いよいよ梅雨明けが迫ってきましたね。すでに暑い日が続きますが、また一段と暑い日が続くことでしょう。
そうなると毎日が熱中症アラートです。
皆様ご自身も気を付けていることと思いますが、改めて熱中症について知識を深めましょう。
熱中症とは?犬は熱中症になりやすい?
熱中症とは、周りの温度が高いことや激しい運動をしたことで体温が41℃以上となり身体にさまざまな異常をきたす状態を言います。1),2)ちなみに犬の体温は正常だと37.5~38.5℃程度です。
わんちゃんは我々人間よりも熱中症になりやすいです。ですので、我々が大丈夫だからわんちゃんが大丈夫と言うことはありません。
なぜ熱中症になりやすいのでしょうか?
理由
①汗をかけない
②毛におおわれている
③背が低い
④体が小さい
⑤「暑いので休みたいです」と言えない
①
犬は私たち人間のように汗をかいて熱を逃がす、ということがほとんどできません。犬は身体に熱がこもると、口でハァハァ呼吸して(パンティング)、口から熱を逃がして熱を下げ、徐々に元通りに落ち着きます。しかしあまりに体温が高くなりすぎると、このパンティングだけでは熱を上手に逃がすことができず、どんどん体温が上昇してしまいます。
②
我々は暑ければ薄着になれますが、わんちゃんは脱げません。
夏に毛皮のコート どう考えても暑いですよね。
③
特に犬は散歩のときに地面の熱をもろに受け止めて歩くため、実際の気温よりもはるかに暑いのだろうと予測できますね。暑い季節のアスファルトの表面温度は60度を超えることもあり3)、私たちの体感よりもずっと暑い環境下で散歩をしていることになります。
④
これは体表面積が小さいという意味では、熱を放散しやすいという面もあるのですが、なんといっても体全体がすぐに熱くなってしまいます。
⑤
これは至極当然の話ではあるのですが、言葉はしゃべれなくても、ボディランゲージで気づくことができます。
はぁはぁしていて暑そうにしていたら、休憩は必須です!
熱中症に気をつけたい季節について
熱中症に気をつけるべき季節はいつでしょうか?やはり夏本番の8月頃!と思う方も多いでしょう。
実は熱中症になりやすいかは、
湿度も関係しています。
パンティングで体温を下げている犬は、外の湿度が高いと身体の熱を逃がしにくくなり、体温が下がりにくくなります。4)
ですので、真夏になる少し前の、だんだん暑くなってきたな…ムシムシしてきたな…という時期も実は要注意なのです。この時期は急に暑い日になったりと、まだ身体が暑さに慣れていない点も熱中症になりやすい原因です。
うちのいろも気温よりも湿度の影響を強く受けており、湿度が高い日は散歩に行ってもすぐにパンティングが始まりますし、家で寝そべっていても、少しはぁはぁしていたりします。
どのくらいの暑さならお散歩にいっていい?
ワンちゃんは地面の熱をもろに受けて歩くため、気温や私たちの体感だけで判断すると危険です!アスファルトを手で触ってみて5秒程度、そのまま続けられるかどうかチェックしてください。できなければ危険なのでお散歩はやめておきましょう。
これはやけどさせないためにも大切です。
人間のほうもしんどいので、みなさんされているとは思いますが、できるだけ夏場のお散歩は、日が昇りきる前の、早朝の時間帯がおすすめです。(私はわかっていても起きられない日が多いですが。。。)
熱中症になりやすい犬って?
次に熱中症になりやすいのはどんな犬でしょうか?実は犬種ごとでもかわってきます。
一番熱中症に注意してもらいたいのは、パグやフレンチブルドッグ、ボストンテリアなどの短頭種です。短頭種は頭が短いために、鼻から喉の形が独特で、構造的に呼吸がしづらい犬が多く、身体の熱を逃がしにくく熱中症になりやすいです。
ちょっと室温が高い室内で興奮したりするだけでも危険な子もいます。
他にも毛色が黒い犬は熱がこもりやすく、もともと寒い地域で生活している北欧犬(ハスキーやオールドイングリッシュシープドッグ)は被毛も厚く、暑い気候に慣れていません。いろもボーダーコリーで黒が多いので気を付けています。
他にも熱中症になりやすい要因として次のようなものがあります。
熱中症の程度について
熱中症は軽度、中程度、重度の3つのレベルに大きく分かれます。
軽度の熱中症 あまりはっきりとした症状はありません。散歩の途中でパンティングがひどい、動きたがらなくなる、などの行動や、水をほしがるそぶりがある程度です。
中程度の熱中症 だんだんと嘔吐や下痢、ふらつきといった症状がでてきます。体温は40℃近くまで上がり、耳たぶや毛の少ないお腹や股を触ってみると熱くなっています。この段階になっているのであれば、すぐに病院へと連れてきてください!
重度の熱中症 さらに進行すると、臓器が壊れはじめます。症状としては、歩けない、ぐったりして呼びかけに反応しない、失神やけいれん発作などがでてきます。体温は40℃を超えてきます。この重度レベルになってしまうと、病院で治療をしても助けられる確率は50%です。1)
熱中症と気づいたら
もし熱中症になってしまったら…ポイントはいかに早く気付いて、早く対処ができるか!です。
症状が軽度だと気づきにくいかもしれませんが、もし何か様子がいつもと違うかも…?と感じるようなら一旦、日陰や風通しの良い涼しい場所へ移動させて水分を飲ませ、身体を冷やしてください。
効率良く身体を冷やせるのは
首回り、脇の下、大腿の付け根(内股)です。それでも症状が変わらない場合や、元気がない、食欲の低下、嘔吐や下痢などの消化器症状がある場合は病院に連絡して連れてきてください。移動中にも可能な限り、冷やしてあげることをおすすめします。
ただ
身体を氷水に浸けるなど、過度に冷やしすぎると、末梢の血管が収縮したり、逆に体温が下がらなくなってしまい危険ですのでやめましょう!
これは勘違いしている方も多いので注意が必要です。
最近ではわんちゃんも首に氷を巻き付けていたりすることも多いですが、どうしても局所的に冷えやすいので、私のおすすめは保冷剤をいれないタイプの
クールベストです。これを濡らしてから散歩に行くようにしています。そうすると汗をかいている状態にできるのでいいです。
ただ湿度が高い日は効果がいまいちなので、冷えすぎないように保冷剤で体温上昇を抑えるのもありかもしれないですね。
さいごに
熱中症はついさっきまで元気だったワンちゃんが急に亡くなる可能性がある、恐ろしい疾患です。
けれど熱中症は知っていれば予防・対処することができるので、私たちよりも暑さに弱いワンちゃんを熱中症から守ってあげてくださいね。