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ハムスターの下痢
ハムスターの下痢は、尻尾が水様便で濡れる様子から、Wet tail(ウェットテイル)と呼ばれています。しかし、実際には自然に治ってしまう軽い軟便から、数日で死に至る重度の下痢まであります。下痢の原因が一つのこともあれば、複数の原因が関連していることもありますので、素人での状況判断はとても難しいです。今回はそんなハムスターの下痢についてのお話です。

ハムスターが下痢をすると…

ハムスターが下痢で脱水を起こすと、食欲も低下し急激に状態が悪化します。脱水のために水を多く飲み、毛並みが悪くなり、寝ている時間も多くなります。特にまだ幼体のハムスターが下痢を呈すると、病気の進行が早く、死亡することが多いです。

下痢の原因

ウエットテイルとは、もともとLawsonia intracellularis(ローソニア・イントラセルラリス)と言う細菌によって引き起こされる増殖性回腸炎の下痢を指していました。しかし、必ずしもローソニアが原因とは限らず、他の細菌や寄生虫などもこの下痢の原因になります。これらの感染以外にも、野菜など水分が多い食事デンプンや糖類が多いおやつ急な食事の変更などが下痢を起こします。

特に葉野菜の90%以上が水分であるため、結果的に水分の取り過ぎが原因となり得ます。そして、高温多湿・過密・輸送などのストレスが下痢を引き起こすこともあります。また、ハムスターでは一部の抗生物質を使うことによって、腸内細菌叢が崩れて下痢をすることもありますので注意が必要です。

検査

ハムスターの下痢の原因や治療を考えるために、軟便や下痢便を動物病院に持参していただき糞便検査を行います。可能であれば新鮮な便で検査をすることが理想ですが、もし難しい場合はスタッフに相談してくださいね。また、全ての細菌などが顕微鏡検査で診断できるとは限らないので、検査センターに依頼して詳しく検査してもらう微生物検査・PCR検査などを行うこともあります。

治療

下痢に対して下痢止めや整腸剤を投与しますが、細菌には抗生物質寄生虫には駆虫薬を投与するなど、下痢の原因に応じた治療をすることが必要です。その他にも、食欲が低下しているようであれば専用の流動食を強制給餌することもあります。

予防

ハムスターと暮らし始めたら、まずは糞便検査などで寄生虫感染などの異常がないかの健診を受けることをおすすめします。普段から栄養バランスの整ったご飯を与え、ストレスをかけないようにしてください。また、腸炎を起こす原因のなかには、他のハムスターにうつしたり、そして人獣共通感染症になり得るものもありますので、下痢で汚れたケージやトイレは頻繁に掃除や消毒をして綺麗にし、取り扱いにも注意しましょう。

さいごに

ご家庭で一緒に暮らす動物のなかでも体が小さい動物であるハムスター。ちょっとした体調の変化が一気に状態の悪化につながることもあるため、食事の量や排泄の様子など、普段からの体調を気にかけてあげてくださいね。