2023年、今年もあとわずかですね。本年もありがとうございました。これから年末年始に向けて、クリスマスや大晦日、お正月などのイベントがたくさん控えていますね!
年末年始は皆さまどのようにお過ごしでしょうか?ワンちゃんネコちゃん達とご自宅でのんびり過ごされる方や普段なかなか会えない親戚と集まる方も多いかもしれません。
今回はせっかくの年末年始に慌てて病院へ駆け込む…なんてことにならないように、少し気をつけていただきたいお話をしますね。
気をつけたい食べ物
骨付きチキン 鳥の骨は食道に引っかかってしまったり、胃腸を傷つける危険性があります。大体は消化できますが、たくさん飲み込むと消化管に詰まる可能性もあります。
チョコレート チョコレートの主原料であるカカオ豆に含まれる、テオブロミンやカフェインなどのメチルキサンチンという物質により中毒が起こります。嘔吐や下痢、失禁がおこり、続いて興奮、重症の場合は頻脈、心臓の心拍リズムの異常、痙攣(けいれん)などが見られ、最悪の場合は亡くなる危険性もあります。食べてから2~4時間以内に効果的な治療(吐かせる処置など)ができれば、治療がうまくいくと言われています1)。
ナッツ(マカダミアナッツ) マカダミアナッツを食べて中毒が起こった症例が報告されています。食べると嘔吐、ふらつき、発熱、震えなどがみられます。
タマネギやネギ タマネギやネギ類に含まれる有機チオ硫酸化合物という物質が血液中のヘモグロビンを酸化し、赤血球を破壊(溶血)して、その結果貧血が起こります。この有機チオ硫酸化合物は加熱や乾燥などの加工をしても成分は変わらないため、タマネギを使った加工食品にも注意が必要です。
ぶどう・レーズン ぶどうを食べると数時間後に元気消失、嘔吐がみられ、急性腎不全が起きる可能性があります。
ここに紹介したものが全てではないので、普段食べ慣れていないものは与えないようにしましょう。ワンちゃんネコちゃんにもイベント気分を味わってもらいたいのであれば、動物用のお重なども売られていますよ。
食べ物以外で気をつけたい物
薬物 人の市販の風邪薬に配合されているイブプロフェンやアセトアミノフェンは犬猫にとって危険な物質です。これらは人の市販の風邪薬に配合されていることも多いため、誤って食べてしまわないように注意してください。
おもちゃ 動物用でなくても小さいお子さんのおもちゃなど、いつもは気をつけてるけれどみんなでわいわいして少し目を離した隙に食べたかもしれない…となることもあります。
植物 犬猫にとって危険な植物は実はとても多いです。その中でも花びらを舐めただけでも危険なのはユリであり、花粉や花びら、花が入った花瓶の水を舐めただけでも危険です。猫での感受性は高く、少量でも急性の腎障害が起こり、死に至る可能性があるため注意が必要です。他にもクリスマスに飾る機会が多いポインセチアにも気をつけてほしいです。
いかがでしたか?楽しい年末年始となるよう、口にしてはいけないものには注意してあげてくださいね。
2023年も皆さまに支えられ、無事に一年を終えることができそうです。感謝いたします。
今年ももう残りわずかですが、良いお年をお過ごしください。
参考文献
1)Sturgeon K., Sutton NM., 2008. Clinical Toxicology 46(5): 384-3845)