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ノミ・マダニによる人への影響
当院ではフィラリアは5−12月の8ヶ月間、ノミ・マダニは通年予防を推奨しています。
冬はノミもマダニも居ないじゃん。。。。なんで通年??って思われる方もいらっしゃると思いますが、
お布団、ソファー、クッション、絨毯。。。などのお部屋の中では冬でも元気に生息しています。
室内で生活されるワンちゃんネコちゃんが多い現代では
1年中ノミ・マダニとの接触がありえるわけです。

ではノミ・マダニと接触があると何がいけないのでしょうか?
ご経験もあるかもしれませんが、咬まれる(刺される)とかなり痒いですよね。
でも、咬まれたら少し腫れるだけの症状じゃないこともあります。
それでは、咬まれたときの症状をノミとマダニで分けてご紹介していきます。

ノミに咬まれた場合

アレルギー性皮膚炎
咬傷時にノミの唾液腺の成分に反応することで起こるアレルギー反応です。
厄介なのは、咬まれた部位と皮膚炎が起こる位置は必ずしも一致しないということです。
動物もヒトも起こりえる皮膚炎です。
猫ひっかき病
ネコノミから排泄されたBartonella  Henselae という菌がヒトの体内へ入ることでデキモノができたりリンパ節が腫脹したり、発熱、食欲低下、悪化すると脳炎や心内膜炎など命に関わる病気です。
通常猫では無症状ですがヒトだと症状が出ます。

マダニに咬まれた場合

犬のバベシア症
マダニが吸血する際マダニの体内にいたバベシア原虫(日本では主にBabesia gibsoni )が犬の赤血球内に寄生することで赤血球が壊されてしまい貧血が起こります。重症例では3−4週間で多臓器不全で亡くなってしまうケースもあります。
日本紅斑熱
Rickettsia japonica を保有するマダニに噛まれることで発熱、発疹が起こります。
発生件数は近年増加傾向にあり死亡報告もあります。

ヒトで問題となる病気です。
SFTS;重症熱性血小板減少症候群
ブニヤウイルス科のフレボウイルス属に分類されうるウイルスが体内に入ることで発熱、下痢、嘔吐、黄疸、時に神経症状や頭痛を伴います。
致死率はヒトで10−30%、犬で29%、猫で60−70%といった報告があり、命に関わる病気です。

予防薬について

ノミやマダニが、ヒトにも動物にも怖い病原体を持っている可能性があることがわかりましたね。
これらの病気を防ぐためにも、予防はすることはとても大切なのです。
ですが、実はノミ・マダニ予防をしていてもノミ・マダニが近寄って来ないわけではありません。
「どっちみち寄生されちゃうなら、予防薬を使用していても意味ないじゃん。。。」って思いますよね。
でももちろん予防薬には大事な役割があります。
例えば、当院で取り扱いのある予防薬の1つのネクスガードは投与後30分でノミを駆除し始めて6時間後には完全に駆除します。
また、投与後24時間以内にマダニを駆除することが報告されています。

ノミは寄生すると24−72時間で産卵します。つまりネクスガードでは産卵前にノミを駆虫できます。
ダニは寄生しても直ぐには吸血せず、吸血しやすそうな場所へのそのそと移動します。
吸血時間は48時間以上あるので、パンパンに吸血した後にマダニにとって必要な栄養素を吸収し、不要なものを吐き出します。
この時にマダニの体内にある原虫やウイルスなどが人や動物の体内へ入ってしまいます。
ですが予防薬を使用していることで、咬まれてしまってもマダニが不要物を吐き出す前に駆虫することができるため上記の病気が防ぐことができるのです。

さいごに

ノミ・マダニ予防はヒトと動物双方にとってメリットがあります!
どちらの健康も守ることができる、とても大切なものなのです。
ぜひフィラリア予防だけにフォーカスせずにノミ・マダニも予防してくださいね!