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冬もノミ・マダニの対策を!ノミに寄生されてしまうと・・・?
朝晩がずいぶん冷え込むようになりましたね。暖かいコートが手放せない季節となりました。
これだけ寒いと虫の姿を見なくなりますよね。この時期になると、「ノミ・マダニの対策をおやすみしてもいいですか?」というご質問を受けるようになりますが、「冬でも油断せず、ノミ・マダニ対策を続けてくださいね」とお答えしています。なぜ冬もノミ・マダニの対策が必要なのでしょうか?

ノミ・マダニは冬でも活動できます!

実は近年、温暖化の影響もあり、ノミやマダニが1年中活動するようになっています。

ノミは気温13℃以上の環境で発育が可能です。つまり、暖かい室内に持ち込んでしまった場合、一年中発生してしまう可能性があります。
マダニは主に春~秋にかけて活発に活動しますが、冬に活発に活動する種もいます。
特にノミはいったん暖かい室内に持ち込まれると、その場で発育と寄生を繰り返します。ノミがわんちゃん・猫ちゃんに寄生すると、寄生した成虫のノミと、周りの環境中に存在する卵・幼虫のノミ全てを駆除しなければならず、駆除はとても大変になります。

マダニが1年を通して活動していることや、ノミが13℃以上で発育可能であることを考えると、わんちゃん・猫ちゃんが外へお散歩に行く場合、完全な「ノミ・マダニ対策のオフシーズン」は無いと考えた方がよさそうですね。
マダニが媒介する怖い病気のお話については、 前回の記事 と ホームページ を参照してください。引き続きSFTSには十分注意してくださいね。今回は、ノミに関するお話しを紹介します。

ノミの駆除は大変!

ノミを駆除するには、動物に寄生する成虫のノミと、周りの環境中に存在する卵・幼虫のノミ全てを駆除しなければいけません。私たちが肉眼で見えるノミは成虫だけで、しかも成虫はノミ全体の1~5%未満と言われています。つまり、ノミ1匹を見つけると、実はすぐ近くに100匹の幼虫と卵がいる可能性があるのです。

わんちゃん・猫ちゃんに寄生しているノミに対しては、ご存じの通り、駆虫薬を使用します。滴下するタイプや経口薬、おやつタイプのものなど様々なタイプの薬があります。

環境中のノミに対しては、カーペットや寝具を徹底的に洗濯し、その他わんちゃん・猫ちゃんが居るエリアに掃除機をかけ、粘着性のあるクリーナーなどで掃除します。しかし、残念ながら1回の掃除で全てのノミを駆除しきることは困難です。抵抗力のある卵が孵化したり、繭から成虫が出てくると、また繰り返し寄生が起こってしまいます。

このようにノミを見つけてから駆除するのはとても大変です。そのため、ノミに寄生されないように予防をしておくことが大切です。

ノミに寄生されると?

子犬や子猫の場合は大量に吸血されると貧血になってしまうこともありますが、成犬・成猫の場合は貧血になることはまれです。それ以上に、ノミに寄生されると色々なトラブルが引き起こされてしまいます。
皮膚の痒み、ノミアレルギー性皮膚炎
わんちゃん・猫ちゃんがノミに咬まれた時に皮膚に傷ができ、痒みが生じます。特にノミアレルギーの場合、咬まれた時に体内に入ってくるノミの唾液に対してアレルギー反応を示すため、広い範囲で痒みや皮膚のトラブルが生じます。

わんちゃんでは尻や尾の付け根、鼠径部(そけいぶ:内股の大腿部の付け根あたり)を噛んだり引っかいたりし、痒みが強く皮膚は赤くなります(ホットスポットと呼びます)。猫ちゃんでも同じような皮膚炎ができますが、よりさまざまな症状がみられ、背中やお腹・首など広範囲でブツブツした赤い点状のかさぶたや隆起が見られます。

一度ノミアレルギーを発症すると、今後ノミに寄生されるたびにノミアレルギー性皮膚炎が起こります。
犬のノミアレルギー性皮膚炎
猫のノミアレルギー性皮膚炎
寄生虫や病気の媒介
ノミは他の寄生虫や病気を媒介することがあります。代表的なのが瓜実条虫という寄生虫です。

瓜実条虫はわんちゃん・猫ちゃんがグルーミングなどでノミを飲み込むことで寄生します。消化管に寄生し、糞便中に寄生虫の一部が見られたり、肛門周りに付着していたりします。少数の寄生では無症状ですが、多数寄生になると下痢や食欲不振になることがあります。さらに、瓜実条虫は人にも寄生します。乳幼児に感染すると腹痛や下痢がみられることがあるので注意しましょう。

さいごに

ノミもマダニも一年中活動しています。大切なわんちゃん・猫ちゃんがノミやマダニに狙われてしまわないように、環境の見直しと駆除・対策をしっかりしていきましょう。駆虫薬には色々な種類があり、それぞれ味や使用方法、値段も異なります。わんちゃん・猫ちゃんに合わせたお薬の選び方や、飲ませ方のご相談だけでも大丈夫です。気になることがあれば、ぜひ一度相談にこられてくださいね。
参考文献
1) Textbook of Veterinary Internal Medicine 第7版 p99
2)JIHS 国立健康危機管理研究機構 感染症情報提供サイト 「マダニ対策、今できること」, 2025.11.19 アクセス URL: https://id-info.jihs.go.jp/diseases/ta/tick-borne-diseases/tick-prevention/index.html
3)ベーリンガーインゲルハイムアニマルヘルスジャパン(株)「ノミについて」,2025.11.19 アクセス URL: https://animal-health.boehringer-ingelheim.jp/pet-owner/petcare/nomi

画像提供:犬と猫の皮膚科 村山 信雄先生、東京猫医療センター 服部 幸先生