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AIMについて

AIMってどうなんですか?

・・・という質問を受けることがあります。

AIMについてネット上でいろんなうわさが飛び交っており、皆さん、期待と不安でいっぱいでおられるのではないでしょうか?

猫が腎臓病にならない?30年生きられる?ホンマに?

実は、臨床獣医師にもきちんとした信頼できる情報が入ってこず、今まで皆さまに正しい知識をお伝えすることが出来ませんでした。

今回、開発者の宮﨑徹先生が、臨床獣医師に向けてセミナ-を開かれたので、それを元に、現時点でわかっている事実を皆さんにお伝えしたいと思います。

まぎらわしいネーミングが良くなかった・・・

ちまたでは、このような「AIM30」というネ-ミングのフードが出回っています。

誤解されやすいのは、この中にAIMが入っていて、これを食べると腎臓病にならない、あるいは腎臓病が治る、30年生きられる…と思ってしまうことです。

残念ながらそうではないのです。

AIMとは?

AIMというのは、Apoptosis Inhibitor of Macrophageの略で、タンパク質の一種です。

AIMが、体内のゴミや死んだ細胞を掃除するシステムの中で重要な役割を担っていることを宮﨑先生が発見されました。
そして、AIMを使って腎臓病の原因となるゴミや死んだ細胞を掃除できたら、腎臓病が進行したり慢性化したりせずに済むのではないか?と研究を重ねられたのです。

そして、「AIM30」というフ-ドがまず市場に出ました。
そして、医薬品である「FeliAIM」というAIM製剤(注射薬)も開発され、もうすぐ世に出ようとしています。

ここで注意!!
「AIM30」と聞くと、このフ-ドにAIMが入っていて30年生きられると勘違いしてしまうかもしれません。
慢性腎不全を心配しておられる方はたくさんいらっしゃるので、このネ-ミングのせいで、このフ-ドに変えたら腎臓病が良くなると思ってしまわれたかもしれません。

でも、そうではないのです。

AIMはタンパク質ですので、食事として摂ると、当然胃酸で分解されてしまいます。
つまり、AIMは口から摂取しても効果はないのです。
なので、「AIM30」には、AIMは入っていないのです。
入っているのはAIMではなく、「AIMの働きを助けるもの」なのです。

ん?どういうこと?

では、順に説明していきます。

慢性腎臓病とは?

まず、猫に多い慢性腎臓病について、理解して頂きたいと思います。

宮﨑先生は、慢性腎臓病を山火事に例えておられます。

「慢性腎臓病とは、体内ゴミを火種として、ゆっくり燃え続ける山火事である」

つまり、火種(体内ゴミや死んだ細胞)がずっとくすぶって燃えており、燃え尽きてしまった部分(細胞が壊死して線維化してしまった部分)、今燃えている部分(炎症が起こっている部分)、炎の近くで弱っていてこれから燃える部分(壊死してはいないが機能が低下している部分)が混在し、長い年月かけて山(腎臓)を全て焼き尽くしてしまうというものです。
慢性で、進行性で、止められない山火事が、慢性腎臓病なのです。

体内ゴミや死んだ細胞は、生きている限り、誰にでもできてしまいます。
でも、私たち人間は、9割がた慢性腎不全にはならず、元気に生きています。

なぜでしょう?

それは、体内ゴミや死んだ細胞を掃除するシステムがあるからなのです。

ゴミ清掃システムとは?

AIMはIgMというタンパクとくっついています。

宮崎先生は、AIMをシール、IgMをシールの台紙と例えておられます。

人や犬では、体内ゴミや死んだ細胞を見つけると、AIM(シ-ル)は、IgM(台紙)から簡単にはがれ、ゴミにくっつきます。すると、そのシ-ルを目印に、ゴミを食べてくれる細胞(清掃車)がやって来てきれいに掃除してくれます。

人では、初期の腎不全になっても、このゴミ清掃システムが働いて、炎症(延焼)を阻止することができるので、進行せずに済み、9割の方が慢性腎不全になることなく、元気に過ごせるのです。

では、なぜ猫は慢性腎不全になりやすいのでしょう?

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猫のAIMの特徴は?

猫、虎、ライオンなどのネコ科の動物は、このシールと台紙が1000倍がっちりとくっついていて、ゴミを見つけてもシ-ルがはがせなくて、ゴミにシ-ル(AIM)を貼りつけることができず、清掃車が掃除してくれないので、どんどん溜まっていくのです。

結果、10~15年の長い間火種が消えず、ステ-ジ1から4へと進行し、最終的には尿毒症に陥ってしまうのです。

この進行と尿毒症の苦痛を何とか回避できないか?と開発されたのが、医薬品としてのAIM製剤「FeliAIM」なのです。

フ-ドのAIM30とは全く別物で、「FeliAIM」は、AIMのシ-ルを台紙からはがれた状態で直接血管に入れてやることで、ゴミにすぐにくっつけて、掃除できるようにするものなのです。




FeliAIM(フェリエイム)の開発の現状

FeliAIMは、AIMそのものを製剤化したもので、注射薬です。

2025年から行われていた治験が終わり、良好な結果であったため、2026年4月24日、農林水産省へ動物医薬品としての製造販売承認申請が行われました。
今後様々なヒアリングがあり、修正したものを専門家に審議して頂いて承認される予定です。

承認されたら、うまくいけば年内に製品化されるかもしれませんが、タンパク質なので、製造過程が複雑で時間がかかり、1000Lの培養液から牛乳パック1個分(200g)しか取れないそうです。

腎臓病の猫ちゃんの数は非常に多いので、即、需要分が供給できるかは厳しそうです。

また、価格も、先生はできるだけ努力するとおっしゃっていましたが、人のタンパク製剤もかなり高価なので、高価になる可能性が高そうです。ネットでは、10~15万と言われていますが、現時点では価格はまだ決まっていないとのことでした。

【治験結果】
ステ-ジ3後期の4に近い猫、53頭にAIM製剤の注射を2週間ごとに6回静脈注射し、本来なら尿毒症になったり亡くなったりする可能性のある1年後、8割の子が元気で、尿毒症症状も無く、ステ-ジが進行せず止まっているという結果が出たとのことです。
安全性試験も行われましたが、副作用は認められなかったとのことです。

【論文】
AIMが腎臓の「壊死していないが機能低下している部分」の細胞内にも働きかけて、酸化ストレスを下げて回復させるということも先月論文発表されています。つまり、腎機能の回復にも有効な可能性があるとのことです。

FeliAIMは、燃え尽きてしまった部分を回復させることは証明できていませんが、慢性化の原因となるゴミ(火種)の掃除と弱った部分の回復は可能だと言えるので、使用により、進行を止めることができ、末期の尿毒症の苦しみを味合わせなくて済むという画期的な治療薬になるとおっしゃっていました。

現在の慢性腎不全の治療は?

現在は、猫の慢性腎不全の治療は、対症治療とQOLの維持が中心です。

猫の慢性腎不全はステ-ジ1から4に分かれていますが、ステ-ジ1~3の比較的食欲や元気のある期間をできるだけ長く維持してやることに治療の主眼が置かれています。(慢性腎不全の記事も参考にしてください)

そのために内服や食事療法、点滴治療などで、BUN、CRE、リンのコントロ-ル、貧血のコントロ-ル、血圧のコントロ-ル、腎血流の維持、食欲や体重の維持などに努めるものです。

残念ながら、今のところ進行を止める方法はなく、治らない病気という認識なのが現状です。

しかし、「FeliAIM」が実用化すれば、腎機能が完全に元に戻ることはなくても、尿毒症になる前に進行を止めることはでき、ステ-ジ2や3といった、「腎機能が少し低下しているけど食欲も元気もある状態」のまま止めてやれて、尿毒症という辛い思いを味わわせることなく天寿を全うさせてやることができる、この点に私はとても期待します!

慢性腎臓病以外にも病気はいろいろあるので、AIMで30年、40年生きられるというのは、コマ-シャル的な言い方で賛同できませんが、「尿毒症にせずに済む」というのは、嬉しい報告です!

AIM30(フ-ド)の使い方

最初の疑問に戻ります。

AIM30には、AIMが入ってるわけではありません。
では、何が入っているのか?
それは、AIM(シ-ル)をIgM(台紙)からはがしやすくするL-シスチンというアミノ酸です。
ただし、10~15%くらいしかはがせません。なので、火種を消せるほどではありません。
なので、AIM30を食べさせたからと言って、腎臓病の進行が止まるというほどの効果は期待できません。

まだ腎臓の悪くない子で健康な子が予防的に与えるにはいいと思いますが、これも治験ができているわけではないので、絶対に腎臓病にならないと言えるものではありません。

また、あくまで「一般食」ですので、すでに腎臓病になっている子に対するタンパク質やナトリウムやリンなどの腎療法食としての配慮はされていませんので、腎療法食を止めてAIM30に切り替えるというのは、逆にせっかく維持されていた腎機能が悪化してしまう可能性もあります!

腎臓病の子で腎療法食を食べている子は、絶対に変えないようにしてください。

それでは、皆さま、今後も新しい、そして正しい情報が入れば紹介していきますので、お待ちくださいね。

ネオ動物病院
津村泰子