人間と同じように、ワンちゃんにとってもデンタルケアはとても大切です!
犬は虫歯になりにくい反面、歯石がつきやすい動物です。歯石とは、歯に付着した歯垢が数日で石のように固くなったもののことで、この歯石をそのままにしておくと、歯周炎へと悪化しやすくなります。
驚くかもしれませんが、2歳までの犬の約80%が、何らかの歯周トラブルを抱えている1)と言われているのですよ!
ちなみに、歯垢は歯みがきで落とせますが、歯石になってしまうと自宅でのケアでは除去できず、病院での処置が必要になります。
歯石になる前に歯みがきをして、歯垢をしっかり落としてあげる!
これこそが大切なデンタルケアです。
歯垢から歯石に変わるのは、わずか3日程度とも言われています2)。理想は1日2回ですが、1日1回を目標に、最低でも2~3日に1回のペースで歯みがきができるといいですね。
今回は、自宅でできるデンタルケアの方法をご紹介します!できることから、少しずつ取り組んでみてくださいね。

実際にデンタルケアをやってみよう
ワンちゃんが嫌がったらすぐ止める!
少しでもできたら褒める!
ご褒美をあげる!
この3つを意識してみましょう。嫌がらないことから徐々に慣れさせていく――これが最大のポイントです!
初めは無理せず、ゆっくりで大丈夫ですよ。
口や歯を触ってスキンシップケアをしていくためには、お口に触れられることが前提になります。
お口や歯を触られるのが苦手な子の場合は、「ほんの少し触われたらご褒美をあげる」を繰り返してみましょう。次に口を閉じたままで良いので上唇をめくる、そして歯を触る、慣れてきたら口を閉じたまま口角を後ろに引いて後ろの歯を見るようにする、そして後ろの歯にも触れられるようにしていきます。
「以前まで触らせてくれたのに、最近嫌がるようになった」という場合は、口の中に違和感や痛みがある可能性もあります。嫌がる様子が続く場合は、一度病院に連れてきててくださいね。

歯みがきシートを使ってみる歯を触れるようになったら、次は歯みがきシートにチャレンジしてみましょう。
使い方は、シートを指に巻きつけ、それで歯をやさしくこするだけ。初めは嫌がる子もいますが、少しでもできたらしっかり褒めて、おやつをご褒美にしてあげてください。これを繰り返していきましょう!
歯ブラシほど細かく磨けるわけではありませんが、実際に使ってみると、歯垢がしっかりシートに付着しているのがわかりますよ。

いよいよ歯ブラシで歯みがきに挑戦!歯ブラシにもご褒美を使いながら、徐々に慣れさせてください!
いろいろなフレーバーの歯みがき用ジェルも販売されています。歯みがき用ジェルやペーストは歯ブラシを受け入れやすくはなりますが、歯みがき時に舐めよう、歯ブラシを咬もうと口を動かしてしまい安定したブラッシングができなくなる点がデメリットです。
ですので、手のひらなどに歯みがき用ジェルやペーストをつけておき、歯ブラシを使用できたらすぐに舐めさせるのが良いと思います。
指サックのような形をした歯ブラシもあるので、普通の歯ブラシを嫌がる子に歯ブラシを導入する時はおすすめです。しかし指にはめるため色々な角度に持ちかえてのブラッシングができないため、歯の全面をブラッシングできないというデメリットもあります。
歯に対して45度の角度でブラシを当てるイメージで磨いてみてくださいね。こうすることで、歯肉と歯の隙間に溜まった歯垢もきちんと取り除くことができます。

歯ブラシ以外の方法でケアしてみるどうしても口を触れない、あるいは歯みがきはできるけれど毎日続けるのが大変…というご家庭もあるかと思います。
そんな時には、「歯みがきガム」も有効です。
最近はさまざまな種類の歯みがきガムが販売されていて、とても便利になっています。ただし、単におやつとしてポイッと与えるのではなく、ご家族が手で持って、反対側を奥歯でしっかりガシガシ咬ませることで、より効果的に歯垢を落とせますよ。
ただしガムできれいにできるのは咬んでいる部分だけで、歯磨きに勝るものではありません。また硬いガムは歯を折ってしまいますので注意して下さいね。

フードでできる対策も
ペットフードの中では、ドライフードの方が缶詰タイプよりも歯垢の付着が少ないとされていますよ!缶詰を与えている場合は、ドライフードへの切り替えを検討してみても良いかもしれません。
さいごに
今回ご紹介したホームケアの方法ですが、
などなど、ワンちゃんにもいろいろな“言い分”があります。当然、すんなりケアさせてくれない子もいるでしょう。
嫌がっているところに無理にケアしようとすると、ワンちゃんはますます非協力的になり、ご家族も続けるのがつらくなってしまいます。
ワンちゃんもご家族も、楽しく続けられるケアを目指すことで、絆がさらに深まり、ワンちゃんが健康でいられる――それが、私たちが一番大切にしていることです。
病院でお待ちしています。その子その子に合ったケアを、一緒に探していきましょうね。

参考文献
1)Marshall, M. D. et al., 2014. BMC Vet Res 10
2)World Small Animal Veterinary Association Global Dental Guidelines 2020