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【重要】愛猫とご家族を守るために。致死率の高い感染症「SFTS」の脅威が東日本にも拡大
こんにちは、アインス動物病院です。

今回は、猫の飼い主様にぜひ知っていただきたい、大切な情報をお届けします。
東日本方面へ感染拡大の懸念がありますので、是非ご一読ください。

「SFTS(重症熱性血小板減少症候群)」という病気をご存知でしょうか?

数年前までは「西日本が中心の感染症」というイメージがありましたが、その常識はもはや過去のものです。近年、SFTSの脅威は関東地方を含む東日本へと着実に拡大しており、ここ横浜も決して例外ではありません。

そして、SFTSは猫だけでなく、人の命をも奪う恐ろしい病気です。感染した猫から飼い主様へ、さらには治療にあたっていた獣医師へ感染し、死亡に至るという悲しい事例が現実に起きています。

大切なネコちゃんとご家族、そしてご自身の命を守るために、SFTSの正しい知識と予防法を再確認してください。

SFTS(重症熱性血小板減少症候群)とは?

SFTSは、「SFTSウイルス」を保有するマダニに咬まれることで感染する病気です。
もともとは人の病気として知られていましたが、近年、犬や猫、特に猫での発症と高い致死率が問題視されています。

猫がSFTSに感染すると…

猫がSFTSウイルスに感染すると、以下のような症状が現れます。

✅突然の元気消失、ぐったりしている
✅食欲が全くない
✅40℃以上の高熱
✅嘔吐、下痢、血便
✅白血球や血小板の異常な減少
✅黄疸(皮膚や白目が黄色くなる)

これらの症状は他の病気でも見られますが、SFTSの場合、症状の進行が非常に速く、致死率は70%以上と極めて高いのが特徴です。残念ながら、現時点でSFTSウイルスに対する特効薬やワクチンはなく、治療は症状を和らげる対症療法が中心となります。

脅威の拡大と「猫から人へ」の感染リスク

SFTSは、これまで西日本を中心に報告されてきましたが、近年では静岡県や千葉県といった関東地方でも患者が確認され、感染地域は明らかに東へと拡大しています。

特に飼い主様にとって深刻なのは、動物由来感染症(ズーノーシス)としての側面です。SFTSに感染し、ウイルス血症(血液中にウイルスが存在する状態)に陥った猫の血液や体液、排泄物に直接触れることで、人にも感染します。

実際に、過去にはSFTSを発症した猫の看病をされていた飼い主様が感染し、亡くなられるという痛ましい事例が報告されています。さらに、今年(2025年)に入ってからは、三重県で入院中の猫の治療にあたっていた獣医師がSFTSに感染し、亡くなるという大変ショッキングな出来事も発表されました。

適切な知識と防御策を持って動物の治療にあたる獣医師でさえ、命を落とす危険がある。これは、SFTSがいかに深刻な感染症であるかを物語っています。ネコちゃんの体調が悪ければ、献身的に看病するのは当然のことです。しかし、その優しさが、飼い主様ご自身の命を危険に晒してしまう可能性もあるということを、どうか忘れないでください。

愛猫と家族を守る、最善にして唯一の対策

SFTSには有効な治療法がありません。だからこそ、「感染させない」予防が何よりも重要です。

1. 定期的なマダニ駆除薬の投与
最も効果的な予防策は、動物病院で処方されるマダニ駆除薬を定期的・継続的に投与することです。市販の製品では効果が不十分な場合があるため、必ず獣医師にご相談いただき、ネコちゃんに合った駆除薬を選びましょう。

2. 完全室内飼育の徹底
マダニは草むらや藪、公園などに潜んでいます。お外に出る習慣のある猫は、それだけマダニと接触する機会が増えてしまいます。SFTSだけでなく、交通事故や他の感染症からネコちゃんを守るためにも、完全室内飼育を推奨します。

3. ブラッシングと身体のチェック
室内飼育でも、飼い主様の衣服や靴に付着したマダニが室内に持ち込まれる可能性はゼロではありません。日々のブラッシングを習慣にし、マダニがいないか全身をチェックしてあげましょう。特に、目の周り、耳、足の指の間などはマダニが付きやすい場所です。

4. マダニを見つけても、絶対に無理に取らないで!
もし猫の体にマダニを見つけても、決してご自身の指やピンセットで無理に引き抜こうとしないでください。マダニの口器が皮膚に残り、そこから病原体が侵入したり、皮膚炎を起こしたりする原因になります。必ず、そのままの状態で動物病院へお越しください。

さいごに

SFTSは、遠い地域の病気ではなく、ここ横浜で暮らす私たちにとっても、現実の脅威です。
「うちの子は大丈夫」という油断が、取り返しのつかない事態を招く可能性があります。今日からできる予防策を徹底し、ネコちゃんとご家族の、そしてご自身の健康を守っていきましょう。

ご不明な点やご心配なことがあれば、どんな些細なことでも構いません。お気軽に当院までご相談ください。