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腎臓が悪い子の食事を選ぶ最新基準 FGF-23について
10月から始まる秋冬健診のオプションにFGF-23という項目があります。
今回はその項目に関するお話をしたいと思います。

・腎臓病でチェックを受けている
・腎臓病の療法食を食べている/検討している
・リンのお薬やサプリメントを飲んでいる

こういった飼い主さんはぜひ最後まで目を通していただけたらと思います。

これから重要な検査項目になっていくであろうFGF-23

FGF-23という項目を聞いたことがある方はほとんどいらっしゃらないと思います。
まだまだマイナーな項目で、一般的な検査項目とは言えないからです。

しかし、この検査項目は猫ちゃんの腎臓病を管理していく上で、重要な情報を与えてくれます。
そのため今後重要な検査項目になってくるものと思われます。

実際国際獣医腎臓病研究グループ(IRIS)も慢性腎臓病(CKD)のガイドラインにて、食事中リン制限の必要性の判断として、FGF-23の測定を提言しています。
(下の2.のところで提言されています。IRISホームページより参照)

腎臓が悪いから腎臓食を食べないといけない!?

これまで腎臓病食を開始する判断を、リンの数値やステージ分類によって行っていましたが、これをもう少し厳密に判断するために、FGF-23が役立ちます。

腎臓が悪いから漫然と腎臓病食を与えてしまうと、筋肉量の低下につながり、これが原因で健康寿命を縮めてしまうことも分かっています。
私たちはいつも
【腎臓が悪化すること】と【筋肉量が低下すること】のジレンマに頭を悩ませてきました。
なぜならどちらを優先すべきかの判断が、非常に悩ましいからです。(もちろん病態にもよりますが)

そんな悩みを解決する手助けになるのが【FGF-23】です。

以下のフローチャートをご覧ください(IDEXX ラボラトリーズホームページより参照)
初期の腎臓病の子が腎臓病食を食べるべきかどうかの判断が行えます。
腎臓病になったら腎臓病食をとりあえず始めるのではなく、
適切なタイミングで腎臓病食を開始することが、健康寿命の延長につながります。

これがとても大切ですので、始めるべきか悩んでいる方、とりあえず始めていた方などはぜひFGF-23をオプションで追加してください。