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怖がりの子が動物病院に来るときに してあげられること
一部の子を除き、動物病院に来ることは多かれ少なかれストレスになりますよね。
以前私が飼っていたゴールデンレトリーバーも動物病院が苦手で、私が抱きかかえて病院まで入っていました。
そして帰る時は逃げるように出ていく。

それは動物にとってある意味当然の行動ではあります。
病院に来てネガティブな経験ばかりするのですから。そんな場所からは逃げるのが正解なのです。

それでも動物病院に行かなければいけない時があるのも事実です。
なんなら予防的に来ていただくことを、当院では推奨しています。

猫の待合室を設けたり診察室も分けたり、待合室を広くしたり
できる工夫はしているのですが、それが全ての子に通用するわけではありません。

今回はそんな子のために、怖がりの子が病院に来るときにしてあげられることをお伝えできればと思います。

まずは動物病院を大嫌いな場所にしないために

まだ若くて、動物病院が怖いところだと確信していないペットさん向けです。
どうしても若い頃や、お家に来たての頃は調子が不安定だったり、予防注射が続いたりしますよね。
病院に来たら痛い思いや怖い思いをたくさんしたらそりゃ誰だって嫌になります。

なぜ一部の子は動物病院が嫌いではない(むしろ好き)なんでしょうか?
そこにヒントが隠されています。

一部の子が動物病院が好きな理由
人間が大好きで、病院に来るとたくさん人がいて嬉しい
(犬限定)ワンちゃんが大好きで、病院に来るとワンちゃんがいてテンション上がっちゃう
動物病院が好きな子の多くが、こんな理由です。

共通しているのは、【動物病院に来ると嬉しいことが起きる
と思っている事です。

【嫌なこと < 嬉しいこと】

となっているというわけですね。
では上の二つの条件に当てはまらない子はどうしたらいいか?(猫ちゃんはほぼ当てはまらないと思います)

【嬉しい思いをさせればいい】
という事ですね。
話はとても単純ですが、そう簡単ではないです。
でも我々には必殺技がありますよね。
それが

おやつ(チュール)】です!
待合室にいるとき、診察中などにおやつを与えること
これはとてもシンプルでとても効果的です。
開始するのが若ければ若いほど効果的な方法です。
しかし緊張のあまりおやつに見向きもしない子には通用しません。

また猫ちゃんの場合もう一つ重要な要素があります。
それが【キャリー】です。
これはとても重要です。

数あるペットキャリーの中でも最も譲れないポイントが
上から猫ちゃんを出せるかどうか
猫ちゃんを診察室でキャリーから出すときに最も怖がられる行動が
【正面から手を突っ込む】という行動です。
それを避けるために上から手を入れて猫ちゃんを出す方が全然怖がられません。
そのために上側が開くキャリーが必須です。
これはぜひ覚えておいてください。

その他全員に通用するわけではないですが、
お家ではおとなしいが、病院では凶暴化してしまうという子は
犬:口輪をしてくる
猫:洗濯ネットに入れてくる
これらの方法を試してください。
特に口輪はバスケットマズルで中で口が動かせるものを選んでください。そうすれば口輪をしながらおやつを食べることができます。
また猫ちゃんのキャリーにブランケットを被せて、隠すのも効果的です。
※当院では感染症予防の観点からブランケットの貸し出しは行っておりません。ご持参ください。

残念ながらすでに動物病院が怖い場所になってしまっていたら


PVP(Pre-Visit Pharmacy)を利用しよう!!
動物病院での恐怖や不安を和らげるために、病院に行く前に飲ませるお薬があります。

これらを積極的に使うことは、決してネガティブな行動ではありません。
極度のストレスにさらされるペットの不安を、少しでも和らげてあげたいというポジティブな思いで使う薬です。
もちろん使わないで済むこともありますが、使った方がよりいいんじゃないか?
という目線で見て、考えてみてください。
100円ちょっとでお渡しできるものですので、普段の愛犬愛猫の様子的に使ってあげたいという方がいらっしゃいましたら、あらかじめご相談ください。

何より避けなければいけないことは

何よりも避けたいのは、
調子が悪いけど、病院に連れていくのを躊躇してしまう
病院から帰ったらストレスで調子悪くなってしまう
愛犬愛猫が怒って、人間や犬猫が怪我をした
定期的な予防や健診が受けられず、病気の発見が遅れてしまった
このような事態です。
なるべくこのような事が起こらないように、
我々もできる限りの工夫や環境づくりをしていくつもりです。
愛犬愛猫のために、これからも飼い主さんと一緒にできることをしていけたらと思います。