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犬と猫の緑内障(ショート版)
“目”は私たちにとって、とても大切なもののひとつですよね。

目がゴロゴロする、違和感がある…など、目のちょっとした変化を自覚して伝えてくれればいいのですが、ワンちゃんネコちゃんはそうもいきません。
目にはあっという間に悪くなってしまう病気もあるので、ちょっと変わったことがあれば早めに相談に来ていただくことをおすすめします。

緑内障ってどんな病気?

緑内障がどんな病気か知っていますか?

“緑内障”という名前から、目が緑色になる病気なの?と思うかもしれませんね。
元々の由来は、昔ヨーロッパで失明した人の眼球が緑色に見えたことから、この病名が付いたとも言われています。

緑内障は眼の奥にある、見るための大事な組織(網膜や眼の神経)がダメージを受けます。進行すると失明につながります。残念ですが緑内障によって一度失明すると、再び見えるようになることは難しいです。

なぜダメージを受けるのかというと、目の中に元々ある水(眼房水)が溜まりすぎて、その水が周りの組織を圧迫することで周りの組織が障害を受けます。

症状 ~こんな様子があれば早めに病院へ‼

目の病気の中でも、緑内障はあっという間に悪化してしまうことがあります!次のうち、ひとつでも当てはまる症状があれば来院してくださいね。
目の充血
眩しそうな表情
目を擦る
目や顔を触ろうとすると嫌がる(痛み)
食欲低下や元気消失(痛み)
目の大きさが左右で違う
瞳孔の大きさが左右で違う

診断と治療

診断は機械を使って眼圧(眼の中の圧)の測定をしたり、目の外観だけでなく奥の様子も確認して行います。さらに、緑内障のきっかけとなるような他の病気も潜んでいないかを調べます。

治療にはいくつか種類があり、その時の状態や進行度合いによって治療方法が変わってきますが、大きな治療方針は2パターンです。
まだ発症したばかりで見えている場合、または視覚が回復できるかもしれない場合
眼房水が溜まらないようにちゃんと排泄できる通り道を作る方法(隅角インプラント)や、眼房水の産生を減らして排泄を促す方法(毛様体レーザー光凝固術)があります。
進行して、すでに視覚が消失して見えない場合
この場合は、残念ながら視力の回復は難しいでしょう。
治療の目的は痛みや不快感を感じないようにしてあげることになります。緑内障はそのままにしておくと、徐々に眼球が大きくなって外観が変化してしまいます。また、ちゃんと瞬きができずにいると、角膜や周囲の組織にも影響が出てます。治療には義眼を入れてあげたり、眼球を摘出して目を閉じる方法などがあります。

予防、できること

緑内障を予防できる方法はなく、しかも進行すると失明してしまうので、なるべく早くに治療をスタートすることが重要です!初期の段階で気付くことができれば進行を遅らせたり、軽症のうちに治療を行うことができるので、異常に早く気付いてあげることが大切ですよ。

緑内障になりやすいと言われている犬種猫種(柴犬、アメリカン・コッカースパニエル、バセットハウンド、シー・ズー、猫ではシャム猫など)の子は普段から定期的に動物病院で目をみせてくださいね。

ほかにも、上に記載したような症状がある場合は、様子をみるよりも早めの受診をおすすめします。

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画像提供:どうぶつ眼科専門クリニック 辻田裕規先生