眼は私たちにとって、とても大切なもののひとつですよね。
眼の働きは、目の前にある情報を眼の中を通して奥にある網膜へと届けることです。網膜へとやってきた情報はさらに奥の神経を介して、脳へと送られます。
私たちはその送られてきた情報を脳によって認識し、視覚を得ることができます。
つまり眼に異常があると、脳へ情報が正しく送られない場合があり、視覚に影響があることもあります。
緑内障ってどんな病気?
眼の病気は人と似ているものも多いですが、緑内障は人でもワンちゃんネコちゃんでも聞いたことがある病気ではないでしょうか。
“緑内障”という名前を見ると、目が緑色になる病気なの?と思う方も多いかもしれません。
元々の由来は、昔ヨーロッパで失明した人の眼球が緑色に見えたことから、この病名が付いたと言われています。
緑内障は、眼球の中の圧が高くなってしまうことで、網膜や眼の神経が圧迫されてダメージを受け、やがて視覚消失がおこります。一度失明してしまうと、残念ですが再び見えるように視覚を回復させることは困難になります。

眼球の中の圧が高くなる…とは何が起きているのでしょうか?
眼球の角膜と水晶体の間には、“眼房水”と呼ばれる水で満たされています。この眼房水の量がなんらかの理由によって眼内で貯留してしまうと眼球の中の圧が高くなります(眼圧の上昇)。

緑内障の種類
緑内障はその原因によって大きく3種類に分けられます。これらの種類を知っておいてほしいというよりも、特に緑内障になりやすい犬種のワンちゃんの眼に異常を感じたときは、早めに動物病院へ連れてきた方がよい!と覚えておいてくださいね。
先天性緑内障生まれつきの異常によって起こるものですが、稀です。
原発緑内障犬種や猫種 によって遺伝的要因があると考えられており、柴犬、アメリカン・コッカースパニエル、バセットハウンド、シー・ズーなどは注意が必要です。原発緑内障は猫ではシャム猫などが報告されていますが、猫での原発緑内障の発症は犬と比べて稀で、猫の場合は次に説明する続発緑内障の方が一般的です。
続発緑内障他の眼の病気(白内障やぶどう膜炎、感染症など)がきっかけで眼房水が溜まりすぎることにより、緑内障が引き起こされます。
症状 ~こんな様子があれば早めに病院へ‼
緑内障はあっという間に悪化してしまうので、ひとつでも当てはまる症状があれば来院されることをおすすめします。

診断
緑内障の診断は眼圧の測定などによって行います。特に眼圧検査は緑内障の診断には必須です。同時に、スリットランプ(眼科で使う拡大鏡のようなもの)を用いた検査などで緑内障のきっかけとなるような他の病気も併発していないかも調べます。
治療
治療には内科療法と外科手術がありますが、その時の緑内障の状態や進行度合いによって治療方法が変わってきます。
発症してまだ日が浅く視覚が残っている場合または視覚回復を見込める場合眼にチューブを設置して眼房水をそこから排出させ、眼圧を上げないようにする方法です。
緑内障の治療のために眼圧上昇の原因となる眼房水産生と流出に対して、毛様体にレーザー光凝固を行う事で、眼房水の産生を抑制させる・眼房水流出を促す効果を期待して実施する治療です。

進行し、すでに視覚が消失している場合発症から時間が経過している場合、視力の回復は見込めません。
痛みや不快感を取り除いてあげることが治療の目的となります。さらに進行すると、眼球が正常よりも大きくなることで前方に突出し、外観にも変化が出てきてしまいます。また、きちんと瞬きができないため涙がきちんと角膜に行き届かないことで角膜疾患が生じたり、様々な合併症が引き起こされます。
眼の内側の組織を取り除き、そこにシリコンボールを挿入します。目の形を正常な状態に近づけることができますが、角膜保護のために点眼を継続しておこなう必要があります。
眼球自体を取り除き、瞼を閉じた状態に縫合します。継続してメンテナンスを行う必要がありません。
眼の中の後方にある硝子体に薬剤を注入することで、眼房水が作られる部分(毛様体)を破壊して房水の産生を抑えます。


予防、できること
緑内障は、進行すると失明につながってしまう病気なので、早急に治療をスタートする必要があります。残念ながら、緑内障にならないような方法はありません。しかし、初期の段階で気付くことができれば進行を遅らせたり、軽症のうちに治療を行うことができます。何よりも異常に早く気付いてあげることが大切です!
緑内障になりやすい犬種猫種の子は、普段から定期的に動物病院で眼をみせてくださいね。他にも、上に記載した症状がある場合は様子をみるよりも早めの受診をおすすめします。
気になることがあればちょっとしたことでもお気軽にご相談ください。
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画像提供:どうぶつ眼科専門クリニック 辻田裕規先生