動物は人間よりも吐くことが多く、体調不良でなくても吐くことがあります。猫なら毛玉を吐くことは健常でもありますよね。
ただ、元々よく吐く子だから…と様子をみていたら、実は病気が隠れていた!なんてこともあります。もし病気のサインで吐いているのだとしたら、見逃したくないですね。
吐いたときにチェックしよう
ワンちゃんネコちゃんが吐いたとしても、「吐いたのが1回だけで、吐いた後も元気や食欲が全く問題なく、体重も痩せてきていない。その後1週間ほど経過をみても吐かない」なら、大きな問題ではない可能性があります。ただ、次のことが当てはまる場合は来院されることをおすすめしますので、チェックしてみてください。また、当てはまるか分からない、当てはまるけど不安だという場合も遠慮なく相談してくださいね。
回数や頻度 嘔吐物に、血、虫、異物が混じっている場合 食欲や元気に変化がある場合 吐いた数時間後に水や少量の食事を与えてみて、食欲が問題なくあり、元気もあるようであれば、病院に行かずに様子をみてもよいと思います。ただし、吐いた後に食欲が低下している、もしくは元気も低下しているようであれば、来院していただいたほうが良いと思います。
少しずつ食欲と体重が減少している場合 意外と気付かないのが「少しずつ食欲が落ちている」場合です。何となくご飯を残す日があるな、まぁ暑さのせいかな、高齢だしな…と考えるご家族が結構おられます。このようにちょこちょこ嘔吐していて、しかも徐々に食欲が落ちていた、というパターンの場合、どこで異変に気付けるのでしょう?
それは「体重が減っていないか」です。成犬・成猫になってからの体重は、通常であればほぼ変わらないものです。月に2回ほど、体重を測ってメモしておいてください。体重の測り方は、抱っこした状態で一緒に体重計にのって測り、その後人間の体重を測って引くと、ワンちゃんネコちゃんの体重が分かります。数ヵ月以内に5%以上の体重減少がある場合、何か病気が潜んでいる可能性があります。
例えば体重4.0 kgのネコちゃんが200 g減ったとします。200gだけなら誤差じゃない?と思うかもしれませんが、60kgの人に置き換えて考えてみると1.2kg減ったことになります。ダイエットしたわけではなく、吐いて食欲が落ち、これだけ体重が減っているのなら心配ですよね。
排尿や排便の異常(下痢している、尿がでていないなど)がある場合 中にはおしっこがしたいけれど出せずに、お腹に力が入って嘔吐する、尿石が尿路に詰まって痛みがある、腎臓が悪くて気持ち悪いという子もいます。また、嘔吐だけではなく下痢もみられる場合には、胃腸に病気が発生している可能性が高いです。
その他 このほかにも、仔犬や仔猫、高齢の子、持病がある子は様子をみずに来院されることをおすすめします。
吐く=嘔吐??
意外と知られていないかもしれませんが、“吐く”には、嘔吐と吐出があります。
嘔吐=胃や腸の中の内容物を吐き出す
吐出=胃に入る前の食道の内容物を吐き出す
嘔吐なのか吐出なのか…?
この症状によってどこに病気が隠れているのか変わってくるため、私たちはまずはここを区別するようにしています。
これをご自宅で区別することはなかなか難しいですが、ひとつポイントをお伝えしますね。
“吐く”直前の行動に注目してみてください。
嘔吐(胃の内容物を吐く)の場合は何となくそわそわ、うろうろ、よだれが出るなどのいつもと違う行動が見られます。その後にお腹が何度か大きくへこんで(収縮して)から吐き出します。
なんとなく、人に当てはめても同じようなイメージかと思いますので分かりやすいですね。
一方で、吐出(食道の内容物を吐く)の場合、前兆はあまりなく、急に吐き出します。
吐いたときにできること
病的な“吐く”が疑わしい場合は、病院へ相談してくださいね。そのとき、次のことを教えてもらえると診察の一助となります。
さいごに
“吐く”という行動は目に見える異変ですが、病院にすぐ駆け込むべき異変なのか、判断しづらいですよね。上記のチェック項目を参考にしていただき、当てはまる場合には病院を受診し、獣医師と治療や検査を行うべきか相談して下さいね。