SFTS(重症熱性血小板減少症候群)は、犬や猫、そして人にも感染するウイルス感染症です。
最近、ニュースなどでも目にすることが増えてきたこの病気ですが、感染すると命に関わることもある大変怖い病気です。
徹底した予防と対策で、動物だけでなくご自身の大切な命を守りましょう!
日本国内でのニュース
これまでSFTSを発症した猫の看病をされていた飼い主様が感染し、その後亡くなられたという痛ましい事例が報告されています。さらに今年(2025年)には、三重県で入院中の猫の治療にあたっていた獣医師がSFTSに感染し、その後亡くなるという大変ショッキングな出来事も起こっています。ご本人はマダニに噛まれた痕はなく、猫からの感染によるものではないかと考えられています。
一番身近にいる飼い主様だけでなく獣医師でさえ命を落とす危険がある…このSFTSがいかに恐ろしい感染症であるか分かります。

SFTS(重症熱性血小板減少症候群)とは?
SFTS(エスエフティーエス)は、SFTSウイルスによる感染症のことです。マダニがこのウイルスを運び、そのマダニに噛まれることで感染します。また、感染した動物の体液を介してSFTSに感染する可能性があります。
国内では、西日本を中心に報告されていますが、最近では東日本でも人の患者が確認された地域が出てきています。また、患者が報告されていない地域でもSFTSを保有するマダニは見つかっているため、SFTS患者が報告されていない地域でも注意してください!!
どうやってうつるの?
マダニに噛まれることで感染します
感染した犬や猫のよだれ、血液などから人にうつる可能性もマダニは草むらや公園などに潜んでいます。お散歩など、お外で過ごす時間があるワンちゃんネコちゃんは特に要注意です!
犬猫にうつるとどうなる?
人が感染すると発熱、嘔吐や下痢といった消化器症状、出血症状がみられます。致死率は10~30%と言われており1)、特に高齢者では重篤化しやすいです。犬猫が感染すると、次のような症状がみられます。
現在日本では犬、猫、チーターがSFTSを発症した動物として報告されています2)。発症した場合、人と動物では似たような症状がみられます。犬は人よりも軽症ですが、猫は重篤化しやすく、なんと致死率は6割を超えるともいわれています1)。
残念ながらワクチンや特効薬はなく治療は症状を和らげる対症療法です。だからこそ、なによりも“感染しない”ように予防することが、私たちにできることです!

感染しないようにできる対策
動物だけでなく私たち人間にも危険が及ぶ可能性があります。マダニに噛まれないよう、普段からしっかりと対策しましょう。
完全室内飼いのネコちゃんであっても、私たち人間の衣類に付着したマダニが家の中へ持ち込まれるケースやベランダ・窓からの侵入など、さまざま経路での感染が考えられるので、外に出ないネコちゃんにもしっかりと予防してあげてください!
駆虫薬で定期的に予防する。マダニの予防・駆除薬には様々なものがありますが、市販のものだと効果が不十分なことがあります。必ず動物病院で販売されているものを使用するようにしてください。
マダニだけでなく他の寄生虫も一緒に予防できるタイプの薬など、薬には種類がありますので相談しながらその子に合うものを選択しましょう。
マダニに生息域に近づかない。マダニを持ち込まない。マダニは主に草や葉の裏にいます。完全室内飼育をしていれば飼い主様がマダニを家の中に持ち込まない限りは感染の可能性を大幅に下げることができます。
猫ちゃんにおいては、完全室内飼育の徹底や玄関やベランダなどの脱走対策が重要といえます。
ワンちゃんは草むらに近づかないことを心掛けたお散歩コースの設定や散歩後に刷毛やブラシで付着物(マダニかもしれません)を払い落としてから家に入るなどの工夫が有効といえます。
また、飼い主様も外出から帰宅されるとき、家に入る前には靴やズボンを刷毛やブラシで掃って、付着物を払い落とすとよいといえます。
マダニが寄生しやすいのは以下のような部位です。普段からスキンシップやブラッシングのときに体に付いていないか見てあげてくださいね。
もしも寄生されているのを見つけたら、無理に取らないようにしてください。無理にピンセットなどで取ってしまうと、マダニの口器が皮膚に残ってしまい、そこから病原体が侵入する可能性があります。マダニを発見した場合は動物病院にご相談ください。

さいごに
ワンちゃんネコちゃんのマダニ対策はワンちゃんネコちゃんを守ると同時にご家族の身を多くの感染症から守ることにも繋がります。是非予防してあげてください。駆虫薬についてはお気軽にご相談ください。