人とおなじように、ここ最近のワンちゃんネコちゃん達も高齢化してきましたね。約10年前の犬の平均寿命は13.3歳であったのに対し、2020年では14.1歳と長寿化しています。猫の平均寿命も約10年前は13.9歳でしたが、2020年では14.4歳となっています1)。
かけがえのない家族が長生きしてくれることはとても嬉しいことですね。ただ、長生きすると、介護という名のお世話が必要になってくるかもしれません。
だんだん動きがゆっくりになり、寝ている時間が増えたワンちゃんネコちゃんに対して、元気いっぱいに走り回っていた頃と同じような接し方で良いのでしょうか?
今日はシニアになったワンちゃんネコちゃんのお世話のポイントをお話します。

一般的にシニア期とはだいたい7歳頃以降の子を言います。
シニアと言っても7歳と15歳では、おそらく生活の様子は全く異なるでしょう。
そこで今回はシニアを次の3つに分けてお話したいと思います!
まだまだ元気いっぱい!でもそういえば寝ている時間が増えたかも?
10歳ごろまではまだまだ元気だし、シニア期のことなんて気にしなくて大丈夫!
と思う方も多いかもしれませんね。ただ、そういえば寝ている時間が増えた、ご飯の時のテンションの上がり方が以前よりも少ないな、など少しずつ変化が出てくるかもしれません。
この頃から少しずつ、生活環境を見直してあげると良いでしょう。
床がフローリングであれば、滑らないマットなどを敷く
食べ物、水の器は台に乗せるなどして高さをつけて食べやすいようにする
キャットタワーのみなおし(猫):登りづらいのであれば段差が低く腰に負担がかからないタイプにする
爪とぎをしなくなってきたなら、こまめな爪切りをする(猫)もしかしたら徐々に加齢に伴う体の不調がでてくるかもしれません。
ただ、何となく動きがゆっくりになった、少し食が細くなったのは加齢のせいだろう、と思いがちですが、病気が隠れている場合があることは忘れないでくださいね。まずは動物病院で病気が隠れていないか、診察をおすすめします。
シニア期あたりから少しずつ病気を患う子の割合も増えてきます。これまで病院で健康診断を受けてこなかったワンちゃんネコちゃんであればまずは年に1回、これまで年に1回の健康診断を受けている子では年に2回に増やす、というように、病気の早期発見を心がけてあげてください。
なんとなくシニア期なんだ、と心にとどめておくだけでもきっと違います。そうすれば、最近水を飲む量が増えたかも?と思った時に、今までであればちょっと様子をみるか、と思っていたのが、シニアだし病院へ連れて行こう、という行動へと変わるかもしれません。

だいぶおじいちゃん・おばあちゃんになってきた
歩くスピードがゆっくりになった、顔周りの毛が白くなってきたな、そういえば階段の上り下りをしなくなった、帰宅時のお出迎えがなくなったなぁ…など、若い頃の様子とは変わってきますね。ひとつ前に紹介した、見直した方が良い生活環境と併せて、さらに次の点も気をつけてみてください。
ワンちゃんの場合、散歩は負担かな?と思って控えるよりも、無理のない範囲で外に連れ出してあげてください。お散歩は筋力の維持や外の刺激など、健康維持には欠かせません。ネコちゃんでも同じように、キャットタワーでの運動は健康維持のために大切です。
もちろん病院で病気が隠れていないかのチェックや定期的な受診もしてくださいね。
周りの環境目が見えずらくなってくる子もいるかもしれません。特に老齢犬は白内障を発症しやすいです。白内障は手術しない限りどんどん進行していく病気なので、徐々に目が見えなくなっていきます。
見えていた頃の記憶で行動することが多いため、家具の配置やお散歩コースは以前とは変えないであげてくださいね。
食事もしかしたら歯が抜けたり、歯周病になっているワンちゃんネコちゃんもいるかもしれません。食べ方や食べるスピードなどに変化がでてきたら、フードの粒を小さいものに変える、ふやかすなどして、食べやすくしてあげてください。
飲水高齢猫の場合、慢性腎臓病を患うことが多いです。水器の数を増やして水を飲む機会を増やしたりフードをウェットタイプに変えてみると、水分を摂る量が増えます。
毛づくろい老齢のワンちゃんにとって、シャンプーは体に負担がかかります。シャンプーをする時は短時間で終われるように、普段から短めに毛をカットしておく、その子が慣れているサロンでお願いするなどがよいでしょう。ネコちゃんも自分でグルーミングする頻度が減ってきて毛がパサついていたり、フケが多く見られるようになってきます。ブラッシングの頻度を増やしてあげるといいですね。
また、毛づくろいをしなくなる原因のひとつとして、関節炎などの身体の痛みがある場合があります。どこかに痛みがあると散歩の時の歩くスピードや、ネコちゃんでは登ったり降りたりする時の様子に変化が出てくることも多いです。痛みがあるのであればなるべく軽減してあげたいので、是非一度相談してくださいね。

お世話が必要になってきた…これが介護?
この頃になると動物病院に定期的に通う必要があるワンちゃんネコちゃんも多いかもしれません。これまで自力で出来てきたことができなくなることもあり、ご家族の手助けが必要となってくる場面もでてくるでしょう。
排泄の失敗、排泄時に体が支えられないトイレでない場所でおしっこやうんちをしてしまう、排泄の姿勢が保てない、などがあるかもしれません。仔犬仔猫のときと違ってトイレの場所を教えてしつけるのではなく、排泄している場所にトイレを置いてあげるようにしてください。
また、寝たまま排泄してしまうようであれば、定期的にトイレに連れていって排泄を促してあげましょう。動物用のおむつも便利です。ただ、おむつをはかせたままにしているとかぶれる可能性があるため、こまめに交換する、短時間の着用にするなど少し気をつけてくださいね。
自宅での点滴や投薬病気の治療のために薬を飲ませたり、自宅で点滴をしているご家族もおられると思います。
日々のことであり、なかなか時間がとれない、以前はすんなりさせてくれたのに最近嫌がってうまくできない…などの困ったことがあれば、いつでも相談してください。ワンちゃんネコちゃんやご家族の負担が少しでも減るような方法を一緒に考えましょう。
食事の介助自力でご飯を食べられない場合は、口元まで運んであげてください。食べたそうにしているけれど食べない場合は、口の中が痛いなど、何か原因があるかもしれませんので診察に連れてきてあげてください。
飲水についても、以前よりも量が減っているのであれば飲みやすい場所や高さに設置する、水分の多いウェットフードにしてみると良いでしょう。また。口の中にフードが残ったり、よだれが口周りについたままになることも多いです。食事の後は湿ったガーゼで軽くでも歯磨きし、口周りを清潔にしてあげてください。
手足が上手く使えずによろつく、うまく歩けない転んでも痛くないように床を柔らかい床材にし、できるだけお散歩などの体を動かす習慣はつけてあげてください。胴につけるハーネスで支えてあげるのも良いと思います。
寝たきりに近い状態になってきた寝たきりになると、床ずれができないように注意が必要です。
寝ている場所にクッションを敷き、定期的に体勢を変えてあげてください。 ワンちゃんネコちゃんの場合、肩や腰の出っ張っている骨の部分に床ずれができやすいため、こまめに皮膚もチェックしてください。
ぐるぐる回る(徘徊)、昼夜逆転、夜泣きなどの吠えこれらの行動はもしかしたら“認知症(高齢性認知機能不全症)”かもしれません。昼夜逆転して夜鳴きをすると、ご家族の睡眠にも影響してくるため、なるべく抑えてあげたい症状ですね。
薬やサプリメントにより症状を和らげることができる場合もあるので、困っている場合は相談してください。

さいごに
いかがでしたか?
いつまでも元気でいてほしい家族ですが、シニア期はいつかやってきます。その時にワンちゃんネコちゃんがなるべくストレスなく毎日穏やかな生活が送れるようにしてあげられると良いですね。病気以外でも日常生活の困りごとがあれば、お気軽に相談してください。