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そうだ、ダイエットしよう!
人と同じように、犬猫でも最近「肥満」が問題視されるようになってきました。
肥満、と聞くとただ見た目の特徴のことを言うのかな、と思いがちですが、肥満はちゃんとした病気(栄養性疾患)なんです。また、肥満である犬猫は呼吸器の病気や糖尿病(猫)など、様々な病気を引き起こすリスクがあります1)

人では体格を数値化するときに BMI(Body Mass Index) を使いますが、犬猫で同じようなものを指す指標としてBCSというものがあるのを知っていますか?

あなたのワンちゃんネコちゃんのBCS、一度チェックしてみましょう!

BCSってなに??

BCSとは Body Condition Score(ボディ コンディション スコア)の略です。

ワンちゃんネコちゃんはその子その子で大きさにかなりばらつきがあるため、体重だけでは理想の体型かどうかを判断するのは難しいですよね。そこで、誰でも簡単に評価できるようにしたのがBCSです。BCSは9段階ないし5段階に分けられていて、数字が大きくなるほど肥満度が高い体型を表します。つまり、1は痩せすぎ、9(5段階の場合は5)は太りすぎ、4~5(5段階の場合は3)が適正です

BCSをチェックするポイント

肋骨を触ってみて適度に触れるかどうか、背骨を触って尻尾までわかるかどうか
上から見たときに胴がくびれているか
横から見たときにお腹がひきしまっているか
この3つをみてくださいね。毛があると分かりづらいので、なるべく毛をかき分けてしっかりと触ってチェックしてみてください。

あなたのワンちゃんネコちゃんのBCSはどうでしたか?

7(5段階の場合は4)を超えていると…肥満体型です!一緒にダイエットに取り組んでいきましょう!

ダイエットに挑戦しよう!

① まずは理想の体重を知る
犬ではBCSが4~5(5段階では3)、猫では5(5段階では3)が適正とされていますが、それって結局は何kgなの??と分かりにくいですよね。

そんな時は病院のスタッフまでお声がけください。一緒にBCSを見て、理想体重を設定させていただきます!
その子その子の体格により、適正な体重は他の子と異なります。品種によって決まっているということもありません。

ちなみに自宅でワンちゃんネコちゃんの体重を測る場合、まずは抱っこして測り、そのあとご家族の体重だけ測って引くとその子の体重が分かりますよ。
② 正しいフードを選ぶ
目標体重が分かったら次はどのフードにするか決めましょう。

色々なペットフード会社がダイエット用のフードを出しています。ダイエット用のフードの多くは満腹感を与えるために食物繊維が多く入っていることが多く、これにより便の量が増えることがあります。
『ダイエット』というのは本来は英語で『食事』ということになります。メーカーによっては、ダイエット(Diet)というのを名称に使っている場合、食事ということで使っている場合もあります。「◯◯社の〇〇ダイエットという食事を与えているのに、全然痩せません。」という話をたまに聞きますが、それは痩せるという意味でのダイエットではなく、ただ単にドッグフードという意味で使っていた、ということがよくあります。

また、療法食を食べている場合は、フードを変える前に必ず相談してくださいね。

ちなみに、量をたくさん食べたい子はグラムあたりのカロリーが少ない方が、量を食べられることになります。どんなフードが良いかは一緒に考えていきますのでお気軽にご相談ください。
③ 与える量を計算する
フードを決めたら、1日に与える量を計算します。

1日に必要なカロリーはその子の体格や年齢、避妊・去勢をしているかなどで変わってきます。その子に合わせたカロリー計算をするので、ぜひ相談してくださいね。
④ 動物として自然な食生活にしたり、適度な運動を
お皿からフードを食べるということは、実はとても不自然なことです。お皿にフードを入れるのは、とても楽ちんですが、他に特に楽しみや刺激のない生活を送っていると、どんどんと食べる様になってしまう可能性があります。
本来、自然ということで言えば、猫さんやワンちゃんは、1日の大半を餌を求めて探し回り、生きている獲物がいれば、そっと忍び寄ったり、追いかけたりして、飛びかかり、捕まえ、仕留めます。そして、引きちぎったり、噛み砕いたりして、しっかりと歯を使い、食べます。
これらの本来の行動がなくなってしまうと、身体的にはストレスが生じ、頭も使わなくなり、歯も使わなくなって歯周病などになりやすくなります。動くことも少なくなりますから、消費するカロリーも減ってしまいます。
よって、こうしたことを改善することもダイエットにつながります。
食事量の管理のほかに、知育トイの様なもので、おもちゃからおやつが出てくるタイプのものを使って、そこから食餌を食べる様にすることで、頭も使います。なかなか食べることができないので、食餌の量も減るでしょう。もしも、道具を用意したり、遊びながらを与えるのが大変な場合は、お皿の中が複雑な形状なタイプのものを使うことで、食べるのに時間がかかり、少し効果がある可能性もあります。しっかりと毎日、遊んであげたり、散歩したり、運動してカロリーを消費させてあげることも大切です。
散歩やおもちゃを使っての遊びはご家族との絆を深めるためにもとても良いと思います!是非遊んであげてくださいね。
頑張っているのに痩せない…なんで?!
ダイエット頑張ってるのに全然痩せないんです…どうしてですか?

なんて声をよくお聞きします。
思っていたよりもご飯の量が多かったりすることもありますが、よくよくご家族皆さんにお話を聞いてみると、実は誰かがコッソリおやつをあげていた…!!なんて話も意外と、あるあるです。笑

与え方にも一工夫を

ご飯の回数を増やす
今まであげていたご飯の回数から、回数を増やしてあげるとその分満足度が高まります。もちろん、1日のトータル量は変えないで、一回分の量を減らして与えてくださいね。
おやつの種類の見直し
あげているおやつは何ですか?

ペット用のクッキーやチーズ、もしかしたら人の食べ物、という方もいるかもしれません。これらはカロリーが非常に高く、ほんの少しのつもりでも栄養過多になってしまうこともあります。おやつの種類も低カロリーのダイエット用のものに変えてみてください。

また、フードとは別におやつを与える場合は、その分のカロリーも考えてフード量を減らしてくださいね。フード自体が好きな子は、フードを少し“1日のおやつ分”としてよけておき、そこからおやつとしてあげるのも良いと思います。
玩具を使う
フィーデングトイと言って、おもちゃの中にドライフードを詰めて与え、自分で遊びながら少しずつフードを食べることができるものです。

さいごに

ダイエットを始めたら3週間を目安に、体重が全く落ちていない場合は少しフードの量を減らしてみてください。また、ダイエットをする時には一緒に住んでいる家族みんなに話して協力してもらう、ということもとっても大切です!

ワンちゃんネコちゃんが健やかに長生きしてくれるためのダイエットですが、ダイエット自体がストレスにならず楽しく挑戦できるとよいですね!
参考文献
1)石岡克己, 2021. ペット栄養学会誌 24(1): 46-56