これまで、獣医学では犬の避妊去勢手術の推奨月齢は5-6ヶ月齢以降、もしくは最初の発情前とされていましたが、近年発表された米国カリフォルニア大学デービス校の避妊去勢手術の推奨時期に関する研究発表によると、犬種によっては早すぎる避妊去勢手術は、関節疾患(これは以前よりある程度認識されていました)、癌疾患、尿失禁問題(これは以前よりある程度認識されていました)を引き起こす可能性が高くなることが示唆されました。集計データにより犬種別の推奨月齢が示されています。
ただし、ここに記載されている推奨月齢は、あくまでも避妊去勢手術による将来的な病気の発生率を見たものです。例えば去勢手術の場合、病気の予防以外の目的として、強い攻撃性などの雄性行動を押さえる目的があります。これを重視する場合は、この推奨月齢より早く手術をする場合もあると思います。また特に制限がない犬種でも、成長具合や体格により手術を遅らせることもあります。
もうひとつの注意点はこの統計が米国で行われている点です。避妊去勢をすると犬は基本的にカロリー制限をしないと肥満になります。肥満になれば当然、関節疾患が増えます。癌疾患も増えるかもしれません。米国でどの程度避妊去勢後の体重コントロールが出来ているかが分からないため、これらのデータを鵜呑みに出来ない可能性があります。また日本と米国では犬の運動環境を含めた飼育環境も違います。この論文が推奨する避妊去勢の推奨月齢は一般的な米国で飼育されている犬に対してのデータに基づいていると考えなければなりません。
犬種別、避妊去勢手術の推奨月齢
「特になし」の場合、小型犬では6-8ヶ月齢を推奨します。
| オス(去勢手術) | メス(避妊手術) |
| オーストラリアン・キャトル・ドッグ | 特になし | 6ヶ月以降 |
| オーストラリアン・シープ・ドッグ | 特になし | 特になし |
| ビーグル | 11ヶ月以降 | 特になし |
| バーニーズ・マウンテン・ドッグ | 23ヶ月以降 | 特になし |
| ボーダー・コリー | 11ヶ月以降 | 11ヶ月以降 |
| ボストン・テリア | 11ヶ月以降 | 特になし |
| ボクサー | 23ヶ月齢以降 | 特になし |
| ブルドッグ | 特になし | 特になし |
| キャバリア・キングチャールズ・スパニエル | 特になし | 特になし |
| チワワ | 特になし | 特になし |
| コッカー・スパニエル | 6ヶ月齢以降 | 23ヶ月齢以降 |
| コリー | 特になし | 11ヶ月齢以降 |
| コーギー | 6ヶ月齢以降 | 特になし |
| ダッシュハウンド | 特になし | 特になし |
| ドーベルマン・ピンシャー | 去勢を推奨しない | 23ヶ月齢以降 |
| イングリッシュ・スプリンガー・スパニエル | 特になし | 11ヶ月齢以降 |
| ジャーマンシェパード | 23ヶ月齢以降 | 23ヶ月以降 |
| ゴールデン・レトリバー | 11ヶ月齢以降 | 避妊を推奨しない |
| グレートデン | 特になし | 特になし |
| アイリッシュ・ウルフハウンド | 23ヶ月齢以降 | 特になし |
| ジャック・ラッセル・テリア | 特になし | 特になし |
| ラブラドールテトリバー | 6ヶ月齢以降 | 11ヶ月齢以降 |
| マルチーズ | 特になし | 特になし |
| ミニチュア・シュナウザー | 特になし | 特になし |
| ポメラニアン | 特になし | 特になし |
| トイ・プードル | 特になし | 特になし |
| ミニチュア・プードル | 11ヶ月齢以降 | 特になし |
| スタンダード・プードル | 23ヶ月齢以降 | 特になし |
| パグ | 特になし | 特になし |
| ロッドワイラー | 11ヶ月齢以降 | 6ヶ月齢以降 |
| セント・バーナード | 特になし | 6ヶ月齢以降 |
| シェトランド・シープ・ドッグ | 特になし | 23ヶ月齢以降 |
| シー・ズー | 特になし | 23ヶ月齢以降 |
| ウェスト・ハイランド・ホワイト・テリア | 特になし | 特になし |
| ヨーキシャーテリア | 特になし | 特になし |