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ペットフードについて
当院で処方しているドッグフード、キャットフードをお使い頂いているわんちゃん、ねこちゃんが多数いらっしゃると思います。ドッグフード、キャットフードご購入と使用時の注意点をお知らせします。

まず、当院で処方しているフードは大きく分けて2種類あります。療法食(処方食)準療法食(準処方食)です。

療法食(処方食)は病気に合わせて処方するフードで、犬猫の疾患もしくは栄養状態に対応して選択されます。犬猫に身体の変化があった時、例えば年齢変化、内臓の機能低下、体重増減など、それに気付かずにそのまま使用していると、逆に体調が更に悪くなる可能性があります。その理由から療法食をご使用頂く場合は最低限1年1回の診察が必要となります。療法食をお使いの方でしばらく診察に来られていない場合は、ぜひご来院ください。

準療法食(準処方食)は基本的に病気のない健康な犬猫のフードになります。動物病院レベルの高品質な原料を使ったプレミアムフードだと思って頂いて構いません。通常、年齢と体重などによって使用するフードを切り替えていきます。使用を続ける上で診察は必須ではありませんが、出来れば1年1回のご来院をお待ちしております。

フードをご購入、ご使用する上での注意点があります。フードは開封後、1ヶ月以内に消費出来るようにして下さい。開封後1ヶ月以上経過しますと、内容成分が変性していく可能性があります。有効な成分が壊れ、効果が減退する、もしくは健康に余り良くない成分に変化する場合があります。フードは購入時の袋のまま室温で保管してください。フードの袋は室温で保管するのに適した構造になっています。高温多湿にはご注意ください。




以下にペットフードについての記事を掲載いたします。お時間があるときに読んでみてはいかがでしょうか?




普段与えているペットフードには種類があることをご存知でしたか?毎日与えるものだからこそ、ワンちゃん、ネコちゃんのためにそれぞれのフードの役割について理解してあげましょう。

今回は、ペットフードの種類とラベルの読み方、そして気になる方もいるかもしれない添加物についてお話したいと思います。

ペットフードの種類

ペットフードは目的で分類すると4種類のタイプがあります。

総合栄養食
総合栄養食とは、そのフードと水だけで健康が維持できるように栄養バランスがとれた製品のことを言い、ペットフード公正取引協議会が定めた試験の結果をもとに定められています。

フードのパッケージに総合栄養食と記載されているものを選べば、毎日栄養バランスのよいフードを食べさせてあげることができます。また、総合栄養食と記載する場合、そのフードが適している犬猫のライフステージ(子犬子猫、成犬成猫、シニアなど)が必ず併記されているため、合わせてチェックしましょう

間食
間食とは、いわゆるおやつのことです。

限られた量を与えることを前提としており、与える限度量は原則、1日あたりの摂取カロリーの10%以内に抑える必要があるとされています。おやつを与える場合は総合栄養食の量をその分減らしてあげる必要があります。

療法食
病気の犬猫に対して、治療を補助する目的で食べさせるフードです。獣医師の指導のもとで適切に食事管理をしていく必要があります

その他の目的食
上記のいずれにも該当せず、嗜好性を高める、特定の栄養を調整する、などを目的としたフードです。例えば、おかずのような役割とした製品はパッケージに「一般食」や「副食」といった記載がされています。また、栄養補助食としてのフードの場合、「栄養補完食」や「動物用栄養補助食」などの記載があります。

これだけで栄養バランスがとれたフードというわけではないため、必ず総合栄養食と一緒に使ってください。缶詰やパウチの製品にこの一般食はとても多く販売されていますので、普段与えている場合は、一度パッケージを見てみてください。

次に、形状で分類すると、ペットフードには主にドライタイプ、ソフトドライタイプ、ウェットタイプ、半生タイプがあり、それぞれのタイプで特徴があります。
ウェットフードと比べて、ドライフードの方が歯に歯石が付着しにくい
ウェットフードは水分含有量が多いため、水分を摂取して欲しい場合に効果的(腎臓病や尿石症など)
ウェットフードの成分の多くは水分なので、ドライフードと同じカロリー摂取をしようとすると、かなりの量を食べる必要がある(その分コストも高くなる)

ペットフードラベルの読み方

ペットフード安全法により、全ての原材料名(添加物を含めて)を記載する義務があります。また、公正競争規約では、使用量の多い順番に記載するように定められています

添加物の記載については、甘味料、着色料、保存料、増粘安定剤、酸化防止剤、発色剤の目的で使用する場合には、何のために使われているのか分かるように、その用途名も記載するように定められています。
知っていますか?5%ルール
特定の原材料を、ペットフードの内容量の5%以上使用している場合にのみ、絵や写真、商品名、説明文に表示することができます。例えば、「○○フード チキン」と記載されている場合には、そのフードには5%以上の鶏肉が含まれていることになります。一方で「○○フード チキンフレーバー」や「○○フード チキン風味」という場合には5%以上含まれていない可能性が高いです。(含まれているのであればあえてフレーバーや風味という言葉を使わないため)

また、この5%ルール、最低5%配合していれば記載できるので、実際の食材の配合量はフードによってさまざまなのです。

添加物は入っていないものがよいのか

最近、ペットフードでも無添加と表示されている物が多く販売されていますね。ペットフードは無添加の定義があいまいで、メーカーによって無添加の対象が異なります。着色料や香料が無添加なのか、合成保存料が無添加なのか、一言で無添加と記載されていても、その中身は様々です。

一般的に、添加物には次のようなものがあります。
ビタミン、ミネラル
ペットフードは原材料が天然・自然のものであるために、含まれる栄養素にばらつきがある場合があります。そのため、総合栄養食として栄養基準を保つために、ビタミンやミネラル、アミノ酸などを添加しています。
甘味料、香料、着色料、発色剤
甘味料や香料は食いつきをよくするために使われる添加物です。また、見た目の色にばらつきがでるのを防ぐために着色料や発色剤が使われています。これらの添加物のうち、発色剤として使われる亜硝酸ナトリウムは、ペットフード安全法により使用量が制限されています。1)

亜硝酸ナトリウムは発色剤として以外にも、ボツリヌス菌の増殖を防ぐものとして使われており、日本では人での食品添加物としても使用されています。

かつてニュージーランドで配合ミスにより多量の亜硝酸ナトリウムが入ったフードを食べて猫3頭が死亡したという報告がありました。2)これまで日本やアメリカ、EUではペットフード中の亜硝酸ナトリウムによる健康被害はありませんが、その使用する基準値が定められています。

保存料、酸化防止剤
これらは保存性を高めるために使われます。
酸化防止剤には化学合成のものであるエトキシキンやBHA(ブチルヒドロキシアニソール)、BHT(ジブチルヒドロキシトルエン)と、緑茶抽出物やローズマリーなどの天然由来のものに分けられます。

このうち、エトキシキンやBHA(ブチルヒドロキシアニソール)、BHT(ジブチルヒドロキシトルエン)はペットフード安全法により、使用量の上限が決められています。この基準値以下で使用されている限り、健康に影響を及ぼさないことが知られています。

酸化防止剤は不要なのか?

ペットフードのなかでも、特にドライフードは一度開封するとしばらくはその袋のフードを食べさせているかと思います。一度開封したフードは、時間とともに油が酸化してしまうのは避けられません。酸化が進んだフードは品質が劣化して嗜好性が低下し、場合によっては嘔吐や下痢を引き起こすきっかけになることもあります

酸化防止剤はこのペットフードの酸化を防ぎ、品質を維持するために必要なものです。
それでもやはり酸化防止剤が気になる場合は、天然由来の酸化防止剤を使っているフードを選ぶとよいかと思います。

ワンちゃんネコちゃんが毎日口にするフードについて、少し知っていただけたでしょうか?これからのペットフード選びの時にお役立ていただければと思います。
参考文献
1)環境省/農林水産省 愛玩動物用飼料の成分規格の追加 平成26年3月3日
2)A.j.Worth et al., 1997. New Zealand Veterinary Journal 45(5)