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ノミに寄生されたら大変!家の中もノミまみれ!
ノミといえばどんなイメージがありますか?

吸血するから危険、痒そう、といったことが浮かぶかもしれませんが、じつは吸血する以外にも色々なトラブルを引き起こします。今回はそんなノミについてのお話です!

ノミの見つけ方

私たちやワンちゃんネコちゃんに関わってくるノミはほとんど全てネコノミと呼ばれるノミです。ネコノミは体長が約1~3mm、褐色の色をしています。1)ノミは体の表面に寄生するため肉眼でも見えるはずですが、犬猫が毛で覆われていること、ノミが動き回っているため、ノミの姿を確認することは、じつは結構難しいです。

ノミの姿そのものを見つけられなくても、毛をかき分けると皮膚に黒い粉があったり、ワンちゃんネコちゃんの周りに黒い粉が落ちていることがあります。これを湿らせたコットンやティッシュに置き、軽くつぶすと赤茶色ににじむ場合、この黒い粉はノミの糞です‼ノミの糞がワンちゃんネコちゃんに付いているということは、ノミに寄生されています‼
体表に寄生する大量のノミ
赤茶色ににじむノミの糞

ノミに寄生されると?

子犬や子猫の場合は大量に吸血されると貧血になってしまうこともありますが、成犬・成猫の場合は貧血になることはまれです。それ以上に、ノミに寄生されると色々なトラブルが引き起こされてしまいます。
皮膚の痒み、ノミアレルギー性皮膚炎
犬猫がノミに咬まれた時に皮膚に傷ができ、痒みが生じます。ノミに対してアレルギーを持っていない場合はその咬まれた部位だけに皮膚のトラブルが起こりますが、ノミアレルギーの場合、咬まれた時に体内に入ってくるノミの唾液に対してアレルギー反応を示すため、広い範囲で痒みや皮膚のトラブルが生じます。

犬のノミアレルギーは、尻や尾の付け根、鼠径部(そけいぶ:内股の大腿部の付け根あたり)を噛んだり引っかいたりし、痒みが強く皮膚は赤くなります(ホットスポットと呼びます)。

猫のノミアレルギーでも同じような皮膚炎ができますが、よりさまざまな症状がみられ、背中やお腹・首など広範囲でブツブツした赤い点状のかさぶたや隆起が見られます。

一度ノミアレルギーを発症すると、今後ノミに寄生されるたびにノミアレルギー性皮膚炎が起こります。
犬のノミアレルギー性皮膚炎
猫のノミアレルギー性皮膚炎
寄生虫や病気の媒介
ノミは他の寄生虫や病気を媒介することがあります。代表的なものは瓜実条虫という寄生虫です。

犬猫がグルーミングなどでノミを飲み込むと、ノミの体内にいる瓜実条虫が犬猫の体内に入ります。瓜実条虫は犬猫の消化管に寄生し、犬猫の糞便中にこの寄生虫の一部が見られたり(米粒のように見え、よく見るとうねうね動いてますよ)、肛門周りに付着していたりします。少数の寄生では無症状ですが、多数寄生になると下痢や食欲不振になることがあります。
実はこの瓜実条虫、人にも寄生します。乳幼児に感染すると腹痛や下痢が見られることがあるので、注意しましょう!

ノミの駆除は大変!

犬猫にノミが寄生すると、犬猫に寄生する成虫のノミと、周りの環境中に存在する卵・幼虫のノミ全てを駆除しなければいけません!

私たちが肉眼で見えるノミは成虫だけで、しかも成虫はノミ全体の約1%しか占めていません。つまり、ノミ1匹を見つけると、実はすぐ近くに100匹の幼虫と卵がいるということです。

卵や幼虫は家の中のカーペットや家具の下
などに潜んでいるのです。考えると少しぞっとしてしまいませんか?

環境中のノミに対してはカーペットや寝具を徹底的に洗濯し、その他ワンちゃんネコちゃんが居るエリアに掃除機をかけ、粘着性のあるクリーナーなどで掃除します。

1回掃除をすると一部の幼虫が死滅しますが、残念ながら全てのノミを駆除しきることは困難です…。抵抗力のある卵が孵化したり、繭から成虫が出てくると、また繰り返し寄生が起こってしまいます。

また、ワンちゃんネコちゃんに寄生しているノミに対しては駆虫薬を使用します。滴下するタイプや経口薬、おやつタイプのものなど様々なタイプの薬があります。

このようにノミを見つけてから駆除するのはとてもとても大変なんです…。ですので、そもそもノミに寄生されないように予防をしておくことをおすすめします!!

さいごに

大切なワンちゃんネコちゃんがノミに狙われてしまう前に、ノミがワンちゃんネコちゃんの周りで増えていかないようにしっかりと駆除・予防していくことが大切ですね。予防薬には色々な種類があるため、ぜひ一度相談にきてくださいね。
参考文献
1) Textbook of Veterinary Internal Medicine 第7版 p99

画像提供:犬と猫の皮膚科 村山 信雄先生、東京猫医療センター 服部 幸先生