卵づまりは、卵塞症や卵秘と呼ばれ、英語ではEgg bindingともいいます。
成熟したメスの鳥は、オスがいなくても無精卵を産むことができます。卵づまりは、卵がお腹の中にあるのに産卵できない状態を指し、この状態が続くと体力の消耗などから生命に危険を及ぼす可能性があるため、早急に治療する必要があります。
卵づまりは一年中発生しますが、急に冷え込む秋から冬に多く見られます。セキセイインコ、文鳥、ラブバード、オカメインコなど、あらゆる種類の鳥で発症の可能性があります。

原因
持続的な発情による過剰な産卵、カルシウム不足、寒さなどのストレスによる卵管収縮不全、卵管口(卵が出てくる部分)の弛緩不全などが、卵づまりを引き起こす主な原因です。
過剰な産卵は卵管炎などの病気を引き起こすだけでなく、体内のカルシウムを枯渇させ(低カルシウム血症)、卵管が十分に収縮せず、卵を排出できなくなってしまいます。
また、殻の柔らかい軟卵などといった、卵の形成不全も卵の停滞につながります。
これまでは順調に産卵していたのに、最近は産卵数が減ってきたり、卵が小さい・軟らかいといった形状の変化がある場合は、卵づまりの前触れかもしれないため、様子をよくみてあげてくださいね。

症状
卵づまりには“難産タイプ”と“停滞タイプ”の2つの症状があります。
難産タイプ
突然お腹が膨らみ、元気がなくなり、ケージの隅でうずくまって膨らんでいる様子が見られます。食欲もなく、便が柔らかくなることがあります。
排卵しようと力んでいたり、お尻(総排泄孔)から白い卵が見えることもあります。進行すると呼吸が荒くなり、体力の消耗から落鳥することもあります。
停滞タイプ初期はお腹のふくらみが目立つ程度で、食欲や排泄には問題がない場合もあります。
お腹を指で軽く触って、固く丸いものがある場合は卵の可能性がありますが、確認のために無理に触らないようにしてください‼ 長時間押さえることで鳥が疲れて弱ってしまったり、卵が割れてしまうと非常に危険です。
卵管炎や腹膜炎を引き起こす可能性があり、卵の位置によっては糞や尿が出なくなることもあります。排便ができなければ状態はさらに悪化し、排尿困難によって腎不全になる恐れもあります。
産卵の目安としては、インコの場合、年に1〜3回、1回あたり4〜6個の卵を2日おきに産むといわれています。
産卵していたのに突然しなくなったり、力んでいる様子が見られたら、すぐに動物病院に相談してください。少しの遅れが命に関わってしまうこともあります。

治療
軽度の卵づまりであれば、まず30~33℃に保温して産卵を促します。これで排卵されない場合は、ブドウ糖やカルシウム剤、産卵促進剤などを投与します。
内科的治療で効果がない場合や、難産タイプで卵が総排泄孔(いわゆる“おしりの出口”)すぐ近くまで降りてきている場合には、用手で卵を除去する処置が必要です。
市販されているオリーブオイルなどを総排泄孔に入れる民間療法が紹介されることもありますが、素人が判断して行うのは非常に危険で、おすすめできません。
これまでに挙げた方法で無効な場合には、開腹手術による卵の摘出が必要になることもあります。ただし、手術は体への負担がとても大きく、高齢の鳥には適応できないこともあります。

予防
卵づまりの予防には、体質だけでなく環境要因への配慮が欠かせませんよ。
発情を抑えるためにも、以下の点をご家族がしっかり管理してあげることが大切です‼
必要に応じてホルモン剤で発情・産卵を抑制するといった方法もありますよ。

おわりに
小鳥は言葉で不調を訴えることができず、体調の変化に気づきにくい動物です。わずかな異変が命に関わることもあるため、少しでもいつもと違う様子があれば、早めに動物病院にご相談くださいね。