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猫を巨大結腸症にしないために…

猫に多い巨大結腸症をご存じですか?

「うちの子、最近便が硬いし、少ししか出てないみたい…」「食欲が落ちている気がする…」
そんな症状の裏に、実は巨大結腸症が隠れていることがあります。
今回は、犬よりも猫に多い巨大結腸症についてお話ししたいと思います。

巨大結腸症とは?

大腸は、盲腸、結腸、直腸、肛門管の4つのパ-ツに分けられます。
その中でも結腸が大部分を占めます。

健康な猫では、食べたものを胃と小腸で消化吸収し、ドロドロの残りかすが大腸に運ばれます。
大腸では、ここから水分などが吸収され、固まった便を作ります。
また、結腸が蠕動運動をすることで、便は直腸と肛門管に運ばれ、排泄されます。

何らかの原因で、結腸の蠕動運動が弱まり、結腸が異常に広がりすぎて、大量の便が結腸に溜まると、便が結腸内にとどまっている間ずっと水分を吸収され続けるので、便は硬くなります。
こうなると、排便しづらくなり、いわゆる便秘状態になります。

この状態が長い間続くと、拡張した結腸は筋力を失い、結腸の壁にある収縮や蠕動を促す神経叢が減少し、ちょうど伸びきったセ-タ-の袖のようにだらんと弛緩した結腸になってしまうのです。この末期的な状態を「巨大結腸症」といいます。

慢性的な便秘→結腸内の便の水分がさらに吸収され、便が非常に硬くなる→便秘の悪化→結腸に硬化した便が大量に貯留→結腸の壁が伸びて動けない→結腸が収縮する力を失う→さらなる便秘の悪化…という悪循環が起こると考えられています。

こんな様子が見られたら、巨大結腸症かも?

排便の回数が少ない(何日も便が出ていないことがよくある)
排便時のいきみが以前より長い(しぶり)
トイレに行く回数が増える(でも便は出ない)
排便時に悲鳴をあげたり、吐いたりする
お腹を触られるのが嫌
体重が減ってきた
元気がなくなる
食欲の低下

原因

① 特発性(原因不明)

巨大結腸症の多くは、原因が特定できない特発性です。
中年齢からシニア猫に多いですが、生まれつき(先天性)のこともあり、若くても発症します。

② 二次性

他の病気があって、二次的に起こるものです。
骨盤骨折、神経の異常(脊髄損傷など)、肛門や直腸が圧迫されたり狭くなる病気(腫瘍やヘルニアなど)、食事(繊維の少ないドライフ-ドばかりで水もあまり飲まないなど)、脱水(慢性腎不全や糖尿病など)、薬剤(鎮痛剤や利尿剤など)、ホルモン(甲状腺機能亢進症や糖尿病など)や血液の異常(高窒素血症、低カリウム血症、高カルシウム血症など)などが原因になることがあります。)

診断

触診:巨大結腸症の猫のお腹を触ると、結腸内に油粘土のような硬い便がたくさん溜まって太くなっているのがわかります。ひどい時には、私の腕の太さくらいに太くなっていることもあります!指で押しても便はびくともしません。

診断には、レントゲン検査で、結腸の中にどれほど便が貯留し、拡張しているか(太くなっているか)を確認します。その他、肛門に指を入れて行う直腸検査、超音波検査、血液検査、内視鏡検査などが追加で必要な場合もあります。

以下のような硬くて巨大な便は、猫の小さな肛門を通りませんし、自力ではもう出せません。
腸閉塞と同じ状態になってしまい、排出できない細菌や毒素のせいで、敗血症やショック状態に陥って亡くなったり、腸管が穿孔する場合もあります。

こうなる前に気づいてやりましょう!

治療

二次性の巨大結腸症の場合は、原因に対する治療を行います。

原因不明の特発性の場合は、以下の治療を行います。
①軽度であれば、食事療法や便軟化剤の内服を行います。
②重度の場合は、さらに、定期的な浣腸や指を使って肛門から便を取り出す摘便も併用します。
③脱水している場合や、浣腸により水分が引っ張られてさらに脱水しそうな場合には、点滴も行います。
④内科治療で効果がない場合は、開腹して結腸切除術を行う場合もあります。

自宅でできること

①食物繊維を多く含んだフ-ドに変更する

食物繊維の中でも、可溶性繊維という食物繊維は、水を含むとゲル状になって便を軟らかくします。可溶性繊維が配合された便秘用療法食がありますので、ご相談ください。

重症で、自力で全く便を出せない場合は、食物繊維の多いフ-ドは避けた方が良い場合もありますので、必ずご相談くださいね。

②水分をしっかりとる

いつでも新鮮な水がたっぷり飲めるようにしましょう。
あまり水を飲まない子には、ウエットフ-ドを与えるようにしましょう。

🔶ラインやホ-ムペ-ジに「もっと水を飲ませるには?」という記事も載せていますので、参考にしてください。

③ストレスを溜めない環境作り

トイレを我慢してしまって便秘につながることもあります。
理想のトイレ数は、猫の頭数+1個です。落ち着いて排泄できる場所に置いてあげましょう。
ストレスが溜まらないよう、適度に遊んであげたり、ゆっくり落ち着いて休めるベッドも用意してくださいね。

④普段の様子を気にかけておく

便秘で苦しい思いをしたことのある子は、普段の食欲や元気に加えて、トイレの様子(排便の頻度、排便時の様子、便の大きさや硬さ)も日頃からチェックしてあげましょう。

🔶ラインやホ-ムペ-ジに「うんち、硬い?やわらかい?少ない?」という記事も載せていますので、参考にしてください。

おわりに

猫の巨大結腸症は、初めのうちは「便が出にくいけど、数日経てば出ているから大丈夫やろう」と見過ごされがちですが、放置すると必ず進行し、結腸の筋肉の力も腸壁の神経叢の数も減ってしまい、元には戻りません。末期の状態になってからでは治療が難しくなります。

何よりも、硬い便をいきんで出すのは本人にとってつらいことですし、度重なる浣腸や摘便は鳴き叫ぶ子もいるくらいとても痛くて苦しいことです。性格まで暗くなってしまう子もいます。

早期に診断して、食事や内服で治療し、毎日便が出るようにしてやると、進行を止めたり遅らせたりできますし、食欲や元気も回復し、遊んだりするようになります。
運動することによって水をよく飲むようになったり、腸の動きも刺激するので、悪循環を断ち切ることができるのです。

毎日の排便は、健康状態を示す大事なサインです!

「最近便が少ないな」「きばってる時間が長いな」「便が小さくてカチカチやな」「汁のようなものしか出ないな(硬い便のすき間から汁だけが出て下痢と勘違いされることも)」などを感じたら、些細なことでも早めにご相談くださいね。

ネオ動物病院
津村泰子

画像提供
公益財団法人 日本小動物医療センター 中島亘先生