ノミと同じように、動物の体の表面に寄生して吸血するマダニのこと、知っていますか?
皆さん“ダニ“と聞くと家の中の布団、食品に発生するダニを思い浮かべるかもしれませんが、それはヒョウヒダニやコナダニといった種類のダニです。ワンちゃんネコちゃんに寄生するダニは”マダニ”というものであり、マダニは人にも関わってくるんですよ。
吸血するとカラダが5倍に⁉
日本に生息するマダニは47種類おり、大きさはマダニの種類にもよりますが、犬猫に寄生する主なマダニ(フタトゲチマダニ)だと約3-8mm、吸血すると約1-2cmにもなります1)。吸血することで体のサイズが大きく変化しますが、吸血する前のマダニも、小さいながらも一応は目で見えるんです!
マダニは森林や公園の草むらなどで待ち伏せし、そばを通りかかった動物や人間に飛び移ってセメントのような物質を唾液と一緒に分泌し、それによって動物にくっついて寄生をスタートさせます。
マダニにはオスとメスがいて、たくさん吸血したメスの成ダニは一匹で2000個(!)もの卵を産むと言われています…!2)
マダニはどこに寄生する?
マダニは動物の、特に毛が薄い部分(耳や目・口・鼻周り、胸、内股、お尻周り)に寄生することが多いです。もしマダニが寄生しているのを見つけたら、自分で取ろうとせずに必ず病院へ連れてきてくださいね!
マダニは動物にセメントのような物質でくっついており、無理に引っ張ってしまうと頭部だけが動物の身体に残ってしまい、化膿するかもしれません。
マダニに寄生されると何が起こる?
マダニにたくさん寄生された動物は、貧血になることがあったり、マダニの唾液に反応してアレルギー性の皮膚炎が起きることがあります。また、マダニは唾液の中に様々な病原体を持っていて、吸血時にその唾液から動物に様々な感染症(犬のバベシア症、エールリッヒア症、ライム病など)を運んできます。
要注意!重症熱性血小板減少症候群(SFTS)について
上にあげた感染症も問題ですが、現在最も注意してほしいのは、重症熱性血小板減少症候群(SFTS)と呼ばれる病気です!!2011年に特定されたSFTSウイルスがダニによって媒介される感染症であり、動物だけでなくヒトにも感染する人獣共通感染症です。
SFTSはマダニから動物や人への感染だけでなく、SFTSを発症した犬や猫などから咬傷や濃厚接触によって人へ感染したり、SFTSに感染した人から人への感染が確認されています。国立感染症研究所によると、2022年7月時点では、92名が亡くなっているとの報告があります。3)
現在日本では犬、猫、チーターがSFTSを発症した動物として報告されています4)。発症した場合の症状は、人と動物で似ており、発熱や食欲低下、消化器症状です。犬は人よりも症状が軽いですが、猫やチーターは人よりも症状が重く、さらに猫の致死率は約70%とも言われています5)。
さいごに
ワンちゃんネコちゃんがマダニに寄生されると直接的な被害や感染症の媒介など、色々なリスクがありますね。特に最近注目されているSFTSは、危険性が高く気を付けなければいけません。
ワンちゃんネコちゃんのマダニ対策は、ワンちゃんネコちゃんを守ると同時に、ご家族の身を多くの感染症から守ることにも繋がるため、是非予防してあげてください!予防薬は色々な種類があるため、ぜひ一度相談にきてくださいね。