抱き上げたら急に「キャン」と鳴いた‼ 後ろ足をひきずって歩いている⁉
こんな様子が見られたら、もしかすると椎間板ヘルニアになってしまったかもしれません。
言葉を話さないからこそ、ちょっとした変化に気づいてあげたいですよね。
今回は “椎間板ヘルニア” について、お話します!
椎間板ヘルニアってどんな病気?
背骨(脊椎と言います)は、とても大事な神経(脊髄)を取り囲んでいる骨であり、脊髄を守っています。脊椎の間には椎間板があり、脊椎が動く際のクッションの役割をしています。
このクッションである椎間板が脊髄を圧迫すると、脊髄がきちんと機能できなくなります。これによって足のふらつきや麻痺などの症状が出てくるのです。

ダックスフンドが椎間板ヘルニアにかかりやすいって本当??
椎間板ヘルニアがよくみられる犬種はミニチュア・ダックスフンド、ウェルシュ・コーギーなどです。これらの犬種は「軟骨異栄養性犬種」と呼ばれ、そもそも遺伝的に椎間板ヘルニアになりやすいと言われています。
椎間板ヘルニアになると…
脊椎は首から尻尾まで並んでいるため、そのどこでもヘルニアが起きる可能性がありますよ。
症状には次の5つの段階がありますが、数字が大きいほど重症です。
グレード1:痛みだけ歩くことはできるけれど痛みがあります。背中を丸めていたり、ジャンプや段差を嫌がる、触るとキャンと鳴く、などの症状が多いです。
グレード2:ふらつき歩けるけれど、ややふらついたり滑ったりします。
グレード3:麻痺後ろ足をひきずって歩くなど、4本足で歩くことできません。歩行時は前足だけで後ろ足は伸びたまま引きずって歩くことが多いです。
グレード4:さらなる麻痺さらに麻痺が進行し、自分の意志でおしっこができなくなります。表層の痛みを感じなくなりますが、まだ深い部分の痛みは感じることができます。
グレード5:完全な麻痺骨など、体の表面から離れた深い部分の痛みも感じることができなくなります。足先の骨の部分をペンチのようなものでつまんでもなにも感じない。
動画はグレード5のワンちゃんです診断と治療
動物病院での診察やレントゲンからスタートしますが、確定診断にはCTやMRIが必要となり、2次診療施設や専門病院で行うことが多いです。
早めに治療がスタートできれば回復もスムーズとなることが多いですが、重症度や経過によっては後遺症が残ってしまうこともあります。また、手術してもまた別の場所で再発することもあるため、生活面でのケアが大切になってきますよ。
おうちでできること
一度よくなっても、油断は禁物。普段の生活からヘルニア予防を意識してあげることが大切です。
突然の麻痺や痛みは、お家族も驚いてしまいますよね。
でも、「ヘルニアってこんな病気なんだ」と知っておくだけで、早く気づいて行動につなげることができます。
ぜひ参考にしてみてください!
動画提供
動画提供:長谷川 大輔先生(日本獣医生命科学大学 教授)