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猫の炎症性腸疾患とは?
なんだかうちの子、ここ最近吐いたり下痢することが増えたかも?
と感じることはありませんか?
もしかしたらそれ、治療が必要な病気かもしれません。今回はなかなか気付きづらい病気のひとつである、猫の炎症性腸疾患についてのお話です!

炎症性腸疾患とは?

その名の通り、腸の粘膜に炎症が起きてしまうことで、食べ物の消化・吸収が上手くできなくなり、嘔吐や下痢につながります。3週間以上にわたって消化器症状が続き、だんだん食欲低下体重減少脱水などが見られるようになります。炎症性腸疾患は「これが原因です」と言い切れる病気ではありません。腸内細菌の環境、食物アレルギー、免疫の異常、遺伝などいくつかの要因が重なって、腸に炎症が長く続いてしまうと考えられています。

症状

炎症性腸疾患の犬では“下痢”が多いですが、猫では“吐く”ことがおもな症状です。他の症状は次のようなものです。
慢性の嘔吐
慢性の下痢、血便
食欲の低下
痩せてくる
これらの症状は、一時的なものですぐ回復するものなのか、病気が原因で起きているのか、自宅では判断できないので病院に連れていくべきか悩むかもしれません。目安は、週に1回以上の嘔吐や下痢がある場合や、体重が数ヶ月以内に5%以上減ってしまっている場合には、一度病院に連れてきてもらうことをおすすめします。よく似た症状が見られる病気に、ガン(消化器型リンパ腫という腫瘍)もあるので、症状が続いていると感じたら、早めに相談してくださいね。

診断

炎症性腸疾患の診断は、“これが決定的な検査です!”と言えるものがなく、いくつかの検査を組み合わせて診断します。よく似た症状を示す、他の病気でないことを確認して初めて、炎症性腸疾患と診断できますよ。
猫で慢性的な消化器症状を示す他の病気には、腸の寄生虫感染、甲状腺機能亢進症、慢性膵炎・胆管炎、そして先程挙げた消化器型リンパ腫などがあります。
血液検査
炎症や臓器の状態を確認します。腎臓や肝臓に問題が隠れていないかもチェックできます。
超音波検査
腸の壁の厚さや構造、リンパ節の状態を確認します。炎症性腸疾患では腸管の壁が厚く見えることがあります。
便検査
寄生虫や感染症がないか確認します。
内視鏡検査
内視鏡や手術で腸の組織を少し採り、どんな細胞がいるのか調べます。この検査によってリンパ腫との区別ができるため、重要な検査です。


場合によっては寄生虫の駆虫薬を使ったり、食事を変更して体調が良くなるかみていく、といったように、なるべく早く体調が良くなるように、確実な診断を下す前に、検査を行いながら治療をスタートさせることがあります。

治療

治療は“炎症を落ち着かせて、腸の働きをできるだけ正常に戻すこと”が目的です。食事を変えるだけで改善する場合もあれば、薬で炎症を抑える必要があることもあります。
食事療法
加水分解食(タンパク質を細かくしてアレルギー反応を起こしにくくしたフード)や、新奇タンパク食(今まで食べたことのないタンパク質を使ったフード)を食べてもらいます。これだけで症状が改善するネコちゃんもいます。
薬を使った治療
ステロイド
   腸の炎症を抑えます。副作用を見ながら、必要最低限の量を調整していきます。
免疫抑制剤
  ステロイド薬だけでは十分に効果が出ない場合、併用することがあります。
  これはリンパ腫の治療にも使われる薬です。
補助的な治療
プロバイオティクス(腸内細菌のバランスを整えるサプリ)や、ビタミンB12(腸で吸収しにくくなるため、不足しがち)の補給をします。
食事療法や薬を組み合わせて症状が落ち着くかみていきます。基本的に治療は長期にわたりますが、その子の状態を見ながら薬の量や種類を調節して減らすことを目指していきますよ。

おわりに

猫の炎症性腸疾患は「治す」というより「うまく付き合っていく」病気です。症状の程度や体調によって、食事や薬を組み合わせ、その子に合った治療を見つけていきます。
「猫だから吐くのは当たり前だろう」とも思われがちですが、吐くのが続く、頻度が増える、痩せてきた、というのは病気のサインかもしれません。気になる症状があれば、ぜひ早めに相談してくださいね。