猫の血液型で存在しないのはどれ??
解説
まずは人の血液型から考えてみましょう。
人ではA型、B型、O型、AB型があり、両親からの血液型の遺伝子による組み合わせで血液型は決まりますね。人の場合はA遺伝子、B遺伝子は同じ優性遺伝子、O遺伝子は劣性遺伝子です。つまり、遺伝子型によって以下のような血液型になります。
遺伝子型がA/O、A/Aの場合・・・A型
遺伝子型がB/O、B/Bの場合・・・B型
遺伝子型がO/Oの場合・・・O型
遺伝子型がA/Bの場合・・・AB型
猫の血液型は“猫AB式”と言われA型、B型、AB型があります。人と似たような遺伝子型なのでややこしいかもしれませんが、人とは全くちがう方法で血液型が決まります。猫にはA遺伝子、B遺伝子、AB遺伝子の3つの遺伝子が存在し、遺伝子の強さはA、AB、Bの順番です。つまり、遺伝子の組み合わせによって以下のような血液型となります。
遺伝子の組み合わせ | 血液型 |
A/A、A/B、A/AB | A型 |
AB/AB、AB/B | AB型 |
B/B | B型 |
これを見るとB型の猫が一番少ないのでは?と思うかもしれませんが、実はそもそもAB遺伝子を持つ猫の数が非常に少ないため、実際はAB型の猫が少数と言われています。1)
猫の血液型はどんな時に重要なのでしょうか?
それは、輸血を行わなければいけないときです。A型同士、B型同士、AB型同士といった同じ血液型でないと、輸血を行っても副反応が起き、赤血球が破壊されてしまいます。AB型が見つからない場合はA型の猫からの輸血を行うこともあります。輸血を行う前には必ず輸血しても副反応が起きないかを事前に調べる検査(交差適合試験/クロスマッチ試験といいます)を行い、血液を供給する猫(ドナー)と輸血を受ける猫(レシピエント)の血液の相性を調べます。これをクリアしなければ、同じ血液型同士であっても輸血は行いません。
参考文献
1)Barbara Bighignoli et al., 2007. BMC Genetics 8(27)