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突然ぐったり…?大型犬で注意したい“胃拡張胃捻転”
「いつも元気に走り回っているうちの子、急にお腹がパンパンに…?」

そんなとき、すぐに思い出してほしいのが“胃拡張・胃捻転症候群”という病気です。

名前だけ聞くと難しそうですが、この病気、実は命に関わる緊急疾患。
特に大型犬と暮らしているご家族には、ぜひ知っておいていただきたい内容です!

胃が膨れてねじれる?何が起こっているの?

この病気は、胃の中にガスや食べ物がたまりすぎて、胃が異常に膨張(胃拡張)し、さらに胃がねじれてしまう(胃捻転)状態のことを指します。

胃がねじれると、血流が途絶え、胃や脾臓が壊死する恐れも…。
また、胃の圧迫で体中の血流が滞り、ショック状態に陥る危険もあるのです。

数時間で一気に悪化し、20〜45%1)が命を落とすというデータもあるほど。
早く治療を開始できるほど助けられる可能性は高くなるため、ご家族にはなるべく早く異変に気付いてほしいです。

どんな子がなりやすいの?

以下のような要因が重なると、発症するリスクが上がります。

グレート・デン、シェパードなどの大型犬(胸の深い犬種)
ごはんの一気食い
食後すぐの激しい運動
1日1回だけの食事
高い位置での給餌
両親に同じ病歴がある
高齢化


小型犬や猫でもまれに起こることがあるため、すべての飼い主さんに知っておいてほしい病気です!

こんなサインは見逃さないで!

次のような症状が見られたら、胃拡張胃捻転が起きているかもしれません。すぐ動物病院へ連れてきてください!
落ち着かず、そわそわ歩き回る(お腹が痛い)
よだれが多い
吐こうとしても吐けない
お腹が異常に膨れている
やがてぐったりしはじめる
歯ぐきの色が白くなる
特に、大型犬で「吐きたそうにしているけど吐けない」様子がみられるのは、この病気である可能性が高いですよ!!

治療・普段からできる予防

治療は、レントゲンや血液検査で診断します。一刻を争う状況なので、検査と同時進行で点滴や胃のガス抜きを行い、少しでも状態を改善させます。その後手術で胃のねじれを元に戻し、再びねじれない様にお腹の中で固定させます。

大型犬と暮らすご家族は、普段の生活から次のことが予防に繋がりますよ。
食後の運動は避ける(約2時間程度)
1日1食ではなく、何回かに分けて食事を与える
胃拡張・胃捻転になったことがあるワンちゃんとの繁殖は避ける
避妊手術のときに胃をお腹の中で固定させて、胃捻転が起きるのを予防しておく方法も

さいごに

この病気はいかに早く気付いて早く治療を開始できるかにかかっています。
とくに大型犬のご家族は、もしものときの判断材料として、ぜひこの病気の存在を覚えておいてください!
参考文献
1)Katy M Evans.,Vicki J Adams., 2010. J Small Anim Pract 51(7):376-81