“インスリノーマ”という病気を聞いたことはありますか?
じつはフェレットによく見られる病気であり、膵臓の中にあるβ(ベータ)細胞という部分が腫瘍化してしまいます。
通常、インスリンは食後に血糖値が上がった時だけ分泌されるホルモンですが、腫瘍になると血糖値に関係なく、勝手にインスリンを出し続けるようになります。その結果、血液中の糖分が過剰に消費され、脳や体にエネルギーが行き渡らない低血糖という危険な状態に陥ります。
今回は“フェレットのインスリノーマ”についてのお話です!

なぜインスリノーマになるの?
インスリノーマは、3歳以上のフェレットのうち約半数が発症すると言われるほど、一般的な病気です。
転移の激しい「がん(悪性腫瘍)」というよりは、小さなしこりが多発する性質があり、他の動物に比べると進行や転移は緩やかな傾向にあります。
はっきりした原因は解明されていませんが、主に食事と遺伝の2つの要因があるのではないか?と考えられています。
フェレットは純粋な肉食動物なのですが、安価なドライフードに含まれる糖質(炭水化物)が膵臓に負担をかけ、細胞を異常増殖させるという説が最も有力です。また、日本で飼育されているフェレットの多くは特定の繁殖場(ファーム)から来ているため、遺伝的に発症しやすい素因を持っているのではないか、とも言われています。
こんなサインはありませんか?
おうちの子に変わった様子はありませんか?実は、インスリノーマの初期症状は非常に分かりにくく、見逃されがちです。だからこそ、日頃から体調の変化がないかよく見てあげてくださいね。
「ぼーっとする」: 空(くう)を一点に見つめたり、急に動きが止まったりする
「後ろ足のふらつき」: 歩行時につまずく、後ろ足に力が入らない
「よだれ・前足で口をかく」: 低血糖による「吐き気」や違和感のサインかも
「重症化」: 全身の痙攣(けいれん)、失神、ぐったりして起きない。これらは命に関わる緊急事態です‼
診断
インスリノーマかどうか調べるために、主に4〜6時間の絶食後の血糖値を測定します。
腫瘍が極めて小さいため、X線や超音波(エコー)検査では写らないことも多いのですが、他の病気(副腎腫瘍など)が併発していないかを確認するためにも画像検査を行います。
より詳細な診断には、CT検査が有効な場合もあります。
治療
完治が難しい病気であるため、いかに低血糖になる時間を減らし、QOL(生活の質)を維持するかが治療の目標になります。
治療には外科と内科がありますが、フェレットの年齢や病状によって総合的に判断します。
外科手術腫瘍を切除することで物理的に原因を取り除きます。術後は血糖値が劇的に安定しますが、目に見えない微細な腫瘍が残るため、数ヶ月〜1年程度で再発する可能性があります。
内科治療血糖値を上げる薬を継続して服用します。食事療法が最も重要かもしれません。
高タンパク・高脂質の食事(流動食)を少量頻回(1日4〜6回以上)与える、あるいは強制給餌を行い、血糖値の変動をなるべく最小限に抑えます。

低血糖発作(痙攣など)が起きた時の緊急処置
もしフェレットが倒れて痙攣したり、意識を失ったりした場合は、慌てずに以下の処置を行ってください!
砂糖水、ハチミツ、コーンシロップなどを指につけ、歯茎や舌の裏の粘膜にこすりつけます。
自力で飲み込めるようになったら、ふやかしたフードなどを与えてください。
一時的に落ち着いたように見えても、その後にさらに深刻な反跳性低血糖(急激な糖分摂取に反応して、体がさらにインスリンを出してしまう現象)が起きるリスクがあるため、必ず動物病院を受診してください‼
さいごに
インスリノーマは、治療で完治させる病気ではなく、長く上手に付き合っていく病気です。
日頃から「よだれを出していないかな?」「後ろ足が弱っていないかな?」と、よく観察し、甘いおやつ(果物など)を控えることが、愛フェレットを守る第一歩につながりますよ。