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無理をしない愛犬・愛猫介護

はじめに

近年は飼育環境の変化や獣医療の進化などにより、犬も猫も長生きをするようになりました。人間同様に高齢化が進み、それにより飼い主が愛犬・愛猫の介護をすることも少なくありません。犬も猫も年齢を重ねてくると、老化や病気などによりこれまでのように思うように体を動かせなくなってきます。歩くときにふらつくようになる、食事を自分で取れなくなる、トイレの失敗が多くなるなど、これまでできていたことができなくなったら介護が必要となります。
介護が始まればいつまで続くのかわかりません。飼い主は終わりが見えない介護の毎日に、精神的にも肉体的にも追い込まれていくかもしれません。そうならないように、自分のできることを気負いすることなくやっていくことが大切です。ひとりで抱え込まず、家族や友人、またホームドクターに相談しながら行いましょう。無理はせず、大変なときはさまざまなサービスを利用するのも良いでしょう。犬や猫の性格やおかれている飼育環境が違うように、介護の方法もそれぞれです。愛犬・愛猫の様子を見ながら、自分に合う介護の方法を見つけていきましょう。
大切なのは、決して「無理しない」ことです。
しかし、何の準備もなしに突然に介護の日々を迎えることはとてもたいへんです。愛犬・愛猫がシニア期を迎える前に、飼い主が犬・猫の老化についてしっかりと学んでおく必要があるでしょう。また、すでにシニア期に入っている場合には、すぐに愛犬・愛猫の様子を確認して実践してみましょう。

老化による身体の変化【犬の場合】

外見の老化に加えて、運動機能の衰えが目立ってきます。五感の衰えも出るので、それを見極めた介護が必要です。
被毛
白髪が増える。乾燥や脱毛、毛玉などのトラブルが増える傾向がある。

聴覚が衰えて音や声の反応が鈍くなる。耳垢が増え汚れやすくなる傾向がある。

視覚が衰えて周囲のものにぶつかりやすくなる。白内障や核硬化症などになりやすくなる。涙目などで目の周りが汚れやすくなる。
口内
歯垢が多い場合は口臭が強くなる。歯周病や舌や歯茎の変色にも注意が必要。

歩行の変化により爪が削れにくくなる。爪が伸びすぎて肉球に食い込むなどのトラブルが増えるので、頻繁に手入れをする必要がある。
歩行
筋力が衰え、よろけたり、ふらつくようになる。関節などに痛みが出て、脚を上げたり引きずったりすることがある。特に大型犬は顕著で歩けなくなることもある。

老化による身体の変化【猫の場合】

猫は犬と比べて衰えは緩やか。特に五感は衰えにくい。

被毛
毛質の衰えはあるが毛色の変化はない。毛繕いが減り毛玉ができやすくなる。

聴覚が衰えて音や声の反応が鈍くなる。耳垢が増え汚れやすくなる傾向がある。

視覚の衰えは犬より緩やか。動作が緩慢になっても動くものへの反応はよい。涙目などで目の周りが汚れやすくなる。
口内
歯石が多い場合は口臭が強くなったり、歯が抜けたりする。歯周病や舌や歯茎の変色にも注意が必要。

爪とぎをしなくなる。爪を再生する細胞が変化し、爪が厚く短い形に変化する。
歩行
動作が鈍くなる。筋力が衰え、よろけたり、ふらつくようになる。ジャンプ力も衰えるので、失敗して怪我をしやすくなる。

シニア期からの運動と飼育環境

若い頃はいろいろなものに好奇心旺盛であった愛犬や愛猫も、老化と共に興味を示さなくなっていきます。
体力の衰えから、動作が鈍くなったり散歩に行きたがらなくなったり認知症になるリスクが高いので、脳を活性化させる遊びを取り入れることが大切です。
また、犬も猫も人間同様に老いとともに筋肉が衰えてきます。今までと同じ住環境では生活に支障がでてくる場合もあります。
その状況に合わせて、ストレスのない長生きができるような環境を整えてあげる必要があります。

飼育環境を快適に整える

リビングを生活スペースにする
老犬は体力や感覚器が衰えてきて、不安を感じやすくなる傾向があります。安心感を与えるために、人の出入りが多いリビングにケージを置き、生活スペースにしましょう。また、老犬は感覚器の衰えでものにぶつかりやすくなります。角はクッション材で覆ったりしてカバーするとよいでしょう。また、家具などの隅に入り込んでしまうと出られなくなることもあります。隙間ができないように家具の配置を変更しましょう。このように生活スペースを変える場合は、配置を覚えておけるように、愛犬の視力が衰えないうちにすることが大切です。
老猫はリビングなどの広い場所を生活兼運動スペースにしましょう。来客が苦手な場合は、隠れることができるスペースを用意します。老猫は環境の変化に敏感です。家具の移動や飼育頭数の増加により、ストレスを抱えてしまう傾向にあります。住環境には配慮が必要です。
また、猫は基本的に散歩には行かないので、窓の近くの寛ぐスペースで外を見られるようにします。外を眺めることでよい刺激となります。
滑りにくく、掃除しやすい床にする
筋力が低下した老犬・老猫の四肢はとても弱くなります。滑りやすい床では、ケガのリスクが高まります。フローリングであればカーペットを敷いたり、滑り止めワックスを塗るなどして、滑らないようにしましょう。また、粗相をしてしまうこともありますので、防水性が高く、ふき取り可能なタイルカーペットなどを敷くのもオススメです。
温度・湿度で快適な環境を整える
部屋の温度は25度前後、湿度は50%前後が快適といわれています。高温多湿は愛犬猫にとっても心身の負担になります。新陳代謝も低下している老犬・老猫は、若いころ以上に気を付ける必要があります。しかし、猫は日向ぼっこが好きです。体が熱くなると冷やす傾向にあります。体を冷やせるマットなどを用意するとよいでしょう。

まとめ

老化が始まった愛犬・愛猫をこれまでと同じように扱うのは、大きなストレスとなります。言葉を話すことができない愛犬・愛猫の老化の兆候を見つけ、その状態にあった対応をしてあげることは飼い主の大切な役目です。また、それはいつも一緒にいる飼い主だからこそできることです。まずは、愛犬・愛猫の現在の状態を把握することから始めてみましょう。