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もっと水を飲ませるには?

もっと水を飲ませるには?

春の健康診断を終えて

皆様、今年も春の健診お疲れさまでした。

毎年思うことなのですが、、、

PCV(血液中の赤血球の割合を示す値)の高い子がとにかく多いのです。

これは、赤血球が作られ過ぎるような特別な病気(多血症)や、心臓病や肺の病気などで酸素不足になり、酸素を運ぶために赤血球が増えるような場合もありますが、ほとんどは、血液中の水分が少ないことで血液濃縮が起こっていることが原因です。

つまり、水分不足です!

皆さんの相棒は、しっかりお水を飲んでいますか?

犬も猫も一日に体重1kgあたり約50ccは飲んでほしいところです。
つまり、5kgなら250ccが目安です。

ただし、環境、運動量、持っている病気、飲んでいる薬などの影響で、もっと飲まないといけない場合もあります。
例えば、暑い環境やストレスの多い環境、激しい運動、腎不全や糖尿病など多尿になる病気、血管拡張剤や利尿剤など尿の増えるお薬を飲んでいる場合、、、などです。

*だいちゃんは、いっぱい運動してるから、マメに飲まなければ!

水を飲ませる工夫

ーその1-
食器の工夫

①食器の材質を変える
 一般にステンレスよりも陶器が好きな子が多いです。個人差はありますが。
 陶器は重いので、ひっくり返しにくいというメリットもあります。

*私が以前飼っていた猫のしげはちは、水の研究をしていたようで、ベランダの溝を流れる水を哲学的な凛々しいお顔でひたすら眺めておられました。飲み水の表面のきらきらにも興味がおありで、手でパシャパシャと掻いて水の動きを追い、ついには器をひっくり返し、周りを水浸しにして、去っていく毎日でした。重たい陶器の器にしたら、見事にひっくり返さなくなり、研究の熱も冷めたようでした。

②食器の大きさを変える
 口が広く、ひげが当たらないサイズが好まれます。

③食器の高さを変える
 高齢になると、首の痛みや筋力の低下から、お座りして頭を下げて飲むのがしんどくなります。
 自然な姿勢で、あまり頭を下げなくてもいい高さに食器をセットしてやりましょう。
 立てない子は、もちろん低く。

④給水ボトルよりも器から
 上を向いて飲まないといけない給水ボトルは、気管に誤嚥しやすく、たくさん飲めないし、ボールの部分が雑菌的になったり、うまく動かず飲めなかったり出過ぎて無くなってしまったりすることもあるので、食器の方がお勧めです。

⑤食器は常に清潔に
 飲む時に口の中の食べかすが水に入り、その臭いや味を嫌う子もいます。
 また、その食べかすが、細菌の餌になり、ものすごい速さで増殖します。
 食器がヌルヌルしている「ぬめり」は、「バイオフィルム」といって、細菌やカビを守る膜を作っているので、これをきれいに落とさないと、細菌やカビを飲んでいることになります。
 臭いや味、衛生面でも食器をきちんと洗って、マメに変えてやるようにしましょう。

 新しく入れてやったら飲む子も多いです。

ーその2-
食器を置く場所の工夫

①周りが騒がしくない、落ち着いた場所に置く
 過去に水を飲んでいるときに大きな音がして、びっくりして水を飲むのが怖くなってしまったという場合もあります。
 食事も水もトイレも安心して落ち着ける場所に設置してあげてください。

 *以前youtubeで、猫の食事中にそっと横にキュウリを置いたら、ヘビと間違えて猫がびっくりして飛び上がるというのをおもしろ動画として流している方がいましたが、言語道断!!びっくりした拍子に水や食事を吸い込んで、誤嚥して窒息死する可能性のある怖い行動です。全然面白くありません。絶対にマネしないでくださいね。

②トイレの近くは避ける
 臭いを嫌がったり、トイレ砂や汚物が入ると衛生面でも良くないので、トイレと水飲み場は離しましょう。

③家の中のいろんな場所に複数の水を置く
 飲みたいときにすぐに飲めるよう複数置いてあげましょう。

 特に関節炎などで動くのが億劫な子、心臓病や腎臓病などで水飲み場まで行くのも大変な子、多頭飼育で、なわばりがあり水飲み場まで行きにくい子などは、よく観察してあげて、その子の行きやすいところに置いてあげてください。

ーその3-
水そのものの工夫

①好みの水の温度を見つける
 一般には、猫はぬるめの水を、犬は冷たい水を好む傾向にありますが、個人差はもちろんあります。
 お湯や湯冷ましが好きな子、氷水が好きな子などいろいろなので、うちの子はどうかな?といろいろ試してみましょう。

②好みの水の飲み方を見つける
 水道の蛇口から流れるような動く水が好きな子は、流れるタイプの給水器もありますので、試してみてください。
 水道の水をぽとん・・・ぽとん・・・と漏らして器に溜めるのも一つです。

 *ちなみにうちで使っているのは上の写真のピュアクリスタルというものですが、3匹のうち2匹は飛びついて飲んでいますが、1匹は陶器の食器一本!こればっかりは、猫に聞いてみないと理由はわかりませんが、人にも好みがあるように猫にも好みがあって当然ですよね。

③水に香りをつける 
 脂肪の少ない良質なたんぱく質として、味付け無しのささみや白身魚のゆで汁、野菜を水煮したス-プ、犬猫用ミルクなどを小さじ一杯くらい混ぜて香りづけをします。(アレルギ-のある子は使うものに考慮が必要です。) 
 チュ―ルを水で薄めて与えるのも一つです。 
 水分を摂らせるためのハイドラケアという犬猫専用の水もあります。

ーその4-
食事や運動量を変えてみる

①ドライフ-ドからウエットフ-ドに変える
 ドライフ-ドの水分含有量は約10%、ウエットフ-ドは約80%なので、ドライフ-ドしか食べず、水をあまり飲まない子は、相当水分が不足することになります。
 ウエットフ-ドに変えるだけで、水分摂取はかなり増やせます。

 犬の場合、ドライフ-ドに湯やささみや白身魚のゆで汁、野菜を水煮したス-プなどを混ぜてふやかして与えるのも良いと思います。
 猫は、ドライフ-ドの硬さや表面にコーテイングされた脂肪分などが好きなので、ふやかしても食べてくれないと思いますので、ウエットフ-ドを多く与えるのが良いと思います。


②食事の回数を増やす
 一般には、食事をすると水を飲むので、食事回数を増やすことで必然的に飲水量も増えることになります。

③運動を増やす
 運動制限の必要な子(心臓病や腎臓病、関節炎など)でなければ、毎日コンスタントな運動を行うことで、のどが渇き、水を飲むというリズムを作るようにしましょう。

水分不足が続くとどうなる?

ーその1ー
循環障害

血液が濃縮し、いわゆるドロドロの状態になると、血液の流れが悪くなり、血液を大量に必要とする臓器の循環が悪くなり、障害が起こります。心臓、腎臓、肝臓、すい臓などです。
血栓ができて心筋梗塞や脳梗塞が起こってしまうこともあります。
すでに心臓や腎臓の悪い子は、慢性で落ち着いていたのに急に悪化することもあります。

慢性腎不全で皮下輸液を定期的に行うのは、脱水するのを防いでこのような悪化を起こさないようにするためなのです。

ーその2ー
熱中症

犬は足の裏くらいしか汗をかけないので、体温を下げるためによだれを出したりパンテイングという呼吸をして体温を下げようとしますが、水分不足で脱水していると、充分なよだれや汗が出ず、体温を下げることができず、熱中症になってしまいます。

猫も、汗をかけないのは犬と同じですが、よほどでないとよだれを出したり
パンテイングしたりはしません。そんな状態になっていたらすでに熱中症を疑わねばなりません。
猫が涼しいところや風の通るところを見つける能力は素晴らしく、自分であちこち場所を変えて寝ていることと思います。ただ、ク-ラ-の冷気が嫌いな子が多く、クーラ-の効いていない暑い部屋にこもっていたりして心配になりますよね。
大概は、自分で気を付けて暑くなったら涼しいところへ移動しますので、飼い主としては、涼しい部屋をしっかり作ってあげて、自由に行けるように、暑い部屋に閉じ込めないようにしておくことです。つまり、猫が自分で選べるようにしてやることです。
ただし、子猫や高齢な子、心臓病や腎臓病の子は、深く寝入ってしまって、体温が上がっていることに気づかず、熱中症になってしまうこともあります。移動しない子は、ク-ラ-の涼しい風を扇風機でその部屋にも送るようにしたり、寝床の周りにペットボトルを凍らせた氷柱を置いたり、ベッドの下に保冷剤を入れたりして、体温が上がらないよう気を付けてあげてください。もちろんそばに水も置いて。そして時々様子を見て、涼しい部屋に連れて来てやりましょう。

*これは、数年前の冬の話ですが、ずっとこたつの中で寝ていた高齢の猫ちゃんが、よろよろして出てきて倒れたと来られたことがありました。ひどい脱水と、これも熱中症でした。
「猫はこたつで~」と言いますが、それは、自分で出たり入ったり調整できる子だけにしましょう。
うちの猫も、寒くなって私がこたつをセットしだすと我先にと入ってきますが、スイッチはオフのままにしたり、一番弱にしてこたつ布団を1辺だけあげて、空気が通るよう、出入りもしやすいようにしてます。しげはちは、人間みたいに足だけ入れてくつろいでました。

ーその3-
結石症

水分不足は、尿や胆汁など体内の液体成分すべての濃縮につながります。
つまり、膀胱結石や腎結石、胆石や胆泥の形成も促してしまいます。

膀胱結石を防ぐには、結石の原因になるマグネシウムやカルシウムの少ないフ-ドを与えるとともに、コンスタントな運動、運動後の飲水という生活習慣を作ることが大切です

ロイヤルカナンのユリナリ-S/Oなどは、そういった結石予防の配慮がされている優秀なフ-ドで、飲水量も増えるので、この処方食を始めると、皆さん、お水よく飲むようになってくれて、おしっこも増えたとおっしゃいます。

胆泥の治療にも、胆汁が粘調にならないように、利胆剤だけでなく、水分をしっかりとることも大切です。

ーその4ー
便秘

大腸は、小腸で消化されてドロドロになった内容物から水分を吸収して便を作るところです。
身体が水分不足だと、大腸でできるだけ水分を摂ろうとするので、便が硬くなってしまいます。
慢性腎不全の猫で便秘が多いのは、尿が多く脱水しがちなので、同じように便からも水分を摂ろうとするためなのです。

便を程よい硬さにするには、繊維質の多いフ-ド、充分な水分、腸内細菌のバランスを整える(いわゆる腸活)、モビコ-ルなどの大腸に水分を溜めて軟らかくするお薬などを使います。



それでは、皆さん、健診の結果を生かして、より穏やかな生活が送れますように。
何かあれば、ぜひご相談くださいね。

ネオ動物病院 津村泰子