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年末年始を穏やかに過ごすために
2024年、今年もあとわずかですね。本年もありがとうございました。

これから年末年始に向けて、クリスマスや大晦日、お正月などのイベントがたくさん控えており、何かと慌ただしくされている方もいらっしゃるかもしれません。

今年の年末年始、皆さまどのようにお過ごしでしょうか?ワンちゃんネコちゃん達とご自宅でのんびり過ごされる方、普段なかなか会えない親戚と集まる方も多いかもしれません。

今回はせっかくの年末年始に慌てて病院へ駆け込む…なんてことにならないように、少し気をつけていただきたいお話をさせていただきます。

気をつけたい食べ物

骨付きチキン
鳥の骨は食道に引っかかってしまったり、胃腸を傷つける危険性があります。
チョコレート
チョコレートの主原料であるカカオ豆に含まれる、テオブロミンやカフェインなどのメチルキサンチンという物質により中毒が起こります。嘔吐や下痢、失禁がおこり、続いて興奮、重症の場合は頻脈、心臓の心拍リズムの異常、痙攣(けいれん)などが見られ、最悪の場合は亡くなる危険性もあります。食べてから2~4時間以内に効果的な治療(吐かせる処置など)ができれば、治療がうまくいくと言われています1)

キシリトールガム、キシリトール入りマフィン
犬ではインシュリン血中濃度が急上昇し低血糖や肝障害が起こる場合があります。急性肝不全で死にいたった報告もあります。猫では低血糖、肝障害の危険性はないと言われています。解毒薬はありません。

ナッツ(マカダミアナッツ)
マカダミアナッツを食べて中毒が起こった症例が報告されています。食べると嘔吐、ふらつき、発熱、震えなどがみられます。
ぶどう・レーズン
ぶどうを食べると数時間後に元気消失、嘔吐がみられ、急性腎不全が起きる可能性があります。

玉ねぎ、ネギ、ニラ、にんにく
玉ねぎ、ネギ、ニラ、にんにくなどには犬の赤血球の膜を破壊する成分が含まれています。食べると嘔吐、下痢、血尿、貧血などの症状が現れて、それらが入った鍋のスープや唐揚げもよくないので注意が必要です。

アボカド

アボカドに含まれるペルシンという物質が犬で心筋障害や嘔吐、下痢を起こす場合があります。その他、肺や肝臓に浮腫、腹水、泌乳中の犬では乳房炎を起こす可能性があります。アボカドの果実、葉、茎、種子に含まれています。


ここに紹介した食べ物だけが危険、というわけではないので、普段食べ慣れていないものは与えないようにしましょう。ワンちゃんネコちゃんにもイベント気分を味わってもらいたいのであれば、動物用のケーキやお重なども売られているようです。

食べ物以外で気をつけたい物

薬物
人の市販の風邪薬に配合されているイブプロフェンやアセトアミノフェンは犬猫にとって危険な物質です。これらは人の市販の風邪薬に配合されていることも多いため、誤って食べてしまわないように注意してください‼

おもちゃ
動物用でなくても小さいお子さんのおもちゃなど、いつもは気をつけてるけれどみんなでわいわいして少し目を離した隙に食べたかもしれない…となることもあります。

植物
犬猫にとって危険な植物は実はとても多いです。その中でも花びらを舐めただけでも危険なのはユリであり、花粉や花びら、花が入った花瓶の水を舐めただけでも危険です。猫での感受性は高く、少量でも急性の腎障害が起こり、死に至る可能性があるため注意が必要です。他にもクリスマスに飾る機会が多いポインセチアにも気をつけてほしいです。


いかがでしたか?
穏やかな年末年始となるよう、口にしてはいけないものには普段以上に気をつけていただければと思います。

2024年は春先から長期の休診で大変ご迷惑をおかけしました。それでも再び来院してくださる皆さま、関わってくださっている方々、一緒に働いてくれるスタッフに支えられ、一年を終えることができそうです。感謝いたします。

今年ももう残りわずかですが、良い年をお過ごしください。
参考文献
1)Sturgeon K., Sutton NM., 2008. Clinical Toxicology 46(5): 384-3845)