うさぎのこと、もっと知ろう!
その1 ~うさぎの歯~
①うさぎは重歯目、ハムスタ-やモルモットはげっ歯目に分類されます。
重歯目とされるゆえんは、2本の大きな上顎切歯の裏に2本の小切歯(ペグ・テイ-ス)が生えているためです。
ペグ・テイースは、つまようじのような形をしていて、硬いエナメル質で覆われていて、切歯が動く度に咬合面を研磨して、長くなり過ぎるのを防ぐとともに、歯の先端を鋭利に保っているのです。
隠れているけど、とても大事な歯なのです。
②切歯の咬合
下顎切歯は2本ですので、切歯は上下合わせて計6本です。
切歯は、上顎切歯の方が下顎切歯よりも少し前にある形でかみ合っています。
左右前後に動いてものを嚙み切ったりかじったりします。
1カ月に1cmくらい伸びるとされています。
上顎よりも下顎切歯の方が早く伸びます。
③臼歯の咬合
臼歯は、上が6本下が5本、左右合わせて22本です。切歯と臼歯を合わせると、28本です。
臼歯は1対1で上下にかみ合っているわけでなく、左右に円を描くように動いて食物を磨り潰します。
咀嚼することで歯の先端がすり減って、咬合面を維持します。
歯の成長と摩耗に影響を与えるのは、食物の硬さではなく、咀嚼に必要な時間です。
硬いものを与えると、歯が折れたりゆがんだりする恐れがあります。
牧草をたっぷり与えることでしっかり時間をかけて臼歯を使って咀嚼させましょう。

*太い矢印が小切歯(ペグ・テイ-ス)です。
④常生歯とは?
永久歯は生後5週間で生えてきます。
以降、切歯も臼歯も全ての歯が常生歯で、一生伸び続けます。
*げっ歯目の中では、ハムスタ-やマウスは切歯のみが常生歯で臼歯は伸びません。
モルモットやカピバラはウサギと同じく全ての歯が常生歯です。
⑤不正咬合とは?
ケ-ジの柵などの硬いものをかじったり、顎のケガをしたり、牧草を食べなかったり等々でいったん噛み合わせが歪んでしまうと、上記のようなウサギの特性から、歯はどんどん伸びてしまい、切歯であれば上顎に刺さったり、臼歯であれば舌や頬を傷つけて、痛みで物が食べられなくなってしまいます。
また、ネザ-ランドドワ-フのような顔が小さくて鼻の短いウサギは、顎が小さいので、歯並びが悪くなりやすく、不正咬合が起こりやすいとされています。


ピントが甘くて申し訳ありませんが、下顎臼歯が斜めにとがって舌に当たり、痛くて食べられなくなった子の麻酔下での歯切り処置の写真です。

上下切歯が嚙み合わなくなり、上顎切歯が口の奥へ、下顎切歯が前方に出て、どんどん伸びてしまっているイラストです。
こうなると、歯はどんどん伸びてしまいますので、定期的に切ってやらなければなりません。
切歯であれば、おとなしい子なら通院で無麻酔で切ることができます。
*患者さんの中には2週間ごとに切歯を切りにいらしている方もおられます。
雨の日も暑い日もきちんと通われていて、本当に愛だと思います。頭が下がります。

これは、放置しすぎ!!の症例のイラストです。
こうなると口が閉じられなくなり、臼歯も噛み合わなくなって、牧草も食べられず、胃腸運動や腸内細菌にも悪影響を及ぼします。
ウサギにとっては命取りです。
その2 ~うさぎの消化器~
草食動物ゆえの4つの特徴
⑴巨大な胃と盲腸
⑵常に動いている消化管
⑶複雑な腸内細菌・微生物(後腸発酵)
⑷食糞

①後腸発酵とは?(食糞が必要なわけ)
栄養を吸収するところは?⇒小腸
ウサギの主食は?⇒草(繊維)
脊椎動物は、繊維を消化できない⇒微生物に消化してもらいます。
微生物は盲腸の中にいるので、盲腸で消化します⇒盲腸は小腸より後ろなので、小腸を通り過ぎてしまっているので、せっかく消化できても吸収できません。⇒盲腸便としていったん排泄して、それをもう一度食べて小腸で吸収します。
しっかり消化してもらうため、盲腸内の正常な腸内細菌叢を維持することが大切。
ここが崩れると命に関わります。
*牛は前胃発酵動物で、前胃の中に微生物がいるので、微生物に消化してもらってから小腸に流れるので、食糞しなくて済むのです。
②結腸による繊維の選別
小腸から結腸に入ってきた繊維は、大きいものは微生物が消化できないのでそのまま結腸を流れていき、硬便になります。硬く、大きく、乾いた便です。
牧草をモリモリ食べる子は、大きくて丸い便がたくさん出ます。
小さい繊維は、結腸の逆蠕動によって盲腸に入り、微生物によって消化されて盲腸便になります。小さい粒がブドウの房のように連なった、粘液に覆われた糞です。
必須アミノ酸、揮発脂肪酸、ビタミン、死んだ微生物(蛋白源)などが入っています。


*上が硬便、下が盲腸便です。
③食糞のタイミング
盲腸便を食べることを食糞と言います。
硬糞は、食べたら出る…という感じですが、盲腸便は、盲腸で発酵されてから出るので、食べてしばらくしてから出ます。基本的には、夜から早朝にかけて出ることが多いです。
肛門から直接摂取し、咀嚼せずに飲み込みます。
カラ-をしていたり、太り過ぎて肛門に口が届かなかったり、高齢で背中を曲げられなかったりでうまく食べられないときは、口に持って行って食べさせてやって下さい。
以上、今回は、うさぎさんの歯と消化管についての基礎知識でした。
どちらもうさぎさんにとっては命にかかわる大事な特徴なので、覚えておいてくださいね。
草をハムハムしているうさぎさんの身体の中では、草をエネルギーにするためのこんな素晴らしい仕組みがあるのです!生き物ってすごいですね。
また少しずつ記事をお届けしますので、うさぎさんのこと知っていきましょう!!
ネオ動物病院
津村泰子