近年、日本各地では東日本大震災、熊本地震のような大規模な地震災害や、地球温暖化の影響から数十年~百年に一度と言われるような大雨による豪雨災害が多発しています。災害時に被災するのは人だけではなくワンちゃんネコちゃんも同じですよね。
今日は災害が起きたとき、大切なワンちゃんネコちゃんを守るためにどう行動したらいいのか、考えてみましょう!
基本は一緒に避難すること
「吠えちゃうから難しいかな…」
「キャリーに入ったことないから…」
「リードやハーネスをつけられないから…」
「お外が苦手だから…」
なんて思う方もいるかもしれません。ワンちゃんネコちゃんは家族。その家族を置いて自分たちだけ避難することはなかなかできませんよね。
かといって、
「うちにはワンちゃんネコちゃんがいるから避難しない」
という選択はNGです。災害時に自宅に危険が迫っている場合、できるだけ早めにワンちゃんネコちゃんと一緒に「同行避難」する事をおすすめします。
避難とは、『難』を『避ける』こと
「避難所にワンちゃんネコちゃんを連れて避難するなんてとても無理…」
と考えている方もいると思います。でも安心してくださいね。避難=避難所というわけではないんです!
避難とは、「難」を「避ける」ことを言います。つまり、安全なところに移動すれば良いのです。災害が起こったとき、安全な場所といえばどこを思い浮かべますか?例えば次のような場所がありますね。
水害であれば、本格的な大雨が降る前に、浸水想定や土砂災害の危険のない場所にある親類や友人の家に身を寄せることができます。 震災の場合、構造的に安全な建物に避難することで余震があっても安心できますね。 豪雨災害の場合、事前に天気予報で災害の予測ができます。台風が過ぎ去るまでの一時的な避難であれば、ワンちゃんネコちゃんと共に車で台風の進路から外れる場所まで移動して、ペットと泊まれる宿に身を寄せる、車中泊をするという選択肢もあります。 このように、避難=避難所と決めつけず、どうすれば、安全が確保できるのか?を考えることが大切です。住んでいる場所で災害が起きた場合に、どこを避難場所としたらいいのか、一度考えておくといざという時に慌てずにすみますね!
ワンちゃんネコちゃんとの避難は、分散避難がおすすめ
避難所一カ所に集中するのではなく、様々に分散して避難することを「分散避難」と呼びます。
ここ最近、避難所だけに人が集まってしまう状況をできるだけ避け、分散して避難しようという考え方が主流になってきています。新型コロナウイルス感染症の蔓延により、その考え方が一層強調されるようになりました。ワンちゃんネコちゃんとの避難でも、この「分散避難」は重要です。
知らない人や動物に囲まれて知らない環境で過ごすことは、人にもワンちゃんネコちゃんにも強いストレスがかかります。ワンちゃんネコちゃんに強いストレスがかかると、食欲が落ちる、下痢や嘔吐などの体調の変化や、震えや過剰な鳴き声
・吠え、落ち着かないなどの行動の変化がみられることもあります。なので、できるだけ知っている場所、馴れている場所へと避難できる方が、人にとってもワンちゃんネコちゃんにとってもストレスが少なく、より安心して過ごせるでしょう。
普段から付き合いのある親族、友人や知人の家や、ワンちゃんネコちゃんも泊まれる宿などに、ワンちゃんネコちゃん連れで遊びに行き、馴れさせてあげると良いかもしれませんね。
自宅が安全なら、自宅を優先
避難とは、難を避けることとお話しましたね。つまり、自宅が危険でない場合は、自宅に留まることをおすすめします。
災害が起こったとき、自宅の危険度を知るためのツールが「ハザードマップ」です。ハザードマップには、水害によってどの程度浸水するのか、震災での液状化や土砂災害での危険性などが書かれています。
ハザードマップを見たことがないという方も、災害時に自宅や周辺環境がどのような影響を受けるかを一度確認してみてください。もし、自宅に危険が及ぶ可能性があるのなら、いざというとき早めに避難できるように準備することができますね。逆に自宅が安全な場所にあるのなら、危険な地域に住む親族や友人の避難先になれるかもしれません。
クレートを用意し、いつでも避難できるように
ハザードマップで安全な地域であっても、電気・水道・ガスなどライフラインが途絶えてしまった、生活物資が不足している、などの理由で避難せざるをえないことも考えられます。
大切なのは、いざという時に、いつでも避難できる準備を整えておくこと。
ワンちゃんネコちゃんの場合、食料を備蓄することも大切ですが、クレート(キャリー)を用意し、その中に落ち着いて入れるようにしておくのが重要です。いざというときに、ワンちゃんネコちゃんがクレートに入れない、ということがないように普段から利用しておくと良いですね。普段の生活空間の中にクレートを設置し、中に心地の良い敷物を敷いてあげましょう。多くの動物は、自分の身を隠せる場所で休むため、クレートの中が安全で心地よい場所だと分かれば、自分から中に入るようになりますよ。
なかなか中に入ろうとしない場合、食事を少しクレート内で与えるようにしてみると、クレートの印象がより良くなっていきます。無理やりクレートに押し込んで閉じ込めることと、クレートをお仕置き部屋として使うことはしないでくださいね。クレートに悪い印象が付き、二度と入りたくない場所になってしまいます。
ワンポイントアドバイス
ワンちゃんネコちゃん以外の動物たちも、普段からクレート/キャリーを使った移動練習をしておいてくださいね。動物病院に来院されるときも、抱っこではなく、クレート/キャリーを使っていただくことをお勧めします。
クレートが安心できる自分の居場所となっている場合、いざ避難となった時にもワンちゃんネコちゃんは普段と変わらない気持ちで、クレートの中で落ち着いていられるでしょう。
法定で定められている狂犬病ワクチン(犬)はもちろんのこと、任意である混合ワクチンを定期的に接種しておくことも、お勧めします。
できることから準備をはじめよう!
いつ起こるとも知れない災害に対して大切なことは、あらかじめ備えておくことです。
ハザードマップの確認、備蓄品の調達、非常用持ち出し袋の作成、避難先の相談、クレートトレーニングなど、すぐにはじめられる準備はたくさんあります。ペット連れのお出かけや旅行、しつけ教室でのマナートレーニングに取り組むのもおすすめめです。住んでいる地域の自治体のHPで避難所を確認しておくこともとても大切ですね。
ご家族がしっかり備えることがいざという時、大切な家族の命を守る事につながります。人もワンちゃんネコちゃんも安心して避難できる社会にむけて、できることから少しずつ始めてみませんか?