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膝蓋骨脱臼の治療に関して
お忙しい師走をいかがお過ごしでしょうか?
私はなんとか体調が復活し、いつものテンションに戻ってきました!

当院も先日最後の手術を終え、最後のイベント(中高生向け講演会)を終えました。
今年の3月からですが、たくさんの方と出会い、お話できて少しでも皆様のペット生活を豊かにできていたら本望です。

また来年もよろしくお願いいたします。

今年最後の手術が膝蓋骨脱臼の手術だったのですが、最近膝蓋骨脱臼の相談が増えているので、当院の治療方針をお伝えできればと思います。

当院の膝蓋骨脱臼の治療は手術〜理学療法まで様々

手術の場合
当院で手術を行う場合は、いくつかのパターンがあります。
グレードⅣ
生活の質を落としているばい(グレードに関わらず)
痛みがあるとか、しきりに気にしている場合(多くの場合は筋肉量が低下している)

患肢をかばうことで、他の関節にダメージが生じている かつ 理学療法で改善されない場合(グレードに関わらず)
一才未満の場合(低グレードでも)で飼い主さんが希望される場合
膝蓋骨脱臼のグレードとは?
簡単に言うと膝蓋骨(パテラ)=膝のお皿 の外れ具合
小型犬の多くの膝蓋骨脱臼が内方脱臼と言って、内側に外れるのですが、その外れ具合をグレード分けしています。
このグレード分類が全てでは全くないのですが、イメージはしやすいので、お伝えすることがほとんどです。
グレードⅠ
伸展位(膝を伸ばした状態)で脱臼することがある 症状は無いか分からない程度
グレードⅡ
自然に外れたりハマったりを繰り返す スキップ様の歩行が見られることがある 軽度の骨変形
グレードⅢ
ずっと外れっぱなしだが、手で整復可能 かがむような歩行が見られることがある 骨変形あり
グレードⅣ
ずっと外れっぱなしで、手で整復不可能 重度の骨変形あり 早期に矯正しないと手術困難になる
実際の写真(血液など苦手な方はお控えください)
手術前の膝の滑車溝
手術後の滑車溝
これは手術の一部の写真ですが、その子の状況に応じて様々な術式を組み合わせて手術を行います

手術を行わない方がいいこともたくさんあるのです

内科治療の場合
当院の最大の特徴は(もちろん手術が必要であればきっちり対応するのですが)
手術以外の選択肢が多いこと

なんと言っても理学療法を行なっているのが特徴的です。
実は膝蓋骨脱臼で症状があるとご来院される方の中には、色々なパターンの痛みが混ざっていまして

・膝蓋骨脱臼自体が痛くて症状が出ているわけでは無く、膝をかばうことで他の関節(筋肉)に痛みが生じている
・膝蓋骨脱臼で違和感を感じているが、理学療法で歩様の改善可能
・一時的に滑膜炎などの炎症が生じているだけで、関節炎治療薬で治療可能

など様々な理由で通常の鎮痛剤以外の内科治療を勧めることも多いです。
むしろすぐ手術を勧めることがほとんどありません

内科治療を行なっても改善がない時に手術を考えます。

一才未満の成長期は手術のメリットが大きい

ただしすぐ手術を検討するパターンが一才未満の場合です。
一才未満の場合、手術をすることで適切に関節が成長し、その後の経過がとても良いことがほとんどです。
その場合は飼い主さんと相談の上決断します。

整形外科のセカンドオピニオンも受け付けております

当院では幅広い整形外科疾患に対応可能なため、セカンドオピニオンも受け付けております。
現在の状態を患肢だけでなく、全体のバランスも含めて診断し、治療方針を相談させていただきます。

お困りのことがございましたら、ぜひご相談くださいね。