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インコのそのう炎とは?
インコの体調変化は気づくのが難しいこともありますが、なるべく早く気づいてあげたいものですね。
今回はご家族に是非知っておいてほしい、インコの病気のひとつである「そのう炎」についてのお話です。

“そのう”って何??

鳥の消化管のうち食道が憩室状に膨らんだものを、“そのう”と言います。そのうは主に食物の一時的な貯蔵場所で、消化は基本的には行われません。外敵から逃れたインコは急いで一気に食べた餌を、後で安全な場所で胃に少しづつ移動させて消化するといった意味があります。そのうの形は、首の根本を横切った2つの大きな憩室になっています。
雛は、母鳥から与えられた餌をそのうに貯蔵しています。また手乗りにする際の挿し餌の回数や量を、そのうの膨らみで判断することがありますよ。

そのう炎とは?

そのう炎とは、そのうに炎症が起こることです。

そのう炎が起こる原因は、細菌や真菌感染(カンジダ症)、トリコモナスなどの寄生虫感染です。
雛では過剰に挿し餌をしすぎると、そのううっ滞や停滞した餌の腐敗が起こり、二次的に炎症を起こすこともあります。

そのう炎の症状

そのう炎の特徴的な症状は“嘔吐”です。

鳥の嘔吐は、頭を左右に振って、吐物を頻回にまき散らすため、頭部や顔周囲の羽毛が吐物によって汚れたり、ケージや容器に吐物が付着します。もしも吐く瞬間を見ていなくても、頭や顔が汚れている場合は吐いた可能性が高いです。ただし、発情したオスのインコは求愛行動で食べた餌を吐き戻します。この場合は、首を縦に振って、足元や求愛対象に向けて一か所に吐き出すことが特徴です。

また、嘔吐はそのう炎だけでなく、胃の病気、異物摂取、全身感染症などでも起こることがあります。

診断

動物病院では、そのうを触診して大きさを確認したり、そのう液の吸引物を顕微鏡で検査をします。

そのう液は先端が丸くできた金属製のゾンデを使用して採取し、顕微鏡検査で細菌、真菌、寄生虫を確認します。なお、そのう内には少量の細菌が常在していますので、症状を含めて総合的に病気の判断を行います。

また、そのうが餌で充満している時は検査の正確性が落ちるため、そのうの内容物が少ないか、または無い時に行うのが理想です。そのう炎以外の病気がないかどうかチェックするため、レントゲン検査やPCR検査なども行い、原因の鑑別をすることもあります。

治療

原因に沿った治療を行い、抗生物質、抗真菌剤、寄生虫の駆除薬などを投与していきます。

そのう炎の初期は食欲も無く、食べてもすぐに吐いてしまうことも多いので、飲み水などにビタミン剤などをまぜて、しっかりと保温してあげましょう。

さいごに

そのう炎の予防として定期検査をうけ、ストレスにならない範囲でそのう液検査を行ってもらうのもよいと思います。そして、搬入仕立ての雛や幼鳥では寄生虫がいることも多いので、注意してくださいね。