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病院に不慣れなネコちゃん、どのタイミングで病院に連れていくべき?
おそらくワンちゃんに比べると、家の外へ出る機会が少ないのがネコちゃん。
外へ連れて行くためにキャリーを持ち出すと、パニックになってしまって大変…外に連れ出すのも一苦労、ネコちゃんも人間もグッタリ…なんて話、ネコちゃんと暮らすご家族にとっては身近なことかもしれません。

ずっとおうちの中だけで生活できれば良いのでしょうが、外に連れて行かないといけないタイミングってどうしてもありますよね。

特に、病院へ行くのを嫌がるネコちゃんはとーっても多いです。連れていくのは大変だし、かえってストレスになりそう…もう少し様子をみようかな…など、病院を受診するべきか悩むことはありませんか?

今日はどのタイミングで受診すべきか悩むご家族の方へ、ちょっとしたアドバイスをしたいと思います!

日頃から体調を知っておく

見逃してはいけない体調の変化に気づくためにも、まずは普段の健康なときの体調を知っておくようにしましょう。
それは以下の項目です。
飲水の量
ご飯を食べる量、食べるスピード
嘔吐の頻度、嘔吐するタイミング
排尿の回数、一回量や見た目
排便の回数、便の状態
お気に入りの場所やよくしている行動
体重
これらに変化があった場合は、なにかが体の中で起きているのかもしれません。
例えば、痩せたり太った場合は、病気のせいなのか食生活や運動の見直しが必要なのか、原因を調べていく必要があります。ただ、ネコちゃんは毛に覆われているため、体型の変化が分かりにくいです。

ではどうやって変化に気づけるのでしょうか?それは体重です。成猫になってからの体重は、通常であればほぼ変わらないものです。月に2回ほど、ネコちゃんの体重を測ってメモしておいてください。

体重の測り方は、抱っこした状態で一緒に体重計にのって測り、その後人間の体重を測って引くと、ネコちゃんの体重が分かりますよ。3ヶ月間で5%以上の体重減少がある場合、何か病気が潜んでいる可能性があります。例えば体重4kgのネコちゃんが200g減ったのであれば、病院に相談していただくことをおすすめします。

こんな場合は様子をみてみる?すぐに受診する?

いくつかの症状を紹介し、病院へ連れていくタイミングの目安をお話しますね。
ただし注意があります!ここで少し様子をみても良いネコちゃんは、今特に何かの病気の治療中ではない、成猫のお話です。

仔猫や高齢猫、現在治療中のネコちゃんの場合は、ちょっとした体調の変化でも急激に悪化することもありますので、様子を見るよりも受診されることをおすすめします。
食欲
いつもなら全部食べているのに残している…

食欲は健康のバロメータと言われるため、そんな変化があると心配ですよね。いつものご飯よりも食いつきがいい缶詰なら食べた、という場合で、嘔吐や下痢はなく、おしっこも出ている、元気や動きはいつも通り、というのであれば1〜2日程度様子を見てもよいかもしれません。

食欲以外にいつもと変わった様子が見られるのであれば、診察をおすすめします。
1〜2日経っても食欲がやはり落ちている(元のご飯を食べない)場合、何らかの異変が起きているかもしれないので、一度病院に連れていきましょう。
ご飯を食べない時間が続くと危険?!
ネコちゃんの場合、ご飯を食べない状態が続くと“肝リピドーシス”という病気につながることがあります。この肝リピドーシスとは猫に特徴的な病気で、体の脂質が肝臓へ沈着することで肝臓がきちんと働けなくなり、いわゆる肝不全のような状態になります。

全く何も口にしない場合は早めに受診するようにしてください。
嘔吐
ネコちゃんは胃が小さい、毛繕いをするなどの特徴により、吐くことが正常であるケースもあります。その子の正常な嘔吐の頻度と比べて、嘔吐の頻度が増えているようであれば、一度受診されることをおすすめします。ちなみに病的な嘔吐かもしれないと考える目安は、だいたい週に2回以上の嘔吐です。

また同時に、体重、水を飲む量、排尿の回数や様子、下痢などの排便、食欲などに変化がある場合は早めに連れきてあげてください。
下痢
食欲や元気はいつも通りで嘔吐もない、など、下痢以外の様子がいつも通りなのであれば、すぐに病院へ連れて行かなければいけないわけではなさそうです。下痢する前にいつもと違う食べ物を食べていないか、何かストレスに感じるような出来事はありませんでしたか?下痢はちょっとしたことで見られる体調の変化でもあります。ただし、原因が寄生虫であるなど、治療をしなければ治らない下痢もあります。

2、3日で下痢が自然に治まる場合、特に治療の必要はないかもしれませんが、これを何度も繰り返すようであったり、何日も下痢が続く場合は一度病院に相談してください。また、食欲や元気がいつもと違ったり嘔吐があったり、下痢に血が混じっているなど、他の症状がある場合は早めの診察をおすすめします。便検査をしますのでご持参ください。
排尿について
血尿や何度もトイレに行く…など、猫のおしっこトラブルは非常に多いです。

特に注意が必要なのが、トイレに行くけどおしっこが出ていない場合です。男の子に多いのですが、おしっこの通り道である尿道に結石などが詰まってしまい、おしっこがしたくても出ないことがあります。この病気はそのままにしておくと、急激に腎臓がダメージを受けて(急性腎障害と言います)体調が悪化し、最悪の場合命を落とす可能性もあるため、なるべく早く対処しなくてはいけません。

このようにおしっこが出てなさそうな場合は早く病院へ連れてきてあげてください。また、おしっこはでている場合でも食欲低下や嘔吐など、ほかの様子がいつもと違うときにも、早めに受診してくださいね。

いざというときのために

ネコちゃんからしてみれば年に数回、無理やりケージに入って知らない場所へ連れてこられ、場合によっては注射などの痛いことをされる病院に、どうぞ喜んで来てください、というのは酷な話ですよね。

なので普段から病院に来ることを慣れさせておく、というのも大切です。もちろん爪切りや耳掃除、フィラリアやノミダニ予防など、ちょっとしたことでも構いません。病院では体重を測ったり、その子の様子を知ることができるため、何か変化があれば気づけることがあるかもしれません。

とはいえ、病院に来るたびに病院スタッフに怒り続け、ご家族にまで怒ってしまうネコちゃんや、呼吸がものすごく荒くなっている、パニックになって飛び出してしまう、などの行動をするネコちゃんもいます。何度か通ってもらううちに、病院スタッフにも慣れてくれる子もいますが、どれだけ通っても様子が変わらない子もいます。

そんなネコちゃんは回数を重ねて慣れさせようとするよりも、なるべくストレスがかからないように病院へ連れていくことを意識すると良いかもしれません。
例えばキャリーに入ることが嫌いなのであれば、普段の生活環境にキャリーを置いておき、そこでおやつをあげてみる、お気に入りのブランケットを入れて抵抗なく入れるようにしておく、などといったことです。そうやってキャリーに慣れておくことで、いざ病院へいくときでも少しリラックスしてくれるかもしれません。また、そうすることで災害での避難時などの時にパニックにならずに入ってくれます。

また、病院へ連れてくるときもキャリーの中に普段使っているブランケットを一緒に入れてあげるのも良いでしょう。緊張を少しやわらげるために、キャリーや中に入れるブランケットにフェロモン製剤をスプレーする方法もあります。
フェロモン製剤って??
フェロモン製剤とは猫用フェイシャルフェロモンF3類縁化合物といい、なわばりやマーキング行動など、猫同士のコミュニケーションに用いられるホルモンを人工的につくりだしたものです

フェロモンを満たしてあげることによってストレスを緩和したり安心感を与えたりすることができます。効果はその子によって違い即効性ではないことが多いですが、気になる方は動物病院で取り扱っていますので、声をかけてくださいね。

さいごに

病院嫌いのネコちゃんをできる限り病院に連れていきたくないお気持ち、とても分かります。ただ、もし体に変化が起きて治療が必要な場合、なるべく早く見つけて、早めに治療してあげたいですよね。大切なのは普段のネコちゃんを知っておくこと、病院に連れていくタイミングを見逃さないこと、です。

これは家で様子を見ていいの?すぐに連れていくべき?迷った場合は一度、ご連絡してくださいね。