インコの毛引きとは、自分の羽を引き抜いてしまう行動を指します。
もともと羽をきれいに保つために毛づくろい(羽繕い)を行いますが、毛づくろいが過剰になると、羽を引き抜くばかりでなく、エスカレートして皮膚まで傷つけるような自傷を引き起こすようになってしまいます。今回はインコの毛引き症についてのお話です!

毛引き症がよく見られる種類は?
毛引きはペットのインコやオウムに多く見られますが、野生の鳥には滅多に見られません。
インコやオウムは社交性が高く、群れの中でお互いに刺激を与えあうため、ストレス行動としての毛引きにつながりやすいです。特にセキセイインコ、ボタンインコ、コザクラインコに多く、一方フィンチでの発生はまれです。
原因
毛引きを引き起こしてしまう原因は、不適切な環境やストレスなどの環境要因、鳥にダニや病気などがある鳥自体の要因の2つに分けられます。
不適切な環境ケージが小さい、騒音、そして単独飼育による寂しさや退屈などがストレスになります。
野生の鳥は群れを成して、お互い刺激がありますが、 1羽での飼育は、孤独や退屈を感じることが多いです。人に馴れている鳥では、ご家族がいなくなることで寂しくなり、鳴き声を上げて呼んだりもしますよ。
鳥自体の要因原因となる病気には、感染症(オウム病など)、寄生虫(ダニやシラミ)、皮膚炎、栄養不足、全身疾患(肝臓や腎臓の疾患・痛風など)、ウイルス感染(PBFDなど)、甲状腺機能低下症などがあります。
さらに、鳥が発情によりフラストレーションがたまって毛引きをしているケースもとても多いです。
こんな様子が見られたら毛引き症かもしれません!
毛引きは、胸や腹、翼の付け根など、自分のくちばしが届く部分で認められます。基本的にくちばしが届く範囲ならどこでも発生しますが、頭や顔だけは自分で抜くことはできません。自傷行為も起きている場合、指先までかじってしまうことがありますよ。
羽が抜けるだけでなく、ボロボロになってしまっていたり、羽や皮膚が傷ついて出血していることもあります。

自宅でできる対策・治療
毛引きや自傷の原因を特定することはなかなか難しいです。
動物病院では健康診断を行い、寄生虫やPBFDウイルスなどを調べ、内臓疾患はないか、などの確認が必要です。ストレスによって毛引きが起きている場合も、原因が必ずしも一つとは限りません。
ストレスを取り除いてあげるには次のようなことを試してみてください。
自由に活動できる広いケージにしてみる
騒音を避け、快適な温度と湿度にする
夜は暗くして早めに寝かせ、昼は日光浴をさせるなど、規則正しい生活を送る
おもちゃを与える、部屋の中で放鳥する時間を作る、ご家族とコミュニケーションをとるなど、退屈させないようにする
発情期なら終わるのを待つしかありませんが、もし年中発情が続くようであれば、発情対策を考える必要があります。栄養不足であれば、バランスの良いペレットに変えたり、ビタミンやミネラルをサプリメントで補給します。毛引きが激しい場合は抗精神薬の投薬や、自傷がひどい場合は首の周りにエリザベスカラーを装着してこれ以上悪化するのを防ぎます。
毛引き症の治療はとても時間がかかり、完治させるのが難しい場合も多いのですが、根気強く続けることが大切です!

さいごに
普段からストレスのない生活環境にし、栄養状態や発情の頻度なども気にかけてあげておいてくださいね。
何か気になることがあればいつでも相談にいらしてください。