あなたのネコちゃんは、元気にジャンプをしたり、走り回ったりしていますか？それとも以前はよく動き回っていたけれど最近はあまり遊ばなくなったと感じているでしょうか？
昔より動かなくなったし、昼間に寝ている時間も増えたけれど、歳のせいでしょう？と思っていらっしゃる方もいるかもしれませんが、ひそかに隠れている病気のせいかもしれません。
見逃さないで！猫の痛みのサイン（症状編）
猫の変形性関節症、聞いたことがありますか？
猫に多い病気といえば腎臓病や口内炎などはよく耳にすることがあると思いますが、変形性関節症はあまり馴染みがないかもしれませんね。ただ、この病気、猫では患っている子が多い病気なのです。この記事を読んで、もしかしたらうちの子も…と思い当たる飼い主さまも多いと思います。
そんな変形性関節症について、前編と後編に分けてご紹介します。今回は前編、「変形性関節症とは？どのような症状？」を中心にお話ししたいと思います。
そんな変形性関節症について、前編と後編に分けてご紹介します。今回は前編、「変形性関節症とは？どのような症状？」を中心にお話ししたいと思います。
変形性関節症とは？
私たち人間と同じように、猫も関節が滑らかに動くことによって手足を曲げ伸ばししたり、走る、ジャンプなどの行動をすることができます。
この関節の表面を覆っている部分（関節軟骨といいます）の性状が変化したり、摩耗や負荷がかかったりすることで、クッションとして働いている関節軟骨が徐々に無くなっていき、骨同士が擦れ合うようになってしまいます。さらに、関節周辺の骨が過剰に増殖（骨増生）して”とげとげ”してきたり（骨棘といいます）、関節包の内側にある滑膜に炎症（滑膜炎）が生じたりすることで、関節痛や機能障害が生じます。
これが変形性関節症です。一度起こると元に戻ることはなく徐々に進行していきます。どの種類の猫にもみられる病気ですが、スコティッシュ・フォールドでは10歳を超えると、なんとほぼ全頭がこの病気を抱えると言われているのです！
これが変形性関節症です。一度起こると元に戻ることはなく徐々に進行していきます。どの種類の猫にもみられる病気ですが、スコティッシュ・フォールドでは10歳を超えると、なんとほぼ全頭がこの病気を抱えると言われているのです！
あるデータでは、12歳以上の猫のうち90％が変形性関節症であり、そのうちの40％の猫に何らかの症状があると言われています1）。他にも、6歳以上の猫のうち61％で変形性関節症がみられ、さらに14歳以上では82％もの猫が変形性関節症であったという報告もあります2）。
これらの報告をざっくりまとめると、12歳以上の高齢の猫で変形性関節症にかかっている場合が多い、けれど実はシニア期になる前の年齢でも、すでに半数以上の猫がこの病気にかかっている、ということになります。そう考えると、変形性関節症はとても身近な病気、他人事ではない気がしてきます。
これらの報告をざっくりまとめると、12歳以上の高齢の猫で変形性関節症にかかっている場合が多い、けれど実はシニア期になる前の年齢でも、すでに半数以上の猫がこの病気にかかっている、ということになります。そう考えると、変形性関節症はとても身近な病気、他人事ではない気がしてきます。
では、多くの猫が患っている病気なのに、なぜあまり馴染みがないのでしょうか。
それは、この病気の気づきにくさにあると思います。
この変形性関節症、かなり悪化すると明らかな異常がでてきますが、それまでは症状としてはっきり現れないことが多く、診断されてから振り返ってみたときに「この変化も変形性関節症の症状だったのかも」と思い当たることも多いのです。のちほど症状の項目リストを挙げるので、是非チェックしてみてください。
それは、この病気の気づきにくさにあると思います。
この変形性関節症、かなり悪化すると明らかな異常がでてきますが、それまでは症状としてはっきり現れないことが多く、診断されてから振り返ってみたときに「この変化も変形性関節症の症状だったのかも」と思い当たることも多いのです。のちほど症状の項目リストを挙げるので、是非チェックしてみてください。
スコティッシュ・フォールドの骨軟骨異形成症
スコティッシュ・フォールドは骨軟骨異形成症と呼ばれる遺伝性の病気を患うことがとても多いです。骨軟骨異形成症とは、軟骨の構造に異常が起こることで手足の骨や関節に”コブ”ができます。関節で炎症がおこると高い所に登れない、痛そうに歩くなどの症状も現れます。
スコティッシュ・フォールドの特徴のひとつでもある折れ耳ですが、じつはこの折れ耳こそが骨軟骨異形成症の原因のひとつとなっています。折れ耳の顔はとてもかわいいのですが、そのような耳をしている場合には骨軟骨異形成症に関連する遺伝子を持っているため、症状の出方に差はありますが骨軟骨異形成症が生じてしまいます。
スコティッシュ・フォールドの特徴のひとつでもある折れ耳ですが、じつはこの折れ耳こそが骨軟骨異形成症の原因のひとつとなっています。折れ耳の顔はとてもかわいいのですが、そのような耳をしている場合には骨軟骨異形成症に関連する遺伝子を持っているため、症状の出方に差はありますが骨軟骨異形成症が生じてしまいます。
原因は？
変形性関節症の原因は大きく分けて二つ、原発性と続発性があります。
・原発性：とくに原因となるような関節の病気はなく、加齢による様々な変化によって痛みが生じているタイプ。多くはこのタイプです。
・続発性：次のような関節疾患が原因で、変形性関節症が引き起こされるタイプです。（外傷、股関節形成不全、膝蓋骨脱臼、前十字靱帯断裂、骨軟骨異形成症、椎間板ヘルニア、変形性腰仙部狭窄症）
・原発性：とくに原因となるような関節の病気はなく、加齢による様々な変化によって痛みが生じているタイプ。多くはこのタイプです。
・続発性：次のような関節疾患が原因で、変形性関節症が引き起こされるタイプです。（外傷、股関節形成不全、膝蓋骨脱臼、前十字靱帯断裂、骨軟骨異形成症、椎間板ヘルニア、変形性腰仙部狭窄症）
症状
先ほどもお話したように、この病気は特有の症状がなく、歳をとったからかな？と思う程度の行動の変化であることも多いです。あなたのネコちゃんにも当てはまるかチェックしてみてください。
いかがでしたか？
どれか一つでも当てはまると変形性関節症の痛みをかかえている可能性があると言われています。
年齢のせいだと思っていても、この変形性関節症のせいで関節が痛く、活動しなくなっているのかもしれません。“隠れ”変形性関節症の猫ちゃんは意外と多いと思います。
飼い主さまが早めに気づいてあげるためには、日ごろのチェックが重要です。下の動画ではチェックポイントをアニメーションで解説しています。同画面で健康な状態と痛みのある状態を比較しており、わかりやすい動画になっています。どうぞご参考にしてください。
さいごに
私たちは、ネコちゃんが猫らしく生活できることを“猫の健康寿命”と捉え、健康寿命がのびることでネコちゃん自身の幸せも長く続くと考えています。
ネコちゃんの健康寿命ができるだけ長く続くよう、私たちもサポートいたします。是非ご相談ください。
ネコちゃんの健康寿命ができるだけ長く続くよう、私たちもサポートいたします。是非ご相談ください。
参考文献
1） Elizabeth M Hardie et al., 2002. J Am Vet Med Assoc 220(5): 628-32
2） L I Slingerland et al., 2011. Vet J 187(3): 304-9
画像提供：日本大学 枝村 一弥先生
動画・資料提供：ゾエティス・ジャパン株式会社
2） L I Slingerland et al., 2011. Vet J 187(3): 304-9
画像提供：日本大学 枝村 一弥先生
動画・資料提供：ゾエティス・ジャパン株式会社
