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犬もドライアイになる!?ドライアイってそもそも何?
ワンちゃんネコちゃんが何か体調を崩しても、すぐには症状として現れない病気も多くありますよね。

例えばホルモンの病気などは、初期は大きな症状はありません。
そういえばだんだん痩せてきたかも…飲水量が多くなったかも…などとある程度進行してから気づかれる事が多いです。

それに対して眼は外観上、異変に気付きやすそうな部位ではあります。しかし実際は、意外と変化を見落としがちな場所でもあり、眼の病気には短期間で一気に進行してしまうものもあります。人間と同じように動物にもいろいろな眼の病気があり、今回お話するのは“ドライアイ”についてです。

ドライアイとは

パソコンやスマートフォンを長時間使うことが原因でよく起こるイメージですよね。スマホを見ない犬でもドライアイになるの?!と少し意外かもしれません。

ドライアイとは、涙の構造が破綻し、涙の質や量が変わることで目の表面に障害がでる病気です。その原因は色々とあります。ドライアイの中でも、涙が減ってしまうタイプのドライアイを通称 “乾性角結膜炎(Keratoconjunctivitis sicca:KCS)”といい、犬では比較的よく遭遇するドライアイの病気です。
眼の表面は液体や脂質、粘液からなる涙液の膜で覆われています。この涙液の膜は、ほこりやごみなどの異物、ウイルスや細菌などの病原体から眼を守り、潤いや酸素、栄養を与える役割をしています。

涙=水分と思われがちですが、実は水分だけではなく、①水分の蒸発を防ぐ役目の「油層と、②水分とその水分を目の表面に引っつける糊(のり)から成る「液層という二層構造で涙は成り立っています。(下のイラスト)

乾性角結膜炎はこの②の涙の量が少なくなったり、涙の質の異常で眼の表面が乾いたりすることにより、角膜や結膜に炎症が起きてしまうことを言います。

ドライアイが起こる原因

ドライアイは、涙の量や涙の質が悪化して眼が乾燥して起こりますが、その原因には次のようなものがあります。興味がある方は一度読んでみてください。この中でも、犬では自己免疫が関連していることが多いですよ。

慢性眼瞼結膜炎
いわゆるまぶたの炎症のことです。
生まれつきの涙腺低形成
ヨークシャーテリアやチワワなどでみられます。
感染症
犬のジステンパーウイルス感染が原因となることがあります。
薬剤
サルファ剤やアトロピン、麻酔薬などの薬剤によって引き起こされることがあります。
自己免疫
涙腺に対して自分の免疫が働いて攻撃してしまうことです。犬でのドライアイの原因として最も多いとされていて、好発犬種はパグ、シー・ズー、アメリカン・コッカー・スパニエルなどです。
神経の異常
涙腺を支配する、顔面神経と三叉神経の異常によって涙腺からの涙液分泌量が低下します。
内分泌疾患(ホルモン疾患)
糖尿病や甲状腺機能低下症、副腎機能皮質亢進症などといったホルモンの病気が原因となることがあります。
加齢
加齢にともなって涙腺が萎縮することで起こります。
外科的な瞬膜(第三眼瞼)切除
瞬膜の内側にある瞬膜腺からは涙液が分泌されるため、瞬膜を手術で取ってしまうと起こります。

さいごに

今回は人でもなじみがある “ドライアイとは何か、その原因” についてお話ししました!

実はワンちゃんネコちゃんは眼に痒みや傷があると、気にして足で掻いたり壁にこすり付けることがあり、そういった行動で短時間のうちにあっという間に悪化することがあります。あれ?少し目を気にしている?充血してるかも、などの異変に気が付いた場合は、お早めに来院されることをおすすめします。

また、目の周りの毛が濡れたり、茶色に変色する「涙やけ」もドライアイの症状である、ということをご存知でしょうか?
涙が溢れているのにドライアイ?と思われる方も多いかと思いますが、トイプードルやマルチーズ、シーズーなどでよく見かける「涙やけ」も近年、ドライアイの症状と考えられています。もし気になることがあれば、一度病院に相談にきてくださいね。
参考文献
画像提供:どうぶつ眼科専門クリニック 辻田裕規先生