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その「元気」、実は病気かも?犬のクッシング症候群
「歳をとったのに、若い頃より食欲があって元気だなあ」 「最近、お水をガブガブ飲むようになったな」

もしワンちゃんにこのような様子が見られたら、それは単なる老化ではなく、“クッシング症候群(副腎皮質機能亢進症)”というホルモンの病気かもしれません。 人間では10万人に1人と珍しい病気ですが、犬ではとても身近な病気なんです。特に10歳前後の中高齢期での発症が多く、雌のほうが雄よりもかかりやすいと言われています。

なぜこの病気がおこるの?

この病気の鍵となるのは、下のイラストのように、腎臓のそばにある「副腎(ふくじん)」という小さな臓器です。 副腎はストレスから体を守るための「ストレスホルモン」を、必要な時に必要な分だけ分泌しています。

ところが、脳や副腎の異常によってこのホルモンが「出しっぱなし」の状態になってしまうのが、クッシング症候群です。 常に体が過剰なストレスホルモンにさらされることで、全身に様々なトラブルが現れます。

見逃したくないサイン

初期症状は「老化現象」にそっくりですが、つぎの変化は病気の強いサインです。
お水とおしっこが異常に増える(多飲多尿)
もっとも気付きやすい変化です。「1日に体重1kgあたり100ml以上」の水を飲む、または「体重1kgあたり50ml以上」のおしっこをする場合は、明らかに異常です
体型の変化(お腹ポッコリ)
「太ったのかな?」と思いきや、実は筋肉が落ちてお腹の皮膚が薄くなり、内臓を支えきれずにお腹だけがポッコリ膨らんでいることがあります。背骨が目立つのにお腹が出ている場合は要注意です。
その他の変化
毛が薄くなる、呼吸がハアハアと荒い、疲れやすい、膀胱炎や皮膚炎がなかなか治らないといった症状もよく見られます。

原因は2つのタイプ

原因の場所によって、以下の2つに分けられます。
頭の中(脳下垂体)の腫瘍(約80〜85%):脳からの指令ミスでホルモンが出すぎるタイプ
副腎の腫瘍(約15〜20%):副腎自体が勝手にホルモンを出し続けるタイプ

放っておくとどうなるの?

「元気そうだから様子を見よう」は禁物です!

治療せずに放置すると、糖尿病や高血圧、血栓症(血管が詰まる病気)などの命に関わる病気につながるリスクが高まります。 また、副腎に腫瘍がある場合は、腫瘍が破裂して突然死に至る危険性もありますし、脳の腫瘍が大きくなれば神経症状が出ることもあります。

治療

血液検査や画像検査(エコーやCTなど)で原因を突き止め、治療法を決めます。 多くの場合、ホルモンを抑える“薬による治療(内科療法)”が選ばれますが、完治を目指して手術(外科療法)や放射線治療を行うこともあります。ただし、手術は高度な技術が必要でリスクも伴うため、よく相談して決める必要がありますよ。

残念ながら、この病気を予防する方法はありません。 しかし、早期発見ができれば、お薬などでコントロールしながら穏やかに暮らすことができます。日頃から「お水の量」や「体型の変化」をチェックしてみてください。あれ?と思ったら、お気軽にご相談ください。

当院では健康診断として年に1回の血液検査をお勧めしています。また、7〜8歳齢以上のシニア期に入ったら、年に2回の血液検査とレントゲンやエコーなどの画像診断も推奨しています。このクッシング症候群という病気も単純な血液検査のみでは判断できない病気であり、画像も含めた一つ上のランクの健診で初めて疑われることも少なくありません。気になる方はぜひお気軽にスタッフまでご相談ください。