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自宅での皮下点滴のやりかた【動画付き】
自宅で皮下点滴をすすめられたご家族は、“本当に家でできるのかな…”、“途中で針が抜けてしまったらどうしよう…”と不安になられる方も多いと思います。

はじめは失敗しても、途中までしか出来なくても大丈夫です。実際に家でやろうとしてるけど、、、やっぱり不安、順序がイマイチ分からない…そんな時はこの記事を見てくださいね。動画でも説明していきます。
もちろん動画を見てもまだまだ難しいと感じる場合、何度でも病院で一緒に練習しましょう。

用意するもの

用意するものは、輸液バッグ、輸液ライン、針、S字フック(輸液バッグを引っかけます)です。

はじめる前に

ワンちゃんネコちゃんがリラックスした状態で点滴ができ、近くに輸液バッグが引っ掻けられるところ(カーテンレールやドアノブなど)がある場所でおこないましょう。

リラックスしている状態が良いとはいえ、寝ている時に点滴を実施したり、いつものお気に入りの場所での実施はワンちゃんやネコちゃんのリラックスする時間や場所を無くしてしまうことがあります。皮下補液の実施場所には注意を払いましょう。

点滴の途中でどうしても動いてしまう子は、抱っこしてもらった状態がいいかもしれません。ネコちゃんの場合、段ボール箱やキャリーなど、身体をすっぽり入れられるものがある方が落ち着きます。いつも使っているブランケットや毛布でくるんであげるのも良いですね。
また、点滴を実施する際には優しく名前を読んだり、「頑張ってるね。良い子だね。」と声をかけてあげるのも大事です。
そして、点滴が終わった後は大好きなおやつをあげたり、いっぱい褒めてあげましょう。
飼い主さんはもちろん、ワンちゃんネコちゃんも頑張ってますからね。

点滴の手順

まずは動画を見てみてくださいね。
点滴をセットする
①輸液ラインを袋から取り出し、輸液ラインのクレンメを閉じます。

② 電子レンジで人肌に温めておいた輸液バッグのシールを剥がし、輸液ラインのプラスチック製の針を差し込みます。輸液ラインの反対側に、針を繋ぎます。

③ 輸液バッグをS字フックに引っかけて、高さがある場所に設置し、輸液ラインの点滴筒を押して輸液がラインに入ってくるのを確認しましょう。クレンメを開いて輸液ライン、針の中に輸液を満たします。針の先端から輸液が出てきたら素早くクレンメを閉じてください。

これで点滴をする準備は完了です。

実際に点滴をする
④ ワンちゃんネコちゃんに針を入れる場所を確認します。首の後ろ~肩甲骨にかけての皮膚をつまんでみて、皮膚がよく伸びる場所を探します。

⑤ 利き手ではない方の手で皮膚をつまみ、テント状にしたら、皮膚に対して斜めになるように利き手で針を挿入します。なお、針は針穴が上を向いている向きにして刺してください。(この時、利き手でない手の側に、ワンちゃんネコちゃんの頭が来る向きで座らせてくださいね)

⑥ 針がワンちゃんネコちゃんの皮膚にしっかり入ったらその部位を手で押さえたままクレンメを開き、点滴筒から輸液が下に落ちていること、ワンちゃんネコちゃんの皮膚や針から輸液が漏れていないことを確認します。これらが大丈夫であれば点滴は問題なく行えています。
点滴が終わったら
⑦ 点滴が完了したら、クレンメを閉じ、針を挿入した時と真逆の方向にそっと抜きます。針を刺していた穴から輸液や、少量の出血が見られることがありますが問題ありません。軽くコットンやティッシュで押さえてあげてくださいね。

注意してほしいこと

いくつか注意点があります。
使用した針は必ずキャップをしてください
使用したものは家庭では処分せずに病院へ返却してください。
点滴の途中で動いて針が抜けてしまった場合、一度クレンメを閉じて再び④からやり直してください。
皮下点滴は、皮膚の下のスペース(皮下組織)に輸液が溜まり、徐々に体内に吸収されていきます。一時的に皮膚が盛り上がったり、下に垂れた状態になりますが問題ありません。
今までと何か違う(例えば点滴が長時間吸収されずに残っている、呼吸がいつもより早いなど)と感じた場合は、点滴を中止し、すぐに受診してください。
定期的に来院して、必要に応じた検査や点滴のスケジュールを相談させてください。

さいごに

いかがでしたか?
自宅で点滴ができるようになると、通院頻度などの負担を減らせることになります。慣れるまでは大変ですが、一緒に頑張りましょう。
動画提供
動画提供:東京猫医療センター 服部幸先生