8月24日(土)14時〜15時・ネコちゃんセミナー開催
当院では、週末に各種イベント・セミナーを実施しています。
毎月第4土曜日は、ワンちゃん・ネコちゃんのQOL(生活の質)向上のために、正しい接し方やしつけを知って頂き、人とワンちゃん・ネコちゃんとの幸せな共生社会の実現を目指すための、ライフアップセミナーを開催中!
8月24日(土)14時〜15時には、ネコちゃんセミナーを開催いたします。
獣医師パートでは、ネコちゃん大好き・北原優先生が担当させていただきます。
現在、予約枠にまだ空きがございますので、ご興味のある方は、お電話、またはスタッフまでお申し付けください。
(※セミナーへのご参加は予約制となっております。)
皆様のご参加をお待ちしております!
イベント:ネコちゃんセミナー
日時:8月24日(土)14時〜15時
開催場所:動物医療センターもりやま犬と猫の病院 2階会議室
参加費:無料
TEL:052-739-1299
イベント・セミナー情報は以下より、ご確認ください。
https://moriyama1299.com/seminar/ネコちゃんセミナーでは、ネコちゃんに多い病気や日頃から気をつけておいた方が良いことなど、獣医師パートと看護師パートに分けてご紹介していきます。
今回は、ネコちゃんに多いと言われる、「慢性腎臓病」記事を、以下ご紹介します。
腎臓病について勉強してみよう!
ネコちゃんと暮らすご家族にとって“腎臓病”はよく聞く病気ではないでしょうか。
ここ最近、SNSやネットなどの情報から特に高齢猫は腎臓病になりやすい、ということを知っている方も多いと思います!
ただ情報量が多すぎて、何を信じればいいのか、何に気をつけていればいいのか、判断しづらいときもありますよね。愛するネコちゃんのいざという時のために、腎臓病について少し勉強してみませんか?
腎臓病には大きく2種類ある
猫の腎臓病には“急性腎障害”と“慢性腎臓病”とがあります。急性腎障害は、何らかの原因によって数時間~数日と短期間の間で、急激に腎臓がダメージを受けることです。今回お話するのは慢性腎臓病であり、これは3ヶ月以上腎臓がダメージを受け、腎臓の働きが低下してしまうことです。初期の頃は症状があまりみられず、気づいた時にはすでに進行していることも珍しくありません。慢性腎臓病は高齢猫ほどリスクが高くなり、じつは10歳以上の猫の約30%が慢性腎臓病になるとも言われています。1)
症状
慢性腎臓病になると、次のような症状がみられます。
うちの子にこれだけの症状が出てれば、きっとすぐ気づくはず!!
と思う方もいるかもしれません。
じつは来院して腎臓病だと診断されるネコちゃんは、食欲低下や飲水量が減少し、体重も減った状態でやってくることが多いです。
体重が減っているということは、おそらくそれなりの期間、食欲の低下が続いていた、しんどい思いをしていた、ということが考えられますね。つまり、ここに挙げたような色んな症状が出てくる頃には、もう腎臓病が進行してしまっていると思った方がよいでしょう。できるだけもっと早い段階で異変に気付きたいものです。
じゃあどんな変化に気付けばいいのでしょう?
腎臓病を患って一番はじめにでてくる症状は“多飲多尿”です。
水を多く飲むことは良いことだと思っていた…なんて声も聞きますが、その子のいつもの量よりも“水を飲む量が増える”、“おしっこの量が増える”ことは、何か異変が起きているサインかもしれません。普段と比べてどうか、を気にかけてみてくださいね。この多飲多尿の段階で気づくと、早期に治療をスタートすることができると思います。
もしくは定期的に健康診断を受けていれば、気づかない程度の症状があったとしても早期発見につながるかもしれないため、やはり健康診断はとても大切です。
診断
身体検査の他に血液検査、尿検査、レントゲンや超音波検査を行って慢性腎臓病を診断します。
血液検査では腎臓の数値(BUN、Cre、SDMAなど)が上がっているのかをチェックしますが、BUNやCreといった腎臓の数値は、腎臓の働きが75%壊れてから上昇する1)、とも言われています。
治療
じつは、腎臓は一度壊れてしまうと元には戻せません。機能が残っている部分がこれ以上壊れてしまわないようにしていくことが治療のメインとなり、そのために次のようなことを行います。
療法食腎臓の療法食はタンパク質、リンが制限されています。療法食をなかなか食べてくれない…というネコちゃんもいますが、さまざまなメーカーからドライフード・缶詰、パウチなどのタイプが販売されているため、色々と試していきましょう。
点滴点滴には血管から行う静脈点滴と、皮膚の下に入れる皮下点滴があります。静脈点滴は病院で行いますが、皮下点滴は自宅でも行うことができます。病院で一緒に練習してご家族の方が自宅で行う、といったことをすることで、ネコちゃんの来院頻度をなるべく減らしてストレスをかけないようにする、といった方法もあります。
投薬腎臓の組織が壊れるのを抑制する薬や、尿からタンパクが漏れ出るのを抑える薬、高血圧を抑制する薬、貧血に対する薬など、その子の状態に応じて使います。
サプリメント体内のリンが多くなると組織の石灰化につながるため、リンを制限することが推奨されています。リンを吸着して便と一緒に排泄するようなサプリメントや、機能が低下した腎臓から捨てきれない、不要な老廃物を吸着して排泄するサプリメントがあります。
家でできること
基本的に治療は自宅での投薬や食事療法(場合によっては点滴も)がメインとなります。もしなかなか療法食を食べない…投薬を嫌がるようになってきてむずかしい…などの困りごとがあれば、お声がけくださいね。
また、慢性腎臓病の猫ちゃんに水を飲んでもらうことも非常に大切です。普段からあまり水を飲まないネコちゃんがいれば、予防や病気の進行を抑えるためにも、ぜひ次のことを試してください。
さまざまな水のタイプを試す 水道水、ミネラルウォーター、お風呂に溜めた水など、好みの水を探してみてください。また、水道の蛇口から出る水を好むネコちゃんもおり、噴水のように水が循環するタイプの給水器を使ってみてください。鶏肉や魚のゆで汁、鰹節などで匂いをつけることで飲水量が増える子もいます。
水器にも好みがある プラスチック、ステンレス、陶器、ガラスなどがあります。器や水は清潔にしてくださいね。
置き場所を工夫してみる プラスチック、ステンレス、陶器、ガラスなど、その子の好みのものが見つかるかもしれません。
水分が多いフード ドライフードに比べて水分量が多いのが、缶詰やパウチなどのウェットフードです。水分量が多いタイプのフードにすることで知らず知らずのうちに水分が摂取できます。
さいごに
慢性腎臓病は多くの猫がかかる身近な病気ですが、一度患うと生涯に渡って治療が必要となるため、ネコちゃん・ご家族に負担がかかってしまうことも多いです。
また、初期の頃は気づかれない程度の症状であることが多いですが、早期発見により病気の進行を緩慢にすることができるため、定期的に健康診断を受けることや、少しおかしいかな?と思った時には早めにご相談してくださいね!
参考文献
1)Lulich JD, et al. (1992) Feline renla failure: Questions, answers, questions. Compend Educ Plact Vet 14: 127-152