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知っておこう!ペットフードの栄養素
食べ物は、身体をつくっている大切な栄養素であり、エネルギー源です。

うちの子はペットフードを食べているけれど…

毎日同じものだけを食べていても栄養は大丈夫なの?
色々な種類のフードをあげる方が栄養バランスを考えるとよいのでは?

と気になったことはありませんか。

今回は、なかなか普段話をする機会が少ないペットフードの栄養素について、取り上げてみたいと思います!

食べ物を構成する栄養素

動物も私たち人間と同じように身体を維持していくために、5大栄養素であるタンパク質、炭水化物、脂肪酸、ビタミン、ミネラルが必須です。ここに水が加わって6大栄養素とも呼ばれますよ。これらの栄養素をバランスよく摂取することが健康維持には欠かせません。

タンパク質
筋肉や靭帯、毛、ホルモンなどの成分であるアミノ酸の供給源がタンパク質です。タンパク質が不足すると貧血、被毛のツヤの消失、体重減少など、若齢の場合は発育にも影響が出ます。タンパク質は分解された後、腎臓から排泄されますが、あまりに過剰な場合は腎臓に負担をかける可能性があります。
炭水化物
炭水化物は動物が分解できる“でんぷん”と、消化できない“食物繊維”に分けられます。
でんぷんはブドウ糖にまで分解され、エネルギー源として利用されます。でんぷんは米、小麦、大麦、ジャガイモに含まれる主な炭水化物です。一方の食物繊維は小腸で消化・吸収されずに大腸まで達し、便のかさを増やしたり、腸内細菌のエサとなって腸内環境を整えてくれます
脂肪
脂肪はエネルギ―や神経の発達、軟骨や関節の形成、脂溶性ビタミン(ビタミンA、D、E、K)の吸収に必要な成分です。同じグラム当たりで換算すると、脂肪はタンパク質や炭水化物の約2.25倍ものエネルギー量であると言われています。1)
脂肪が不足すると、傷の治りが悪くなり、被毛や皮膚のハリやツヤが無くなり、皮膚炎の発症にも繋がります。

脂肪には必須脂肪酸と呼ばれるオメガ‐6とオメガ‐3が含まれます。これらは体内で合成することができないため、食事から摂取する必要があります。
ビタミン
ビタミンはDNA合成や骨の発達、細胞膜の維持やタンパク質の代謝など、様々な体の中の生理機能の役割を持っています。必要量を体内で合成できないため、食事から摂取する必要があります。ビタミンは水溶性(水に溶けるビタミン)と脂溶性(油に溶けるビタミン)に分けられます。

水溶性ビタミンは余分な量は尿とともに排泄されるので、過剰に与えて問題になることはほとんどありません。一方で脂溶性ビタミンは体内に蓄積されるため、与えすぎると過剰症になる可能性があります。市販のペットフードはそれぞれのライフステージに合わせてビタミンが配合されているため、さらに追加してビタミン剤を与える必要はありません。
ミネラル
ミネラルは器官や組織の成分(骨や歯のカルシウム、リンなど)や、体液や体組織の成分(血液中のナトリウムやカリウムなど)、酵素やホルモンが作用するための必要な成分です。

主要ミネラルと微量ミネラルに分けられ、主要ミネラルは体内に多く含まれているもので、その分ある程度の量を摂取する必要があります。一方で微量ミネラルは、体内に少しだけ含まれています2)
犬猫で違う!必須脂肪酸について
必須脂肪酸であるオメガ‐6とオメガ‐3のうち、オメガ‐6にはリノール酸、γ‐リノレン酸、アラキドン酸が含まれます。犬はリノール酸からγ‐リノレン酸を、そしてγ‐リノレン酸からアラキドン酸を合成できますが、猫ではγ‐リノレン酸からアラキドン酸を合成できません。ですから犬にとってはリノール酸が、猫にとってはリノール酸とアラキドン酸が必須脂肪酸であり、食べ物から摂取する必要があります。

犬にとって乾物フード当たり1%のリノール酸が安全で効果的な含有量であると言われています。猫では乾物フード当たり0.5%のリノール酸と0.02%のアラキドン酸が必要とされています。1)

国が定めている基準;ペットフード安全法

たいせつなワンちゃんネコちゃんの健康を守るために作られた、ペットフード安全法というのをご存じですか?

健康に悪影響を及ぼすフードの製造や流通を禁止する法律であり、フードに問題が見つかった時には回収、破棄を命令することができます。
ペットフード安全法の背景
2009年に制定されたこの法律が成立した背景には、ある事件がありました。

2007年3月にアメリカで、メラミンが混入した中国産のたんぱく原料を使用したペットフードを食べた犬猫が腎不全により多数亡くなってしまう、という事例がありました。また、同年6月にはメラミンが混入したペットフードが日本でも輸入販売されていたことが判明しました。

この事件がきっかけで、ペットフードの安全確保に緊急的に取り組むべきであり、法規制が必要であると考えられた結果、ペットフード安全法が制定されました。
ペットフード安全法の対象となっているのは犬猫のフード(ドライ、ウェット、おやつ、サプリメント、飲料も含む)です。これによって、フードのパッケージに名称、賞味期限、原材料名、原産国、事業者の記載が義務付けられました。さらに、ペットフードの表示に関する公正競争規約で、用途、内容量、与え方、成分を記載することが求められています。
また、ペットフード安全法では、猫のフードにプロピレングリコールを使用することを禁止しています。プロピレングリコールとはソフトドライタイプ、半生タイプのフードをしっとりさせるために使用される添加物ですが、猫では摂取するとタマネギ中毒のように赤血球が破壊されることで貧血が生じることがあります。
パッケージに書いてある原産国のひみつ
パッケージを見て国産のフードを選ぶ方もいるかもしれません。じつは原産国名とは、最終の加工工程を完了した国を記載します。少し驚きかもしれませんが、例えば原材料が海外産であっても、最終加工を日本の工場で行った場合には、原産国は日本となるわけです。

さいごに

今回はペットフードに含まれる栄養素についてお話をしました。皆さんが普段与えてるフードのパッケージに記載してある成分や原材料名など、もしよければ見てみてくださいね。
参考文献
1) 小動物の臨床栄養学 第5版 p116
2) 小動物の臨床栄養学 第5版 p123