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おしっこが出ていない… 慌てる前に知っておきたいこと
あれ?いつもならトイレが済んでいるはずなのに、そういえば今日はしていない…

何度もトイレに出入りして排尿ポーズをとっているのに出ていないな…


こんな素振りはワンちゃんネコちゃんたちからの緊急SOSかもしれません!
あともう少し様子をみてから病院へ行こうかな、では手遅れになることもあります。すぐに動物病院へ連れてきてください!!

おしっこが出ないのはなぜ?

おしっこが出ていない!?

と焦りますよね。一度どのパターンに当てはまりそうか、考えてみましょう!


探したらトイレとは異なる場所で粗相している(つまり、おしっこは出ている!)
トイレをよく見ると、頻尿で1回量は少ないが、一応出ている
(これも、おしっこは出ていますね!食欲はいつも通りであるかも確認してください)
何回もトイレに行くが、出ていないこれが緊急事態!!

上の二つは焦らなくて大丈夫です。ただ、膀胱炎やストレスなど、何かしらの異変によっていつもとは違う排尿となっているかもしれないので、様子を見つつ動物病院に連れてきてあげてください。

最後のように、本当におしっこが出せていない、これは緊急で動物病院へ連れてきてください!

元気がなかったり嘔吐している、隠れて出てこない、などといった症状も見られることがあります。おしっこの通り道である尿道に、何かが詰まっている状態で、“尿道閉塞”と呼びます。詰まっているものには、結石や腫瘍、炎症でできたもろもろした物質(栓子といいます)がありますよ。

なりやすいのは誰??

女の子のネコちゃん、ワンちゃんでも起きる可能性がありますが、ダントツで多いのは男の子のネコちゃんです!!
というのも、男の子の尿道は女の子に比べて細くて長く、曲がっているため、結石や栓子が引っかかって詰まりやすい構造となっているからです。
尿道閉塞はおしっこが外に出せない状態なので、膀胱におしっこがどんどん溜まり、膀胱はパンパンになっています。

おしっこは体にとって不要なものであり、毒素です。

毒素が体に溜まっていくと、やがて激しく吐く、けいれん、意識がもうろうとする、などといった症状につながり、最悪の場合は命に関わることもあります。

ですので、詰まっているものをなるべく早く取り除いてあげる必要があります‼
早めに異変に気付き、数時間以内に治療を開始できた症例では、多くの子が円滑に回復していますよ。

動物病院で行うこと

問診や身体検査などによりおしっこが出ていないことが判明した場合、まずは早急に閉塞物を取り除きます。

動物病院ではカテーテルを尿道に通して詰まりを解除し、膀胱からおしっこが出せるように処置します。ただ、どうしても嫌がって動いてしまう場合には(きっと痛いです…!)、鎮静剤でウトウトしてもらうこともあります。

無事に詰まりがとれたら、血液検査や尿検査などで全身状態の把握、尿道閉塞が起きた原因を調べます。

治療

その子の状態に合わせて、点滴や投薬による治療を行います。
しばらく入院して集中的に治療することが必要なのか、その日のうちに帰宅して通院で治療するのか、などはその子の状態によって、ご家族と相談して決めていきます。

尿道閉塞は再発することも多いため、原因によっては食事を変更したり、生活環境を見直しながら再発予防に努めましょう!
また、尿が濃くなると結石や尿砂ができやすくなります。そのため、水分をたくさん摂取して尿を薄くし、排尿の回数を増 やすように促してあげてくださいね。

ご自宅でできる予防

冬は水を飲む量が減って尿が濃くなり、結石ができやすくなって尿道閉塞になりやすいといわれています。
水飲みボウルを増やすウェットフードを与える、などでしっかり水分をとらせることで尿を薄くしておしっこの回数を増やし、この病気を防ぎましょう。

また、ストレスから膀胱炎になって尿道閉塞が起きるパターンもあります。なるべくストレスに配慮した生活環境やトイレにしてみてください。

あとは日頃から、異変がないかも見守ってください。ある報告によると、適切に治療を受けた猫の90~95%が回復・退院できたと言われています1)早期に異変に気付くことで、早めの治療につなげることができます。
知っていますか?
ネコちゃんにやさしいトイレ環境
ネコちゃんを多頭飼いしている場合、理想のトイレ数は猫の頭数+1個です!
また、トイレのサイズはネコちゃんの体長の1.5倍以砂の深さがある程度しっかりあるもの、清潔であることなどもポイントです。トイレは、食事をする場所から離しておいてあげてくださいね。

おわりに

いかがでしたか?様子を見てはいけない病気のひとつである“尿道閉塞”について知ってもらえると嬉しいです。
特に男の子ネコちゃんにこんな様子が見られたら、尿道閉塞かも!?と疑ってくださいね。

早期発見できればワンちゃんネコちゃんへの体の負担は少なく回復も早いため、穏やかな日常生活をすぐに取り戻せると思います。
参考文献
1)Managing Feline Urethral Obstruction. Today’s Veterinary Practice 2020;11(1):41-50.