に問題がない場合でも、食事のバリエーションを増やしておくことも悪いことではありません。猫では水分摂取量を増やすために缶詰フードの給与ができるといいことがあるため、ドライフードしか食べたことがないネコちゃんでは缶詰やパウチ(総合栄養食のものをお勧めします)に慣らしておくのをお勧めします。
参考文献
1)Xia Li et al., 2005. PLoS Genet1(1):27-35
2)Horowitz DF et al., 2002. BSAVA manual of canine and feline behavioral medicine