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ウサギの不正咬合って?
ウサギの歯が伸びることは知っていますよね?それも前歯も奥歯も伸びるんですよ!

この歯が伸び過ぎて食事が食べれなくなる病気が不正咬合です。不正咬合はウサギの病気の中でも上位にランクアップされ、一般的に発生します。ウサギさんのご家族は、ぜひこの病気のことを知っておいて下さいね!

不正咬合の症状

歯が長く伸びると食事が食べにくくなります(食欲不振になります)。歯が伸びているかどうかは前歯の場合、唇をよけるとすぐに確認できます。牙のように長く伸びていたり、反対に短くなっていることもあります。ウサギさんをおさえて前歯の確認をして下さい。
奥歯は伸びると縁が尖って頬の粘膜や舌を傷つけます。この縁の尖りをスパイクと呼び、上顎の奥歯にも下顎の奥歯にも発生します(下の図)。伸びた奥歯が口の中を傷つけるとヨダレが多くなり(流涎)、食事をしていない時も常に口をモゴモゴさせています。ヨダレが口の脇を通って顎下の皮膚がガビガビになったり、皮膚炎を起こすこともあります。しかし、奥歯の確認は自宅では難しいため、動物病院に連れてきてくださいね。
さらにウサギの歯は先端が伸びるだけでなく、歯茎に埋まっている根っこ(歯根)も伸びることが特徴です。上顎の前歯の根っこが伸びると涙の排泄管である鼻涙管を圧迫するため(下の図)、涙目になります。上顎の奥歯の歯根が伸びると眼球が突出します(眼球突出)。歯根は感染を受けることが多く、歯根膿瘍が発生するとウサギの顔や顎が腫れあがります。

検査

不正咬合が疑われたウサギは動物病院でどんな検査を受けるのでしょうか?

ウサギの歯は先端だけの評価でなく、歯根の評価が必要になります。まずは前歯と奥歯をそのまま見て、歯が長いのか?スパイクができているのか?確認します。そして、通常はレントゲン検査を受けて歯の全体の確認をします。
しかし、ウサギの顔と歯は小さくて左右上下が重なるために、鼻涙管の圧迫や歯根膿瘍などレントゲン検査だけでは診断つかない病巣は、CT検査が必要となるケースもあります。

不正咬合の治療

長い前歯は麻酔はせずにそのままカットできます。奥歯のスパイク(尖り)がある場合は、大半は麻酔をかけて研磨する必要があります。歯根が伸びている場合は対応はできませんが、歯根膿瘍などは抜歯をしなければならないこともあります。

原因と予防

では、ウサギさんの歯が伸びすぎないようにするにはどうしたらよいのでしょうか?

ウサギの不正咬合の原因が生まれつきの場合もありますが(ネザーランドなどの短頭種に多発)、多くは普段与えている食事です。「硬い食事をウサギに与えると歯が伸びない」と言われますが、これは間違いです。硬い食事だとウサギの歯が折れたりしますので、正解は以下のようです。

「ウサギが食事を食べて、顎をよく回転させながら動かして歯を適度な力で摩耗させる…牧草を主食にする」

つまり、ペレットよりも牧草を多く与えるようにして下さい。野菜であれば葉っぱだけでなく茎も食べてもらいましょう!そして、動物病院を定期的に受診して、前歯や奥歯の状況を診せてくださいね。